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ハルと言えば一、カズと言えば春

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「大丈夫?歩ける?」

ホテルから出てファミレスで晩御飯。そこに向かうはるちゃんはどことなく歩き辛そうだった。

無理をさせた自覚はある。でも、最後まではシテいない。これ、ホントにできるの?

はるちゃんは良いよって言ってくれた。
俺はギリギリ踏みとどまった。

でも、幸せ。

何とか中で少しの快感を拾い始め、はるちゃんのが少し勃ち上がり安心した。はるちゃんの痴態に興奮するものの、二人とも刺激が足りないのでイクことはできない。前回と同じようにお互いのものを一緒に扱き一緒にイッた。それからもう一度軽くシャワーを浴びてホテルを出た。



はるちゃんはパスタとサラダ、俺はハンバーグのセット。向かい合って食べている。恥ずかしいのか俯きがちのはるちゃんはそれでも俺を見る。その上目遣いが俺を直撃する。主に下半身に。

「おっ!一登だ」
あれ、浮気?

はるちゃんをチラリと見て耳元でバカなことを言う直樹の頭を叩いた。直樹の後ろには中学から直樹が想いを寄せる川畑みなみが立っている。

直樹が俺と同じ高校を受けた理由の一番はこの川畑がいたからだ。そりゃ俺と一緒なら色々楽だと思ったとは思うけど、数学とか、数学とか、数学とか…そんなのは俺が居なくても何とかなる。直樹にとって川畑の代わりは居ない。その川畑の手前クラスメイトとしてはるちゃんを紹介しなければならない。

「浮気なんかしてねぇよ」
「えっ?嘘…」
「直樹、何見とれてんの?」

川畑は、はるちゃんをそれこそ穴が開くほど凝視している直樹にヤキモチだ。何だよ、押しに弱いから仕方なく付き合ってもらってるんだ…なんて言ってたのに案外好かれてるじゃん。

「いや、こいつ男だし…」
「嘘!」
「俺のクラスの藍川だよ」
「ああ、いつも一番前で相沢背負ってる感じの」
「何だよ、それ?」
「えっ、だって、前から見たらそんなじゃん…。可愛いね。わたしと同じくらい?」
「みなみのが断然可愛いし!」

直樹…そこはムキになるとこか?はるちゃん男だぞ?まあ、はるちゃんのが断然可愛いけど。

何故か一緒のテーブルで食べることになり、はるちゃんの隣に素早く移動した。それ程混んでなくて、空いてるテーブルはあるのに、直樹に押し切られた。

はるちゃんはパフェを頬張り、俺はコーヒーを飲んでいる。当然後から注文した二人は今夕食の真っ最中。

「なあなあ、次の試験も一緒に勉強するんだろ?俺も数学教えてくれよ。数Aヤバいんだ」

直樹たちが来てからはるちゃんはあまりしゃべらない。川畑が苦手なのかな?

「藍川、どうする?」
「えっ?僕はどっちでも。相沢くんが良いなら」
「何だよ…藍川はヤキモチか?」
「ちょ!坂口くん!」
「おい!直樹!」
「何何?二人はそう言う関係?」

三者三様の声は割と大きく響き、直樹に怒られた。お前が一番悪いんだろ!

「直樹、良い加減にしろよ」
「そうだよ…約束したじゃない。もしかして他でも?」

はるちゃんが不安そうな顔をする。

「いやいや、そんなわけないだろ?悪かったって。みなみにはちゃんと言っとくから」
「川畑さん、黙っててくれますか?」
「ん…どうしよっかなぁ」
「おい、みなみ!」
「お願いします」

はるちゃんは真剣に頭を下げる。俺は川畑にそこまでする気になれず、軽く睨む。それにしても男同士で付き合ってるのをすんなり受け入れてるよ。俺たちにとってはありがたいけど。

「相沢は良いわけ?わたしにそんな態度で」
「いや、まあはるちゃんのために黙ってて欲しいけど」
「はるちゃん?」
「春彦って言うんだ」
「ふぅん。はるちゃんね」
「あの!そんなふうに呼ばないでもらえますか?」

あはっ、そうだよな。俺だけ…だったな。弱みを握られててもそこは変わらないんだ。

「あら、怖い」
「お前そんな奴だったっけ?」
「あら、わたしはいつもこんな感じよ。ね、直樹」
「直樹、尻に敷かれてんのかよ」
「失礼ね」
「そうだぞ!俺は潜り込んで踏まれてんだよ」
「何だそりゃ」
「あの…それで、黙ってるのは?」
「ああ、そうね…今度、この四人で出掛けるってのはどう?ダブルデート」
「それが黙っとく条件か?男三人に女一人だけど、良いの?」

こうして四人で出掛けることが決定した。
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