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第七章
7ー04
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次の日、月曜日。
今日は昼から会うんだけど、朝から家を出ていれば良かった。何故か奈津美が家に来ている。
「今日は私が行くからね~」
「えっ、どこに?」
「決まってるでしょ?エスポワールよ」
彰君にメールした。
『仕方ないね。一緒に来て』
奈津美の強引さは僕が散々言っていたので……諦め…だね。
お昼ご飯を一緒に食べてエスポワールへ向かった。
奈津美は彰君に告白された事、どう思っているのかな?
何故かはしゃいでいて、凄く機嫌は良さそうだけど何か聞き辛い。
「ねえ、奈津美……」
「何?」
「…いや…」
「あっ、気にしなくて良いわよ」
「えっ?」
何を?告白された事?僕たちが付き合ってる事?
「ユキ、可愛いね~。うん、これで安心だわ」
と一人で納得している。
エスポワールに着くと和希の時と同じようにマスターとケイさんに紹介した。
彰君はバツの悪そうな顔で奈津美を見て「お久しぶりです。神田さん」と言った。
「は~い。元気してた?ちょっと話したいんだけど」
「えっ?俺?」
「そうよ。他に誰がいるの?」
「奈津美」
「ユキは黙っててね」
「どこか二人で話せるとこある?」
「あ~、じゃあ奥で」
二人で奥の席へ行ってしまった。なんだか落ち着かない。
マスターがカフェオレを入れてくれたけど、気になって飲んでなんかいられない。
「綺麗な子だね。ユキちゃんに似てる」
「はい。母親同士が似ているので」
「そうなんだ。で、どうしてあの二人が?」
「さあ……」
暫くして戻って来た時、奈津美は相変わらず機嫌が良く、彰君も僕を見てにっこり笑ってくれたので、漸く落ち着く事が出来た。
奈津美は僕たちにはもう用は無いとばかりにカウンターのスツールに座ってコーヒーとケーキを食べながらマスターとケイさんとお喋りしている。
彰君に何を話したのか聞いても「女って…」と言うだけだった。
◇◇◇◇◇
次の日、火曜日。
彰君が「友達に合わせたい」と言った。「誰?」って聞いても「裕樹も知ってるよ」と言うだけで、名前は言ってくれなかった。
ゆっくりと、エスポワールの扉を開けると、聞いた事のある少し高い声が聞こえた。
「……だから、聞いてよ彰」
「あ~、はいはい。聞いてるよ」
と言いながら優しく笑う彰君とそこにいたのは……矢嶋君だった。
僕はエスポワールを飛び出した。
今日は昼から会うんだけど、朝から家を出ていれば良かった。何故か奈津美が家に来ている。
「今日は私が行くからね~」
「えっ、どこに?」
「決まってるでしょ?エスポワールよ」
彰君にメールした。
『仕方ないね。一緒に来て』
奈津美の強引さは僕が散々言っていたので……諦め…だね。
お昼ご飯を一緒に食べてエスポワールへ向かった。
奈津美は彰君に告白された事、どう思っているのかな?
何故かはしゃいでいて、凄く機嫌は良さそうだけど何か聞き辛い。
「ねえ、奈津美……」
「何?」
「…いや…」
「あっ、気にしなくて良いわよ」
「えっ?」
何を?告白された事?僕たちが付き合ってる事?
「ユキ、可愛いね~。うん、これで安心だわ」
と一人で納得している。
エスポワールに着くと和希の時と同じようにマスターとケイさんに紹介した。
彰君はバツの悪そうな顔で奈津美を見て「お久しぶりです。神田さん」と言った。
「は~い。元気してた?ちょっと話したいんだけど」
「えっ?俺?」
「そうよ。他に誰がいるの?」
「奈津美」
「ユキは黙っててね」
「どこか二人で話せるとこある?」
「あ~、じゃあ奥で」
二人で奥の席へ行ってしまった。なんだか落ち着かない。
マスターがカフェオレを入れてくれたけど、気になって飲んでなんかいられない。
「綺麗な子だね。ユキちゃんに似てる」
「はい。母親同士が似ているので」
「そうなんだ。で、どうしてあの二人が?」
「さあ……」
暫くして戻って来た時、奈津美は相変わらず機嫌が良く、彰君も僕を見てにっこり笑ってくれたので、漸く落ち着く事が出来た。
奈津美は僕たちにはもう用は無いとばかりにカウンターのスツールに座ってコーヒーとケーキを食べながらマスターとケイさんとお喋りしている。
彰君に何を話したのか聞いても「女って…」と言うだけだった。
◇◇◇◇◇
次の日、火曜日。
彰君が「友達に合わせたい」と言った。「誰?」って聞いても「裕樹も知ってるよ」と言うだけで、名前は言ってくれなかった。
ゆっくりと、エスポワールの扉を開けると、聞いた事のある少し高い声が聞こえた。
「……だから、聞いてよ彰」
「あ~、はいはい。聞いてるよ」
と言いながら優しく笑う彰君とそこにいたのは……矢嶋君だった。
僕はエスポワールを飛び出した。
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