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ワルシャワ領主の身分は男爵なので、マリーナの方の身分の方が高い。
だが、領主はマリーナを一目見ると、敬語ではなく同格の相手に接するように言葉を発した。

「ようこそいらっしゃった。初めまして、ワルシャワ領主を務めるアレックス・ジェームズ・ワルシャワだ。」

マリーナは少し違和感を覚えながらも、挨拶を返す。
「新たに子爵家を継ぐことになったマリーナ・エマ・ナンダッテですわ。気さくなお迎え感謝します。」

やや棘のある返答をしたが、ワルシャワ領主は気づいたかしら。
2人は差し障りのない簡単な話を終えると、先にワルシャワ領主が本題に入った。

「マリーナ殿、この地に派遣いただいていた戦闘団が昨日、滞在していた当家の離れごと忽然と消えたのだが、彼らはどこに行ったのだ?」

私の方が身分が上なのだけれど、この話し方は貴族のマウンティングのようなものかしら?新人で年下だからきっと侮られているのね。ここはリアムに動いてもらいましょう。

マリーナがリアムに小声で耳打ちすると、リアムが発言した。
「ワルシャワ領主様、発言の許可を。
当家の主人は子爵にあらせられます。そして貴方様とは初対面で名前を呼び合う間柄にはございません。また身分も主人の方が上でございます。言葉遣いに対して抗議申し上げます。」

マリーナが茶番の演技のように口を開く。
「あらリアム、そのような正論は皆さん分かっておいでのはずよ。
きっと領主様は私を歓迎していないのね。先ほどからこの家の執事も私を睨んでいるようだし、不愉快だわ。挨拶は済ませたし、帰りましょうか。」

「お、お待ちください!申し訳ございませんでした、少し冗談が過ぎました。お話を続けていただけますでしょうか、ナンダッテ子爵様!」
ワルシャワ領主が見事なスライディング土下座を決めたのであった。
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