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エピローグ
エピローグ2 寝取りクソ野郎とクソエルフは悲惨な末路となりました
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……さて、一方のリマとリグレについてはどうだろう。
「くっそ~! なんでボクをこんな檻に……」
「うるせーな。リマ、その臭い口、少しは閉じろよな?」
二人は現在刑務所で仲良く刑務所生活をしている。
リグレは退屈しのぎにリマをからかうような口調で尋ねる。
「にしてもよ。あんた『催眠アプリ』なんてもん、持ってたんだってな。驚いたよ」
「ふん……もう、そのアプリの力もなくしたけどね。それもこれも、みんなリグレ、お前のせいだよ!」
「けど、お前がそれを使った証拠も消えたんだろ? 罪が軽くなってよかったじゃんか?」
「それはお前らエルフの立場ならな!」
リマは結局横領の罪にしか問われず、催眠による性的搾取や金や住居を奪う行為については問うことが出来なかった。
そのため、刑罰は『たったの懲役200年の微罪』という異例の判決となり、世間を騒がせた。
……言うまでもないが、この法律は竜族とエルフの手によってつくられている。
どうやっても年長者が偉くなりやすいこの世界では、基本的に長命種が基準となった決まりが出来るのだろう。
そのことは短命種にとってメリットになることも時にはあるが、少なくとも刑罰を受ける側にとっては、これ自体が都合の悪い法律といっても差し支えない。
因みにリグレは『放氷(放火の氷版)』の罪により。懲役400年となっている。
それでも死刑にならなかっただけマシだと思うべきなのかもしれないが、リマはそうは思っていなかった。
リグレは苦しそうに横になってるリマに尋ねる。
「……ところでさ、あんた。なんでいつも寝てるんだ?」
「起きようとすると……激痛が走るからだよ」
「へえ。寝たきりってわけか」
「そう。……それに頭もなんか落ち着かないから……本を読んだり小説を書いたりも出来ないし……何より、目がもうほとんど見えないんだよ、ボクはね」
リマはこの10年間の暴飲暴食と運動不足がたたって、刑務所に入って間もなく、完全に体を壊してしまった。
この世界の文明水準と囚人に対する人権意識では、まともな治療も受けることが出来ず、彼は日がな一日ベッドに横たわることしか出来なかった。
リマはごろんと寝返りを打つとリグレに尋ねる。
「ねえ、この世界の死刑って、どんな感じなの?」
「あん、知らねえのか? 魂を抜き取る魔法を使って殺すんだよ」
「それってさ、痛みとかはあるの?」
「ある訳ねえよ。その為に作られた魔法なんだからな」
それを聞いて、リマは悔しそうな顔をした。
「くそお……じゃあさ、ボクにその魔法をかけてもらうことってできるの!?」
「出来る訳ねえだろ? お前はそこでそのボロボロの身体で、病死するまで生きることしか許されねえんだよ」
リマはそのリグレの発言に、少し泣きべそをかいた。
「そんなの嫌だよ! もうボク、こんな冷たい牢屋で、こんなボロボロの体で生きるのはごめんだよ……。なんでボクばっかり、こんな不幸になるんだよ……」
「はあ? お前の話は聞いたぜ? 催眠アプリを使って、どれだけ他人からいろいろなものを奪って来たんだ! こんなの報いにもならねえよ! 俺なんか、真面目に仕事をやってたのに周囲から誤解されてよお……」
「おい、二人ともうるさいぞ!」
そう二人が自己憐憫交じりの恨み言を言っていると、耳障りに感じたのか、看守が降りてきた。
種族はリャナンシーで、性別は女性。
……その種族の特性上夫と死別することが多い。
「リマ! ……貴様は……催眠アプリと言う素晴らしいスキルを持ちながら……なぜ、人のために使おうとしなかったんだ?」
