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第2章【鳥と話す少年】
【閻魔の息子】29
しおりを挟む仕方なく張り込みを諦め、二人は天魔界へ連絡する事にした。
「大王様、沙羅にございます。遅くに申し訳ございません。」
「おお、沙羅か待っていたぞ。輪廻はどうしておる?」
「只今」
「親父、俺だ」
「輪廻、久しぶりだのう。聞いてはおったがすっかりそっちには慣れた様だな」
「まあな、それより沙羅から聞いたぞキマラの事」
「うむ、後鬼殿が長期不在で昨日分かったんだが、あの者が後鬼殿のご子息とは…。で、何か分かったのか?」
「いや…手がかりなしだ。まだ足取りが掴めていない」
「そうか、すまないなこちらの管理のせいで余計なことを。生活を始めたばかりなのに…ところで人間はどうだ?」
「ああ、悪い人間ばかりじゃないけど…今、ちょっと厄介な事件に巻き込まれてる」
「どうかしたのか?」
閻魔に今までの経緯を説明した。
「うむ…。放っておく訳にはいくまい。犠牲者が増える前に何とかその父親の怨念を祓すのだ」
「ああ、俺もそう思ってる」
「キマラの事は分かり次第教えてくれ。些細な事でも構わん」
「分かった」
「輪廻、沙羅、頑張るのだぞ。特によいか輪廻、たとえ人間の死に直面したとしても流されてはならないぞ。悲しみは我が生業には必要ない」
「…」
「それでは大王様」
“正直なんでそう言い切れるのか分からなかった。人間になった事も無い奴に何故?…。弱い人間だからこそ悲しみも人一倍大きな物に…。その大きさは人間になった者でないと分からないと。たとえそれが親父の言うことでも。”
アパートに帰ると既に裕子は就寝していた。
「子を思う親の心か…。俺にはまだわかんねぇ…」
翌朝―
“今日は店の定休日。裕子は部活があるとかで学校へ。仕事は休みだけと休んでなんかいられない。”
「もう少ししたら慶太を見舞いに行ってくるか」
沙羅は輪廻とは別行動でキマラの足取りを調査していた。
「裏山から大体は見てきたんだけどな…。隠れていそうなところって?難しいな~」
すると輪廻がそこへやってくる。
「おーい、沙羅~!どこだ~」
「あ、リン様だ。死神、お前達は他の情報探って」
「ウヒー、了解」
死神達が街へと散らばって行く。
「リン様~、こっちで~す」
「沙羅、どうだ何か分かったか?」
「それが一向に」
「そうか…」
続く
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