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「だから、大丈夫だって言ったよ?少しさ、怠いだけだから。心配かけてごめん」
「俺のとこ、泊まれよ。今、おばさんに言っといてやろうか?」
「や、やめてよ」
ここまで来てくれた。
それだけで充分じゃないか?
昨日のことは太一にとって嫌なことじゃないってこと。僕はまだこの腕の中にいても良いのかな?
二人でベッドに座り、目を見られないように下を向く。泣きそうだから。太一に彼女がいたことに、こうして追いかけてくれたことにグチャグチャの感情は上手くまとまらない。
「嫌だったのか?」
僕の手を握り下を向いたまま、絞り出したような声にびっくりする。
「初めてだっただろ?俺に抱かれるのは嫌か?」
「嫌じゃない!」
強く手を握り返し叫んだ。口を押さえ、下にいる母さんに聞こえなかったか、大きな声を出したことを後悔する。
「い、嫌じゃないよ…嬉しかったから。僕、キスも初めてで太一には物足りなかったかもだけど、嬉しかったんだ。ずっと好きだったから…」
「ずっと?」
「うん…高校の時から」
「俺も多分、高校の時からだ。自覚したのは大学入ってからだけど。言ってくれればよかったのに」
「だって…そんなこと言えないよ」
「でも、良かった。もう、俺に会うのも嫌なのかと焦った」
「何で?」
「だって、昨日の今日だぞ?大学には来てたみたいなのに、俺の顔見るのも嫌になったのかなって」
「そんなことない」
手を引かれ、跨ぐように向かい合わせに座る。
「何で涙目なんだ?凄い唆るんだけど。ここで、押し倒してもいい?」
嬉しいことばかり言われて、今の涙は悲しい涙じゃない。どういうつもりで、男と女の二股なのかわからないけど、それでも良いと思った。ただ、火曜日の夜と水曜日には太一の部屋には行かないように気を付けて。僕と会ってない時間のいつ会ってるのかはわからない。
それからも週に一度部屋が綺麗になり、料理のストックが増える。それまであった保存容器はなくなり、中身の入ったものが整然と冷蔵庫に並ぶ。これだけのことをしてくれる彼女って、凄い。遠距離なのかな?
◆◆◆◆◆
「なあ、良いだろ?」
「だって…今日は火曜だよ?」
水曜日に彼女が来るんなら、そんな日に泊まることはできない。太一だって、鉢合わせは嫌じゃないのかな?
なるべく火曜日には会わないようにしていた。遠距離の彼女が泊まるかもしれないし、断られるのか嫌だから。今日は用事があるからとか、わざとらしい言い訳を聞きたくない。
でも、太一が誘ってくれた。
いつも、なるべく外で食べる。彼女の作った物なんて食べたくない。でも、日曜なんかは出かけるのが面倒で、太一が用意してくれた彼女手作りの料理を食べることもある。
僕が作った料理なんて、敵うわけないんだ。ラタトゥイユや定番のカレーやハンバーグがあったり、ひじきの煮物、インゲンの胡麻和え、レンコンやゴボウのきんぴらがあったりとその時により違うけどどれも美味しかった。悔しいけど、ミートソースが出てきた時は教えて欲しいって思った。母さんは料理が下手じゃないけど、スパゲティのソースは専らレトルトや缶を温めるだけ。
そんな僕が作る料理では満足してもらえないだろう。彼女手作りのミートソースはお店で食べるみたいに美味しかった。
「火曜って何だよ?」
顎を持たれ目が合うと、怪訝な顔で僕を見る。チュッと触れる唇は心底不思議そうで、僕の方が戸惑ってしまう。
「だって…」
「だって?」
言ってしまおうか?