「だって、あの力を手に入れたら、そりゃ奴隷を作って『ハーレムニート生活』を送りたいと思うでしょ?」
その発言に、看守は同意した。
「まあな。……その気持ちは分かる。だが、その誘惑に勝てなかったのは……お前自身の弱さが、原因だ……。残念だよ……本当にな」
「そう言うってことは、キミも何か催眠かけてほしかったの?」
「ああ。そんな力があるなら……死んだ夫を忘れなくさせる催眠を……かけてほしかったよ……」
そう悲壮な表情で答える看守。
「私はリャナンシーだ。夫は私が精気を吸いつくして殺したようなものなのに……。あいつは最期まで笑って、恨みもせず私のために歌を作ってくれた……。せめてあいつを悼み続けていたいのに、そんな思いが日に日に薄れていく自分の酷薄さが許せないんだ……」
だが、リマは彼女の想いを理解できないという表情で答える。
「パートナーが死ぬのって悲しいもの? ボクは別に性奴隷ちゃんが死んでも、新しい子を探せばいいって思うけどね。今度はどんな子がいいかな~って悩む方が楽しいじゃん?」
看守は彼の発言に対して軽蔑するように答える。
「……貴様がそういう男だから、催眠アプリを悪用できたのだろうな」
「フン! ……ところでさ、看守さん。ボクの裁判ってやり直せない? もう死刑でも良いからさあ!」
リマは、いまだに転移前の世界の感覚でものを語っている。
……この世界には、いわゆる三審制など存在しないため、一度判決が決まったら覆ることはない。
当然だが恩赦という概念もない。
「もう遅い。せいぜいそこで、僅かな命を貪るんだな」
看守はリマの発言に、半ば呆れたように吐き捨て、去っていった。
リグレも部屋の隅で横になったのを見て、リマも目を閉じる。
「くそう……そうだよなあ……。ボクが……『催眠アプリを誰か、人のために使う』……そんな『世界線』があったのかなあ……もしあったら、せめて夢の中だけでも……見てみたかった……な……」
そして、そう遠くない未来に来る死を待ち遠しく思いながら眠りについた。
「くっそ~! なんでボクをこんな檻に……」
「うるせーな。リマ、その臭い口、少しは閉じろよな?」
二人は現在刑務所で仲良く刑務所生活をしている。
リグレは退屈しのぎにリマをからかうような口調で尋ねる。
「にしてもよ。あんた『催眠アプリ』なんてもん、持ってたんだってな。驚いたよ」
「ふん……もう、そのアプリの力もなくしたけどね。それもこれも、みんなリグレ、お前のせいだよ!」
「けど、お前がそれを使った証拠も消えたんだろ? 罪が軽くなってよかったじゃんか?」
「それはお前らエルフの立場ならな!」
リマは結局横領の罪にしか問われず、催眠による性的搾取や金や住居を奪う行為については問うことが出来なかった。
そのため、刑罰は『たったの懲役200年の微罪』という異例の判決となり、世間を騒がせた。
……言うまでもないが、この法律は竜族とエルフの手によってつくられている。
どうやっても年長者が偉くなりやすいこの世界では、基本的に長命種が基準となった決まりが出来るのだろう。
そのことは短命種にとってメリットになることも時にはあるが、少なくとも刑罰を受ける側にとっては、これ自体が都合の悪い法律といっても差し支えない。
因みにリグレは『放氷(放火の氷版)』の罪により。懲役400年となっている。
それでも死刑にならなかっただけマシだと思うべきなのかもしれないが、リマはそうは思っていなかった。
リグレは苦しそうに横になってるリマに尋ねる。
「……ところでさ、あんた。なんでいつも寝てるんだ?」
「起きようとすると……激痛が走るからだよ」
「へえ。寝たきりってわけか」
「そう。……それに頭もなんか落ち着かないから……本を読んだり小説を書いたりも出来ないし……何より、目がもうほとんど見えないんだよ、ボクはね」
