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永生賓館の周囲

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 エイミーが入って行った建物は五階建てだった。間口は広く、奥行きもありそうだ。

 ドアの上にある看板には「永生賓館えいせいひんかん」と書いてある。

 確か「賓館」は、ホテルという意味だ。

 フォーシーズンズ・ホテルは中国語で「四季賓館」だと誰かから聞いた記憶がある。

 しかし目の前の建物は、賓館なんてしろものではない。さっき見た招待所と同じだ。

 周囲を見回すと、永生賓館の斜め向かいに康福診所という看板があった。

 その看板の下に金文字で大きく「楊家代十八代名医 楊祭国」と書いてある。

 いかにも田舎の診療所という感じの小さな入口だ。

 その看板の上に古い表示板がある。所々ペンキが剥げていて読みづらいが「肉仏巷」と書いてあるようだ。

 上海でも同じ字を見かけたことがある。

 「巷」というのは細い路地を表す言葉らしい。つまり俺が立っているこの道の名前が、肉仏巷なのだろう。

 僧肉村と言い、肉仏巷と言い、薄気味悪い名前だ。

 永生賓館の右隣は二階建ての建物で「蜀味居」という看板が出ている。

 日に焼けたメニューが張り出されているから、飲食店だということはわかる。レストランと言うよりは食堂に近い。

 永生賓館の右隣は、俺たちのワゴン車が走って来たやや広い道と肉仏巷が交わる角の建物で「僧肉饅頭」という看板がかかっていた。

 村の名前が僧肉村だからだろうが、悪趣味な名前だ。
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