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第二章
02
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そう言えば…母上は女の子を産んだ。
本当に良かった。
これで会うたびに母上の後ろにドレスが隠れているのではと…恐々としなくてよくなる。
新年の長期休暇の時が初めましての対面だった。その時に抱っこさせてもらったけど、壊れるんじゃないかと思うくらいちっこくて、可愛くて…もう言葉にならなかった。
頬をプニプニと摘むと柔らかくて、癒される。
お包みのフリフリとリボンはパワーアップしていた。兄上によると、僕の時にはなかった照明によりキラキラと光る、魔法で加工された石が縫い付けられていた。
力の入れ具合が半端無い。
眩しくないのだろうか?心配だ…。
兄上たちは僕と妹のセシリアを温かく見守ってくれた。
この休暇の間に僕の誕生日がある。
学園に上がるまでは男の子として祝うことができなかったから家族だけの誕生会だったけど、去年からたくさんの人を招いて盛大に執り行われる。
僕としてはドレスさえなければ家族だけのパーティーの方が嬉しいけど、わがままは言わない。
ここで一つ疑問に思う。
今まで何回もダンスパーティーなんかに出席してきたけど、アドラム家の四男として出席していた訳ではないのだね…。
だって女装だし、僕だってわからなかったよね?わかって欲しくない気もするけど…。
何の為に嫌な思いをしていたのか?
そう言えば、公爵家の何とか…とか宰相さまにやけに恭しく挨拶されて、凄く緊張したのを覚えている。
ああ、この挨拶があったから僕は絶対に出席しなければと思ったんだ。みんながしていると思っていた…。
でも、今ならわかる。
いくら侯爵家の息子だろうとそんな扱いおかしいのだ。
事実別室で行われるその挨拶に兄上たちが同行したことはなかった。
「別々だからね」と言われそうなのかと納得していたけど、パーティーに戻ると兄上たちは揃って迎えてくれた。けれど、何故かはわからない。
盛大なパーティーは休暇中な為に学園の生徒もチラホラ見える。
僕の知らない上級生が兄上たちとワインを飲んでいる。
アシュリーも来てくれているみたいだ。
アシュリーの誕生日も僕と同じ日だから、父上とアシュリーの父君とでどちらが先にパーティーを開くかを決めたらしい。
去年はアシュリーが先で、今年は僕が先。
僕としてはどちらが先でも同じ日でも、一緒でも…構わないのだけれどね。そうもいかないらしい。
もっとも、僕たちは誕生日にはパーティーを開けない。新年の祝賀行事が終わってからだ。その日は、勇者たちの生まれた日とされているから生誕祭が開かれる。
そう、僕たちは一月一日に生まれた。
パーティーにはルームメイトのダレルとイーノックも来てくれた。ケントは地方の伯爵家の長男で家の行事があるからと、出席できないのを凄く残念そうにしていた。
イーノックとダレルは侯爵家の次男だ。アシュリーも。
いくらパーティーの主役だとしても、男にダンスを申し込むバカな奴はいないので気持ちが楽だった…。
…えっと…?
この手は何?
「ジュリアン、わたしと一曲踊っていただけませんか?」
恭しく手を差し出してきたのはイーノックだった。
「抜け駆けは駄目だな」
もう一つ手が出てきた。ダレルだ。
アシュリーの手なら迷いながらも取っ…えっ、今何考えた?
こんな来賓がいっぱいのみんなが見ているこの場所でそれはない。
「無理!」
「だって、今日の主役はジュリアンですから」
「だからって男同士でダンス踊るとかあり得ないから!」
「そんなこと言って、今誰の事考えた?」
「俺たちの手を無視して誰を見ていたのですか?」
え~と…。
「誰も見てない」
うん。
誰も見てない。
アシュリーなんか見てない。
見てない。
でも、あの時みたいに助けに来てくれないかな…って考えたのは事実だけど…見てないよ。
本当に良かった。
これで会うたびに母上の後ろにドレスが隠れているのではと…恐々としなくてよくなる。
新年の長期休暇の時が初めましての対面だった。その時に抱っこさせてもらったけど、壊れるんじゃないかと思うくらいちっこくて、可愛くて…もう言葉にならなかった。
頬をプニプニと摘むと柔らかくて、癒される。
お包みのフリフリとリボンはパワーアップしていた。兄上によると、僕の時にはなかった照明によりキラキラと光る、魔法で加工された石が縫い付けられていた。
力の入れ具合が半端無い。
眩しくないのだろうか?心配だ…。
兄上たちは僕と妹のセシリアを温かく見守ってくれた。
この休暇の間に僕の誕生日がある。
学園に上がるまでは男の子として祝うことができなかったから家族だけの誕生会だったけど、去年からたくさんの人を招いて盛大に執り行われる。
僕としてはドレスさえなければ家族だけのパーティーの方が嬉しいけど、わがままは言わない。
ここで一つ疑問に思う。
今まで何回もダンスパーティーなんかに出席してきたけど、アドラム家の四男として出席していた訳ではないのだね…。
だって女装だし、僕だってわからなかったよね?わかって欲しくない気もするけど…。
何の為に嫌な思いをしていたのか?
そう言えば、公爵家の何とか…とか宰相さまにやけに恭しく挨拶されて、凄く緊張したのを覚えている。
ああ、この挨拶があったから僕は絶対に出席しなければと思ったんだ。みんながしていると思っていた…。
でも、今ならわかる。
いくら侯爵家の息子だろうとそんな扱いおかしいのだ。
事実別室で行われるその挨拶に兄上たちが同行したことはなかった。
「別々だからね」と言われそうなのかと納得していたけど、パーティーに戻ると兄上たちは揃って迎えてくれた。けれど、何故かはわからない。
盛大なパーティーは休暇中な為に学園の生徒もチラホラ見える。
僕の知らない上級生が兄上たちとワインを飲んでいる。
アシュリーも来てくれているみたいだ。
アシュリーの誕生日も僕と同じ日だから、父上とアシュリーの父君とでどちらが先にパーティーを開くかを決めたらしい。
去年はアシュリーが先で、今年は僕が先。
僕としてはどちらが先でも同じ日でも、一緒でも…構わないのだけれどね。そうもいかないらしい。
もっとも、僕たちは誕生日にはパーティーを開けない。新年の祝賀行事が終わってからだ。その日は、勇者たちの生まれた日とされているから生誕祭が開かれる。
そう、僕たちは一月一日に生まれた。
パーティーにはルームメイトのダレルとイーノックも来てくれた。ケントは地方の伯爵家の長男で家の行事があるからと、出席できないのを凄く残念そうにしていた。
イーノックとダレルは侯爵家の次男だ。アシュリーも。
いくらパーティーの主役だとしても、男にダンスを申し込むバカな奴はいないので気持ちが楽だった…。
…えっと…?
この手は何?
「ジュリアン、わたしと一曲踊っていただけませんか?」
恭しく手を差し出してきたのはイーノックだった。
「抜け駆けは駄目だな」
もう一つ手が出てきた。ダレルだ。
アシュリーの手なら迷いながらも取っ…えっ、今何考えた?
こんな来賓がいっぱいのみんなが見ているこの場所でそれはない。
「無理!」
「だって、今日の主役はジュリアンですから」
「だからって男同士でダンス踊るとかあり得ないから!」
「そんなこと言って、今誰の事考えた?」
「俺たちの手を無視して誰を見ていたのですか?」
え~と…。
「誰も見てない」
うん。
誰も見てない。
アシュリーなんか見てない。
見てない。
でも、あの時みたいに助けに来てくれないかな…って考えたのは事実だけど…見てないよ。
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