リマはこの10年間の暴飲暴食と運動不足がたたって、刑務所に入って間もなく、完全に体を壊してしまった。
この世界の文明水準と囚人に対する人権意識では、まともな治療も受けることが出来ず、彼は日がな一日ベッドに横たわることしか出来なかった。
リマはごろんと寝返りを打つとリグレに尋ねる。
「ねえ、この世界の死刑って、どんな感じなの?」
「あん、知らねえのか? 魂を抜き取る魔法を使って殺すんだよ」
「それってさ、痛みとかはあるの?」
「ある訳ねえよ。その為に作られた魔法なんだからな」
それを聞いて、リマは悔しそうな顔をした。
「くそお……じゃあさ、ボクにその魔法をかけてもらうことってできるの!?」
「出来る訳ねえだろ? お前はそこでそのボロボロの身体で、病死するまで生きることしか許されねえんだよ」
リマはそのリグレの発言に、少し泣きべそをかいた。
「そんなの嫌だよ! もうボク、こんな冷たい牢屋で、こんなボロボロの体で生きるのはごめんだよ……。なんでボクばっかり、こんな不幸になるんだよ……」
「はあ? お前の話は聞いたぜ? 催眠アプリを使って、どれだけ他人からいろいろなものを奪って来たんだ! こんなの報いにもならねえよ! 俺なんか、真面目に仕事をやってたのに周囲から誤解されてよお……」
「おい、二人ともうるさいぞ!」
そう二人が自己憐憫交じりの恨み言を言っていると、耳障りに感じたのか、看守が降りてきた。
種族はリャナンシーで、性別は女性。
……その種族の特性上夫と死別することが多い。
「リマ! ……貴様は……催眠アプリと言う素晴らしいスキルを持ちながら……なぜ、人のために使おうとしなかったんだ?」
「だって、あの力を手に入れたら、そりゃ奴隷を作って『ハーレムニート生活』を送りたいと思うでしょ?」
その発言に、看守は同意した。
「まあな。……その気持ちは分かる。だが、その誘惑に勝てなかったのは……お前自身の弱さが、原因だ……。残念だよ……本当にな」
「そう言うってことは、キミも何か催眠かけてほしかったの?」
「ああ。そんな力があるなら……死んだ夫を忘れなくさせる催眠を……かけてほしかったよ……」
そう悲壮な表情で答える看守。
「私はリャナンシーだ。夫は私が精気を吸いつくして殺したようなものなのに……。あいつは最期まで笑って、恨みもせず私のために歌を作ってくれた……。せめてあいつを悼み続けていたいのに、そんな思いが日に日に薄れていく自分の酷薄さが許せないんだ……」
だが、リマは彼女の想いを理解できないという表情で答える。
「パートナーが死ぬのって悲しいもの? ボクは別に性奴隷ちゃんが死んでも、新しい子を探せばいいって思うけどね。今度はどんな子がいいかな~って悩む方が楽しいじゃん?」
看守は彼の発言に対して軽蔑するように答える。
「……貴様がそういう男だから、催眠アプリを悪用できたのだろうな」
「フン! ……ところでさ、看守さん。ボクの裁判ってやり直せない? もう死刑でも良いからさあ!」
リマは、いまだに転移前の世界の感覚でものを語っている。
……この世界には、いわゆる三審制など存在しないため、一度判決が決まったら覆ることはない。
当然だが恩赦という概念もない。
「もう遅い。せいぜいそこで、僅かな命を貪るんだな」
看守はリマの発言に、半ば呆れたように吐き捨て、去っていった。
リグレも部屋の隅で横になったのを見て、リマも目を閉じる。
「くそう……そうだよなあ……。ボクが……『催眠アプリを誰か、人のために使う』……そんな『世界線』があったのかなあ……もしあったら、せめて夢の中だけでも……見てみたかった……な……」
そして、そう遠くない未来に来る死を待ち遠しく思いながら眠りについた。
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