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第一章

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僕の名前は橘裕樹ゆうき

入学式って疲れるよね。
同じ中学の子は少ないし、でもクラス数は多いので知らない人がいっぱいで人見知りの僕はどんよりしていた。

緊張してトイレに行きたくなった僕は奇跡的に一緒のクラスになった小学校以来の友達の石原 和希に「トイレ、行ってくる」と言って離れた。
和希は「一緒に行こうか?」と言ってくれたけど「大丈夫だよ」と手を振って慌ててトイレに向かった。

和希は、過保護だと思う。

僕は方向音痴。

特に建物の中は迷いやすい。学校なんてその最たるものだ。
だって、同じような扉、同じような壁、同じような……だけど、こんなに沢山人が居るのに迷う訳が無いじゃないか?
僕の周りには入学式が終わり、ざわざわしている一年生がいっぱいだよ。
トイレも人が多く思わず個室に入ってしまった…。
人見知りな僕は、もう少し人が少なくなってから個室を出ようと思ったのが失敗だった。

もう少し早く出ていれば良かった。

人の声がしなくなり、やっと出てきた時には誰も居なかった。

「どうしよう……教室わからない………」
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