17 / 98
結婚相手が決まりました
07
しおりを挟む
☆★☆ ★☆★ ☆★☆
ーーーわたしが幼かった頃、訪れた屋敷で友だちになった下働きの男の子と仲良くなり、よく遊んでいた。
独楽を回したり、竹馬で騎馬ごっこをしたりするのは姫さまや姉上と遊ぶよりも楽しかった。
ある日、かくれんぼをして遊んでいた時だった。
そのお屋敷は姫さまのお屋敷よりも大きく庭も広くて、遊ぶにはもってこいである。
池には朱塗の高欄をもつ反り橋があり、池のそばにはそれぞれの季節に華が咲くように設えてあり、その時は秋だったか桔梗の紫が一角にあり綺麗だった。
わたしは西の対屋の軒下に忍んで、探して貰うのを待っていた。かくれんぼなんて隠れきっても面白くない。どこかで見つかってまた隠れたり探したりしたい。
その時、
『あんっ…んっ…はん…』
どこかで声がした。
ここはよそのお屋敷なので、遊んでいるのを怒られやしないかと見つかる前に出ようとした。
静かに見つからないように移動する。
『ここがいいんだろう』
『いやっ…んっ…。あん…そこ…』
『……ほら…力を抜いて…』
『…はっ…ん…、奥まで…いい…あっ…もっと…深い』
艶かしい声ではあるが、聞こえてくるのはどちらも男の声である。
おずおずと軒下から出て見てみると、格子は上がっていて隙間から見えるのは…獣のようにまぐわう二人の男だった。
びっくりして、しばらくその場から離れる事は出来なかった。
その間も二人は交わっている。
ぐちゃ、ぬちゃと何だか分からない音が耳に響いた。
男の手が身体のあちこちを撫で回し、唇は背中に吸い付く。
しばらくゆるゆると彷徨っていた手は組み敷いた男の腰を掴んで、自らの腰を激しく動かした。
淫猥な音と喘ぎ声が一層大きくなった。
遊んでいた男の子を探して「用事を思い出してしまった」となんとも大人ぶったことを云ってその屋敷を後にした。大人の言い訳はなんと便利なものかと自分で云っておきながら思ったものだ。
その夜、あの姿と声が瞼に焼き付いて耳によみがえりなかなか眠れなかった。
それから偶にわたしの夢にその時の光景は見られたが、大きくなるにつれてわたしは傍観者ではなくなってしまった。
わたしは…男に組み敷かれて喘いでいるのだ…。
☆★☆ ★☆★ ☆★☆
ーーーわたしが幼かった頃、訪れた屋敷で友だちになった下働きの男の子と仲良くなり、よく遊んでいた。
独楽を回したり、竹馬で騎馬ごっこをしたりするのは姫さまや姉上と遊ぶよりも楽しかった。
ある日、かくれんぼをして遊んでいた時だった。
そのお屋敷は姫さまのお屋敷よりも大きく庭も広くて、遊ぶにはもってこいである。
池には朱塗の高欄をもつ反り橋があり、池のそばにはそれぞれの季節に華が咲くように設えてあり、その時は秋だったか桔梗の紫が一角にあり綺麗だった。
わたしは西の対屋の軒下に忍んで、探して貰うのを待っていた。かくれんぼなんて隠れきっても面白くない。どこかで見つかってまた隠れたり探したりしたい。
その時、
『あんっ…んっ…はん…』
どこかで声がした。
ここはよそのお屋敷なので、遊んでいるのを怒られやしないかと見つかる前に出ようとした。
静かに見つからないように移動する。
『ここがいいんだろう』
『いやっ…んっ…。あん…そこ…』
『……ほら…力を抜いて…』
『…はっ…ん…、奥まで…いい…あっ…もっと…深い』
艶かしい声ではあるが、聞こえてくるのはどちらも男の声である。
おずおずと軒下から出て見てみると、格子は上がっていて隙間から見えるのは…獣のようにまぐわう二人の男だった。
びっくりして、しばらくその場から離れる事は出来なかった。
その間も二人は交わっている。
ぐちゃ、ぬちゃと何だか分からない音が耳に響いた。
男の手が身体のあちこちを撫で回し、唇は背中に吸い付く。
しばらくゆるゆると彷徨っていた手は組み敷いた男の腰を掴んで、自らの腰を激しく動かした。
淫猥な音と喘ぎ声が一層大きくなった。
遊んでいた男の子を探して「用事を思い出してしまった」となんとも大人ぶったことを云ってその屋敷を後にした。大人の言い訳はなんと便利なものかと自分で云っておきながら思ったものだ。
その夜、あの姿と声が瞼に焼き付いて耳によみがえりなかなか眠れなかった。
それから偶にわたしの夢にその時の光景は見られたが、大きくなるにつれてわたしは傍観者ではなくなってしまった。
わたしは…男に組み敷かれて喘いでいるのだ…。
☆★☆ ★☆★ ☆★☆
0
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
幼馴染は僕を選ばない。
佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。
僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。
僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。
好きだった。
好きだった。
好きだった。
離れることで断ち切った縁。
気付いた時に断ち切られていた縁。
辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。
恋なし、風呂付き、2LDK
蒼衣梅
BL
星座占いワースト一位だった。
面接落ちたっぽい。
彼氏に二股をかけられてた。しかも相手は女。でき婚するんだって。
占い通りワーストワンな一日の終わり。
「恋人のフリをして欲しい」
と、イケメンに攫われた。痴話喧嘩の最中、トイレから颯爽と、さらわれた。
「女ったらしエリート男」と「フラれたばっかの捨てられネコ」が始める偽同棲生活のお話。
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる