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本編1
褐色肌のエキゾチック男子ハルト様の距離が異様に近いんですけど!?
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早足で歩いていると、クラスメイトのハルトに声をかけられた。
彼は、隣国のコスモンス伯爵家の方で、褐色の肌に青い瞳、エキゾチックな美形男子である。
「おはようございます。カーティス様。大丈夫ですか?」
(さっきの騒動だもの。きっと見られていたのね。)
「ええ、大丈夫です。ご心配をありがとうございます。」
しかし、ハルトはすっと目を細めて口を開く。
「お荷物を全て左腕に持たれていますね?右の腕をお怪我されているのでは?少し見せていただけますか?」
ハルトが腕を伸ばしてアイネの服の右袖を掴もうとする。
(顔面偏差値が高すぎて心臓に悪いわ。)
アイネは全然違うことを考えていたのだが、ふと我に返って断った。
「コスモンス様、お気遣いはありがたいのですが、始業時間に遅刻してしまうのは避けたいので、後で医務室に行こうと思います。」
ハルトはすっと腕を下ろす。
「仕方ない方ですね。ではお昼休憩になったら医務室に行ってくださいね。私が同行しますので。」
(どうして彼がそこまで私の心配をするのかしら?)
不思議そうな顔をしているとハルトが私の耳元で囁いた。
「「僕の従魔のシロがね、あなたのこと女神様だって言うのです。心当たりはありませんか?」」
(シロって、天界でお世話になった神獣犬のシロ様かしら?)
転生前にお世話になったシロさんであれば、ゆっくりお話ししてみたい。
ハルトにもっと深く話を聞いてみたいけれど、今は時間がないし、場所が悪い。結局、お昼を一緒に過ごす約束をして、早足で教室に向かい、席についた。
◆◆◆◆◆
教室に着くと、担任のジークハルト先生からこの学園の仕組みの説明を受けた。
学園では入学年度に合わせて1~6年生が存在し、それぞれ1年間で履修しないといけない単位数が決まっている。
授業は学年別ではなく、好きな教科を能力に合わせて選択できるようになっている。能力に合わせて、という部分が大事で、各授業に受講するための資格要件が設定されている。
その種類は膨大な数が存在していて、受講者数が少なくても開講してくれる。この国の最高峰の学校だからこその手厚い配慮である。
授業の種類は全部説明するのは時間が足りなからと、分厚い冊子が配布された。
(大学の授業みたいで楽しそう、なんだかワクワクするわ。後で隅から隅までしっかり読みましょう。)
授業は基本的に50分x 5限目まで。6,7限目は課外活動などを履修する。6,7限目の多くは案内人と組んで、地域の活動に参加して見聞を広めるとのこと。
こちらも提携団体や貴族家など多様なネットワークがあって、冊子にリストが載っているそうだ。
(これも楽しそうね。いろいろな体験をできる機会は非常にありがたいわね。)
また食事については、学内の食事処で無料でいただける。家庭環境に左右されずに、安心して学業に専念できるようにと、これも国からの手厚い配慮であり、至れり尽くせりだ。
生徒が食べた食事は学生カードに記録されており、摂取したメニューや栄養のバランスを記録してくれるサービスまである。
(この世界でこのレベルのサービスを提供しているなんて、さすが最高峰校ね。)
◆◆◆◆◆
お昼になると、先生が退出してすぐに、セシル殿下が入ってきた。
「アイネ嬢、怪我は大丈夫だろうか?ヘレナ嬢の件で迷惑をかけたようだね。申し訳ない。僕の失態だ。」
セシル殿下は頭こそ下げないが、悲痛な顔で謝罪してきた。
「どうして殿下が謝罪されるのですか?あの方と殿下は何かご関係のある方なのでしょうか?」
セシル殿下はギョッとした顔で大きく首を振る。
「まさか。いつも付き纏われて、困っていたんだ。なるべく接触しないように気をつけていたのだが、まさかこんな形で迷惑をかけることになるとは。本当に申し訳なかった。」
(殿下も大変なのね。)
彼は、隣国のコスモンス伯爵家の方で、褐色の肌に青い瞳、エキゾチックな美形男子である。
「おはようございます。カーティス様。大丈夫ですか?」
(さっきの騒動だもの。きっと見られていたのね。)
「ええ、大丈夫です。ご心配をありがとうございます。」
しかし、ハルトはすっと目を細めて口を開く。
「お荷物を全て左腕に持たれていますね?右の腕をお怪我されているのでは?少し見せていただけますか?」
ハルトが腕を伸ばしてアイネの服の右袖を掴もうとする。
(顔面偏差値が高すぎて心臓に悪いわ。)
アイネは全然違うことを考えていたのだが、ふと我に返って断った。
「コスモンス様、お気遣いはありがたいのですが、始業時間に遅刻してしまうのは避けたいので、後で医務室に行こうと思います。」
ハルトはすっと腕を下ろす。
「仕方ない方ですね。ではお昼休憩になったら医務室に行ってくださいね。私が同行しますので。」
(どうして彼がそこまで私の心配をするのかしら?)
