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第一章
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寮父さんの所に制服が届いてると連絡があったのは、始業式の前日だった。
ドアをノックすると「どうぞ~」と穏やかな声が聞こえた。
「お邪魔します」
「こっち来て?」
六畳くらいの受付の部屋の奥に寮父さん、勘解由小路鴻志さんの部屋がある。案内されたのはソファーが置いてあるリビングだった。
勘解由小路さんは四十歳くらいのイケメンさんでこの学校の卒業生らしい。生徒が泣きながらここに来て恋愛相談されることもあるそうだ。勿論男と男の恋愛だから、その辺の事情もわかってる人じゃないといけないということかな?
「はい、これね。サイズ合ってると思うけど。着てみる?」
「はい…」
戸惑っていると隣の部屋に案内してくれた。そこは勘解由小路さんの寝室で、更に戸惑う。
「襲わないよ?」
「えっ…いえ…はい」
着替えを終えてリビングに戻ると紅茶を淹れて待っててくれた。
「似合うじゃないか?眼鏡とウィッグとカラコン取ってみてよ」
「!…知って…、るんですか?」
「そりゃね。君を守るのが俺の仕事だし?」
「守る…ですか?」
そうか…理事長は何人かに教えると言ってた。その一人がこの人だったんだ。仕方なく、言われた通りにする。
「!…だって、その容姿を知られたら…君、穏やかな学生生活送れないよ?眼鏡も外さない方が良い」
まじまじと見られて恥ずかしい。
「同室は牧野くんだったよね?彼、今フリーの筈だから、彼に食われちゃう?まあ、牧野くんの趣味もあるだろうけど君ならいけると思う。で、彼に護ってもらうのが一番安全だと思うな」
「えっ…、えっ…」
食われるって…どういう事?そういう事?そんなことできないよ。
「何?他に好きな子がいるの?学校外の子?それとももう、ここで誰か見つけた?牧野くんじゃなさそうだね?生徒会役員?」
「あっ、えっ…」
「まあ、冗談だけどさ」
「じょ、冗談なんですか?そんな笑えない冗談言わないで下さいよ!」
本当、笑えない…。
「冗談でもないかな。牧野くんがってのも一番良いと思ったんだよね。君が危ないのは本当だからさ。君が狙われるって意味でも、妬まれて筋違いの虐めの対象にされるって意味でも。取り敢えず、そのウィッグ、もうちょっとマシにしようか?」
そう言って、僕が外したウィッグをもう一度付けて、ハサミを出してカットしだした。器用に切っていく。このウィッグは母が変装なら完璧にしなくちゃとわざとダサダサに作ったものだった。鏡を見るとそれなりの仕上がりで普通の高校生になった。
「あの…あと二つあるのでそちらもお願いします」
気をつけるんだよ~と僕を見送ってくれた寮父さんのところを出て、部屋にたどり着いて深い溜息を吐いた。
「ふぅっ…」
「どうしたんだよ」
「!…いえ」
そこにいたのは碧空くんだった。
ドアをノックすると「どうぞ~」と穏やかな声が聞こえた。
「お邪魔します」
「こっち来て?」
六畳くらいの受付の部屋の奥に寮父さん、勘解由小路鴻志さんの部屋がある。案内されたのはソファーが置いてあるリビングだった。
勘解由小路さんは四十歳くらいのイケメンさんでこの学校の卒業生らしい。生徒が泣きながらここに来て恋愛相談されることもあるそうだ。勿論男と男の恋愛だから、その辺の事情もわかってる人じゃないといけないということかな?
「はい、これね。サイズ合ってると思うけど。着てみる?」
「はい…」
戸惑っていると隣の部屋に案内してくれた。そこは勘解由小路さんの寝室で、更に戸惑う。
「襲わないよ?」
「えっ…いえ…はい」
着替えを終えてリビングに戻ると紅茶を淹れて待っててくれた。
「似合うじゃないか?眼鏡とウィッグとカラコン取ってみてよ」
「!…知って…、るんですか?」
「そりゃね。君を守るのが俺の仕事だし?」
「守る…ですか?」
そうか…理事長は何人かに教えると言ってた。その一人がこの人だったんだ。仕方なく、言われた通りにする。
「!…だって、その容姿を知られたら…君、穏やかな学生生活送れないよ?眼鏡も外さない方が良い」
まじまじと見られて恥ずかしい。
「同室は牧野くんだったよね?彼、今フリーの筈だから、彼に食われちゃう?まあ、牧野くんの趣味もあるだろうけど君ならいけると思う。で、彼に護ってもらうのが一番安全だと思うな」
「えっ…、えっ…」
食われるって…どういう事?そういう事?そんなことできないよ。
「何?他に好きな子がいるの?学校外の子?それとももう、ここで誰か見つけた?牧野くんじゃなさそうだね?生徒会役員?」
「あっ、えっ…」
「まあ、冗談だけどさ」
「じょ、冗談なんですか?そんな笑えない冗談言わないで下さいよ!」
本当、笑えない…。
「冗談でもないかな。牧野くんがってのも一番良いと思ったんだよね。君が危ないのは本当だからさ。君が狙われるって意味でも、妬まれて筋違いの虐めの対象にされるって意味でも。取り敢えず、そのウィッグ、もうちょっとマシにしようか?」
そう言って、僕が外したウィッグをもう一度付けて、ハサミを出してカットしだした。器用に切っていく。このウィッグは母が変装なら完璧にしなくちゃとわざとダサダサに作ったものだった。鏡を見るとそれなりの仕上がりで普通の高校生になった。
「あの…あと二つあるのでそちらもお願いします」
気をつけるんだよ~と僕を見送ってくれた寮父さんのところを出て、部屋にたどり着いて深い溜息を吐いた。
「ふぅっ…」
「どうしたんだよ」
「!…いえ」
そこにいたのは碧空くんだった。
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