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滅咒師と金蚕蠱 その4
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「陰陽のバランスよ。
良いことと悪いことは、表裏一体なの。
三年に一度、誰かを呪い殺さなければ、金蚕蠱を作り出した人は財産を失って病気になり、
最後には死んでしまう」
「だったら退治しちゃえばいいじゃないですか」
「金蚕蠱は不死身なのよ。
一度作り出すと五百年は死なないの」
「でも、さっき、江戸時代に退治されたって言ってませんでした?」
「ひとつだけ金蚕蠱を滅ぼす方法があるそうよ。
だけど、その方法がわからないの」
「なにかヒントはないんですか?」
「ご先祖からの言い伝えによると、八咫烏のちからを借りて金蚕蠱を退治したそうよ。
でも、八咫烏がどういう役割を果たしていたのか、今ではもう、わからないわ」
「このまま放っておくと、どうなるんですか?」
「蠱病に罹って誰かが死ぬわ。
それも三年にひとりずつ」
「奥様、近ごろ、商店街で八咫烏の目撃が相次いでおりますが」
「それだけ金蚕蠱の邪気が強くなっている証拠だわ」
「ミーの調べによりますと、八咫烏には金蚕蠱を溶かす霊力があるそうです」
「まあ、そうなの?」
「間違いありません。奥様は八咫烏を呼び寄せる方法をご存知でしょう。
八咫烏を呼び出していただければ、私が捕まえて、金蚕蠱を退治して差し上げましょう」
「八咫烏を捕まえるなんて、そんなことを考えてはいけないわ。
人間が霊鳥を捕まえることなどできません」
「フツウの人間にはムリでしょうけど、ミーには、これがあります」
小野寺さんはバッグから布の包を取り出して広げた。
「それは……」
「オニヨモギです。これさえあれば、
八咫烏の霊力を封じることができます」
「あなた、どうしてそんなものを?」
「ミーも長年、未確認生物を追っています。
未確認生物というのは、ほとんどが妖怪。ですから霊力をもっております。
霊力を封じなければ、未確認生物を捕まえることはできません」
小野寺さんの口元が怪しく歪んだ。
「そこで、大峯山裏霊場の法師から、オニヨモギを分けていただいたわけです」
「あの方が……
いけないわ。霊の世界に手を出しては」
「こうでもしなければ、金蚕蠱を滅ぼすことはできません。
その気になりましたら、いつでもご連絡ください」
「考えて……おきます」
小野寺さんが車に戻ったので、俺も車に乗った。
「なんか、アヤシイな。
小野寺さん、八咫烏を捕まえてどうするつもりですか?」
「言ったでしょう。金蚕蠱を退治するんだよ」
「それは表向きの理由で、本当の目的は他にあるんでしょう?」
「それは秘密だって言ってるでしょう」
良いことと悪いことは、表裏一体なの。
三年に一度、誰かを呪い殺さなければ、金蚕蠱を作り出した人は財産を失って病気になり、
最後には死んでしまう」
「だったら退治しちゃえばいいじゃないですか」
「金蚕蠱は不死身なのよ。
一度作り出すと五百年は死なないの」
「でも、さっき、江戸時代に退治されたって言ってませんでした?」
「ひとつだけ金蚕蠱を滅ぼす方法があるそうよ。
だけど、その方法がわからないの」
「なにかヒントはないんですか?」
「ご先祖からの言い伝えによると、八咫烏のちからを借りて金蚕蠱を退治したそうよ。
でも、八咫烏がどういう役割を果たしていたのか、今ではもう、わからないわ」
「このまま放っておくと、どうなるんですか?」
「蠱病に罹って誰かが死ぬわ。
それも三年にひとりずつ」
「奥様、近ごろ、商店街で八咫烏の目撃が相次いでおりますが」
「それだけ金蚕蠱の邪気が強くなっている証拠だわ」
「ミーの調べによりますと、八咫烏には金蚕蠱を溶かす霊力があるそうです」
「まあ、そうなの?」
「間違いありません。奥様は八咫烏を呼び寄せる方法をご存知でしょう。
八咫烏を呼び出していただければ、私が捕まえて、金蚕蠱を退治して差し上げましょう」
「八咫烏を捕まえるなんて、そんなことを考えてはいけないわ。
人間が霊鳥を捕まえることなどできません」
「フツウの人間にはムリでしょうけど、ミーには、これがあります」
小野寺さんはバッグから布の包を取り出して広げた。
「それは……」
「オニヨモギです。これさえあれば、
八咫烏の霊力を封じることができます」
「あなた、どうしてそんなものを?」
「ミーも長年、未確認生物を追っています。
未確認生物というのは、ほとんどが妖怪。ですから霊力をもっております。
霊力を封じなければ、未確認生物を捕まえることはできません」
小野寺さんの口元が怪しく歪んだ。
「そこで、大峯山裏霊場の法師から、オニヨモギを分けていただいたわけです」
「あの方が……
いけないわ。霊の世界に手を出しては」
「こうでもしなければ、金蚕蠱を滅ぼすことはできません。
その気になりましたら、いつでもご連絡ください」
「考えて……おきます」
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「なんか、アヤシイな。
小野寺さん、八咫烏を捕まえてどうするつもりですか?」
「言ったでしょう。金蚕蠱を退治するんだよ」
「それは表向きの理由で、本当の目的は他にあるんでしょう?」
「それは秘密だって言ってるでしょう」
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