不思議そうな顔をしているとハルトが私の耳元で囁いた。
「「僕の従魔のシロがね、あなたのこと女神様だって言うのです。心当たりはありませんか?」」
(シロって、天界でお世話になった神獣犬のシロ様かしら?)
転生前にお世話になったシロさんであれば、ゆっくりお話ししてみたい。
ハルトにもっと深く話を聞いてみたいけれど、今は時間がないし、場所が悪い。結局、お昼を一緒に過ごす約束をして、早足で教室に向かい、席についた。
◆◆◆◆◆
教室に着くと、担任のジークハルト先生からこの学園の仕組みの説明を受けた。
学園では入学年度に合わせて1~6年生が存在し、それぞれ1年間で履修しないといけない単位数が決まっている。
授業は学年別ではなく、好きな教科を能力に合わせて選択できるようになっている。能力に合わせて、という部分が大事で、各授業に受講するための資格要件が設定されている。
その種類は膨大な数が存在していて、受講者数が少なくても開講してくれる。この国の最高峰の学校だからこその手厚い配慮である。
授業の種類は全部説明するのは時間が足りなからと、分厚い冊子が配布された。
(大学の授業みたいで楽しそう、なんだかワクワクするわ。後で隅から隅までしっかり読みましょう。)
授業は基本的に50分x 5限目まで。6,7限目は課外活動などを履修する。6,7限目の多くは案内人と組んで、地域の活動に参加して見聞を広めるとのこと。
こちらも提携団体や貴族家など多様なネットワークがあって、冊子にリストが載っているそうだ。
(これも楽しそうね。いろいろな体験をできる機会は非常にありがたいわね。)
また食事については、学内の食事処で無料でいただける。家庭環境に左右されずに、安心して学業に専念できるようにと、これも国からの手厚い配慮であり、至れり尽くせりだ。
生徒が食べた食事は学生カードに記録されており、摂取したメニューや栄養のバランスを記録してくれるサービスまである。
(この世界でこのレベルのサービスを提供しているなんて、さすが最高峰校ね。)
◆◆◆◆◆
お昼になると、先生が退出してすぐに、セシル殿下が入ってきた。
「アイネ嬢、怪我は大丈夫だろうか?ヘレナ嬢の件で迷惑をかけたようだね。申し訳ない。僕の失態だ。」
セシル殿下は頭こそ下げないが、悲痛な顔で謝罪してきた。
「どうして殿下が謝罪されるのですか?あの方と殿下は何かご関係のある方なのでしょうか?」
セシル殿下はギョッとした顔で大きく首を振る。
「まさか。いつも付き纏われて、困っていたんだ。なるべく接触しないように気をつけていたのだが、まさかこんな形で迷惑をかけることになるとは。本当に申し訳なかった。」
(殿下も大変なのね。)
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