僕はこのままの関係を続けたい。この腕に抱かれる度にその思いは強くなる。せめてあと一日、あと一週間、あと一ヶ月とどんどん欲張りになる。大学を卒業したら、忘れるから…。今は、このままで…。
「俺のとこ、泊まれよ。今、おばさんに言っといてやろうか?」
「や、やめてよ」
ここまで来てくれた。
それだけで充分じゃないか?
昨日のことは太一にとって嫌なことじゃないってこと。僕はまだこの腕の中にいても良いのかな?
二人でベッドに座り、目を見られないように下を向く。泣きそうだから。太一に彼女がいたことに、こうして追いかけてくれたことにグチャグチャの感情は上手くまとまらない。
「嫌だったのか?」
僕の手を握り下を向いたまま、絞り出したような声にびっくりする。
「初めてだっただろ?俺に抱かれるのは嫌か?」
「嫌じゃない!」
強く手を握り返し叫んだ。口を押さえ、下にいる母さんに聞こえなかったか、大きな声を出したことを後悔する。
「い、嫌じゃないよ…嬉しかったから。僕、キスも初めてで太一には物足りなかったかもだけど、嬉しかったんだ。ずっと好きだったから…」
「ずっと?」
「うん…高校の時から」
「俺も多分、高校の時からだ。自覚したのは大学入ってからだけど。言ってくれればよかったのに」
「だって…そんなこと言えないよ」
「でも、良かった。もう、俺に会うのも嫌なのかと焦った」
「何で?」
「だって、昨日の今日だぞ?大学には来てたみたいなのに、俺の顔見るのも嫌になったのかなって」
「そんなことない」
手を引かれ、跨ぐように向かい合わせに座る。
「何で涙目なんだ?凄い唆るんだけど。ここで、押し倒してもいい?」
嬉しいことばかり言われて、今の涙は悲しい涙じゃない。どういうつもりで、男と女の二股なのかわからないけど、それでも良いと思った。ただ、火曜日の夜と水曜日には太一の部屋には行かないように気を付けて。僕と会ってない時間のいつ会ってるのかはわからない。
それからも週に一度部屋が綺麗になり、料理のストックが増える。それまであった保存容器はなくなり、中身の入ったものが整然と冷蔵庫に並ぶ。これだけのことをしてくれる彼女って、凄い。遠距離なのかな?
◆◆◆◆◆
「なあ、良いだろ?」
「だって…今日は火曜だよ?」
水曜日に彼女が来るんなら、そんな日に泊まることはできない。太一だって、鉢合わせは嫌じゃないのかな?
なるべく火曜日には会わないようにしていた。遠距離の彼女が泊まるかもしれないし、断られるのか嫌だから。今日は用事があるからとか、わざとらしい言い訳を聞きたくない。
でも、太一が誘ってくれた。
いつも、なるべく外で食べる。彼女の作った物なんて食べたくない。でも、日曜なんかは出かけるのが面倒で、太一が用意してくれた彼女手作りの料理を食べることもある。
僕が作った料理なんて、敵うわけないんだ。ラタトゥイユや定番のカレーやハンバーグがあったり、ひじきの煮物、インゲンの胡麻和え、レンコンやゴボウのきんぴらがあったりとその時により違うけどどれも美味しかった。悔しいけど、ミートソースが出てきた時は教えて欲しいって思った。母さんは料理が下手じゃないけど、スパゲティのソースは専らレトルトや缶を温めるだけ。
そんな僕が作る料理では満足してもらえないだろう。彼女手作りのミートソースはお店で食べるみたいに美味しかった。
「火曜って何だよ?」
顎を持たれ目が合うと、怪訝な顔で僕を見る。チュッと触れる唇は心底不思議そうで、僕の方が戸惑ってしまう。
「だって…」
「だって?」
言ってしまおうか?
僕はこのままの関係を続けたい。この腕に抱かれる度にその思いは強くなる。せめてあと一日、あと一週間、あと一ヶ月とどんどん欲張りになる。大学を卒業したら、忘れるから…。今は、このままで…。
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