72 / 89
朝朗
04
しおりを挟む
「尊…おいで」
「うん」
嬉し恥ずかし、両想いになって初めての触れ合いだ。尊は親彬の膝の上に、脚を広げ、跨ぐように向かい合わせに座る。脇の下に両腕を回し、コアラのように抱きついた。ぎゅっと力を込めて抱きしめ返されると、嬉しすぎて泣けてくる。
「親、好き…」
一生云わないと思っていた自分の気持ちを改めて口にする。
「俺も好きだ、尊」
「嬉しい…」
「尊…」
名前を呼ばれると同時に押し倒され、ぴったりとくっついていた身体に隙間ができた。そのわずかな隙間が堪らなく淋しい。でも、それを埋めるようなキスが降る。
啄ばむように唇同士を触れ合わせる。少しカサついた親彬の唇をリアルに感じ、ぶるっと震えた。親彬の舌が尊の唇の形をなぞるように動き、やがて口内に入ってくる。迎えるように舌を絡め、唾液を交換する。
「はぁ…ぁ」
想い合ってのキスがこんなに気持ち良いものだとは思わなかった。勿論、尊は親彬だけしか経験はない。前の二回はおっかなびっくりで、流されたような気がする。自分の気持ちに気付いてからも、その気持ちは出さないようにしていた。
「尊、良いか?」
「何が?」
「えっ?」
(えっ、て何?親は何を聞いてきたの?ここで、『良いか?』ってことは…ええっ!そう云うこと?!)
「う、うん」
あからさまにホッとした顔で、再びキス。それからの親彬は早かった。キスで惚けている間に着物を全て脱がされた。首筋に舌を這わせ、鎖骨、胸を執拗に舐められる。尊はされるがまま、喘いでいる。舌だけではなく、掌で撫で回され、硬くなった胸の突起を指先で擦られるとくすぐったくて身を捻る。
「ひゃっ…やっ、親、やだっ、て…」
親彬はまだ単衣を羽織っている。その単衣を脱がせて、親彬に一矢報いたい。親彬にとっても、そこは性感帯だったはず。両手で合わせを持って、脱がせようとするけれど、親彬にしてみれば、やはり、縋っているようにしか見えないだろう。健気な尊をぎゅっと抱きしめる。尊は脱がせるのを邪魔された格好だが、親彬は内心悶えた。
「尊、愛しい君。もう、俺だけの人になって…。誰にも触らせたくない。誰にも見せたくない。尊、愛してる」
歯の浮くような台詞も親彬なら似合う。しかし、舞い上がりそうなそんな台詞に、尊は少し寂しさを覚えた。
(これって、僕だけに云ってるってことは…ないよね…。でも、好きって、愛してるって云ってくれた。僕はそれで満足だよ)
「うん」
嬉し恥ずかし、両想いになって初めての触れ合いだ。尊は親彬の膝の上に、脚を広げ、跨ぐように向かい合わせに座る。脇の下に両腕を回し、コアラのように抱きついた。ぎゅっと力を込めて抱きしめ返されると、嬉しすぎて泣けてくる。
「親、好き…」
一生云わないと思っていた自分の気持ちを改めて口にする。
「俺も好きだ、尊」
「嬉しい…」
「尊…」
名前を呼ばれると同時に押し倒され、ぴったりとくっついていた身体に隙間ができた。そのわずかな隙間が堪らなく淋しい。でも、それを埋めるようなキスが降る。
啄ばむように唇同士を触れ合わせる。少しカサついた親彬の唇をリアルに感じ、ぶるっと震えた。親彬の舌が尊の唇の形をなぞるように動き、やがて口内に入ってくる。迎えるように舌を絡め、唾液を交換する。
「はぁ…ぁ」
想い合ってのキスがこんなに気持ち良いものだとは思わなかった。勿論、尊は親彬だけしか経験はない。前の二回はおっかなびっくりで、流されたような気がする。自分の気持ちに気付いてからも、その気持ちは出さないようにしていた。
「尊、良いか?」
「何が?」
「えっ?」
(えっ、て何?親は何を聞いてきたの?ここで、『良いか?』ってことは…ええっ!そう云うこと?!)
「う、うん」
あからさまにホッとした顔で、再びキス。それからの親彬は早かった。キスで惚けている間に着物を全て脱がされた。首筋に舌を這わせ、鎖骨、胸を執拗に舐められる。尊はされるがまま、喘いでいる。舌だけではなく、掌で撫で回され、硬くなった胸の突起を指先で擦られるとくすぐったくて身を捻る。
「ひゃっ…やっ、親、やだっ、て…」
親彬はまだ単衣を羽織っている。その単衣を脱がせて、親彬に一矢報いたい。親彬にとっても、そこは性感帯だったはず。両手で合わせを持って、脱がせようとするけれど、親彬にしてみれば、やはり、縋っているようにしか見えないだろう。健気な尊をぎゅっと抱きしめる。尊は脱がせるのを邪魔された格好だが、親彬は内心悶えた。
「尊、愛しい君。もう、俺だけの人になって…。誰にも触らせたくない。誰にも見せたくない。尊、愛してる」
歯の浮くような台詞も親彬なら似合う。しかし、舞い上がりそうなそんな台詞に、尊は少し寂しさを覚えた。
(これって、僕だけに云ってるってことは…ないよね…。でも、好きって、愛してるって云ってくれた。僕はそれで満足だよ)
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
あの日、北京の街角で4 大連デイズ
ゆまは なお
BL
『あの日、北京の街角で』続編。
先に『あの日、北京の街角で』をご覧くださいm(__)m
https://www.alphapolis.co.jp/novel/28475021/523219176
大連で始まる孝弘と祐樹の駐在員生活。
2人のラブラブな日常をお楽しみください。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる