龍の寵愛を受けし者達

樹木緑

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あれは誰?!

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セシルがジュジュとリアと楽しそうに話をする間僕は、
聴覚に魔力を集中させて辺りの気配を伺っていた。

“取り敢えずこの辺りには何も無さそうだな”

そう思いながらセシル達の会話に耳を傾けた。

「ねえ、貴方達兄妹って歳はいくつなの?

もう成人してるの?」

セシルがそう尋ねると、ジュジュがコクリと頷いて、

「僕が15歳でリアは13歳です」

と言うと、セシルがジュジュの背をパンパン叩きながら、

「あら~、2人とも私より年上じゃない!

そんなに畏まらないで普通に話してよ!

最も、それが貴方の普通の話し方って言うのなら
私の言った事は忘れてちょうだい。

私は年下だけど、リアは翠と同じ年ね。

もしかして成人したのと同時に家を出た口?

翠はそんな風に言ってたけど!」

セシルがそう言うと、ジュジュもリアもビックリした様にして、

「え? セシルって俺やリアよりも年下?!

俺と同じくらいだとは思ってたんだが……」

とガラッと話し方を変えてセシルに尋ねた。

セシルはクスッと笑うと、

「いや~ねえ~、 私ってそんなおばさんに見える?!」

と言ったかと思うと、ハッとしたようにして、

「あ、ごめんなさいね、ジュジュやリアが
オジさんやオバさんって言ってる訳じゃ無いのよ」

と繕ったように慌てて言い返すと、
ジュジュも笑って、

「ハハハそこは分かってるよ。

で? セシルって幾つなんだ?

やけに大人っぽいな?

いや、待てよ?

リアより年下って事は未だ未成年?! マジか?!」

とさらにビックリした。

セシルは驚いた顔のジュジュに又クスッと笑うと、

「そうよ!

未だピチピチの11歳よ!」

そう言って戯けて見せた。

途端、それまで一言も話さなかったリアが、

「凄いわね。

セシルちゃんって大人っぽいのね。

私の方が年下だと思ってた!」

そう言って初めて口を開いた。

セシルは満面の笑みを浮かべると、
リアを指差して

「あ、リアが話してくれた!

大人しいなとはずっと思ってたんだけど、
ちゃんと話せて嬉しい!

私の事はセシルでいいのよ!

私達、良いお友達になれそうね!」

そう言うと、

「リアは人見知りだからな。

最初は凄く大人しいけど、一度慣れると普通に話すぞ」

そうジュジュが言うと、セシルはリアの手を取って、

「じゃあ、リアは私に慣れたって事よね!

宜しくね!」

そう言って笑い合っていると隣からローティが、

「は?! セシル、お前未だ11だったのか?!」

とビックリして割り込んできた。

セシルは眉を顰めると、

「あれ? 言ってなかったっけ?って、
そう言えば、ローティって幾つ?

私もローティの年知らないわ。

若そうではあるけど、
うんとオジサンって事は無いわよね?!」

そう言って尋ね返すと、

「あ~ 俺は14歳だけどもう直ぐ15だからジュジュと同じ年になるのか?」

ジュジュの方を見てそう言うと、
ジュジュもローティと顔を合わせて、

「あーそうだな。

俺はもう既に誕生日が来たからな。

同じ年の仲間が出来るなんて力強いな!

宜しくな、同胞!」

そう言ってジュジュと腕組みをした。

リアも僕に微笑みかけると、

「翠だったわよね?

じゃあ、私達って同じ年なのね」

そう言って話しかけて来た。

僕は肩を窄めると、

「そうみたいだね。

宜しく」

そう言うと、彼女に手を差し出し握手をした。

セシルはニコニコとすると、

「良いわね、良いわね、友情の証ね!」

そう言うと、

じゃあ友情も深まったところでお昼ご飯としましょう!

もうお昼時でしょ!」

と、ようやく山脈も峠を越え下りに差し掛かった所で
セシルがお昼ご飯を食べようと言い出した。

ジュジュは直ぐに、

「ごめん、俺達の事は構わずに食べてくれ。

今朝は急いで君たちを追って来たからきちんと旅支度ができなかったんだ。

取り敢えず持てるものだけ持ってって感じだったから、
俺達は帝都に着いてから食事をとる事にするよ」

そう言っては見たものの、
直ぐにお腹の虫が

“グググ~

キュ~ グルグル“

と鳴り始めた。

そんなジュジュにセシルは大笑いすると、

「遠慮しないで!

食べ物はたくさん持って来たから貴方達の分も十分あるわ。

有り合わせのものだけど、
これから急いで作るから一緒に食べましょ!」

そう言って自分のストレージから木で作ったお皿やカップ、
まな板や包丁などを取り出した。

ローティも

”う~ん“

と座ったまま背伸びをすると、

「そうだな、腹も空いて来たし、
飯にしよう!

今の所は順調だし、この先何があるか分からないから
今のうちにしっかり食べておこう!

俺も昼飯作りを手伝うから翠、
材料を出してくれるか?」

そう言ってローティが僕にストレージから食べ物を取り出すよう尋ねた。

僕は頷いて

「分かった」

と言うと、ストレージからセシルが今朝買い出しで買って来たものを取り出した。

その光景を呆気に取られたように見ていたリアが、

「うわ~ ストレージ持ちですか!

良いですね!

ストレージを習得するのは私の目標なんですよ!

お昼ご飯作りは私も手伝います!

ずっとお兄ちゃんのご飯を作ってたから料理は得意なんです!」

そう言って袖を捲り上げた。

最初は人見知りなのかずっとジュジュの陰に隠れるようにしていたリアも、
パーティーを組もうと言った辺りから心を許したのか、
それともセシルが話しやすかったのか、
どんどん話してをしてくれるようになった。

そして今ではお昼ご飯の手伝いを一緒にしてくれるとまで言ってくれるようになった。

セシルは自分のストレージから取り出したまな板に木皿やパン用ナイフ、
パターナイフ、スパイスなどを一纏めにするとリアに渡した。

リアはそれを受け取り床に並べると、

「これでサンドイッチを作るんですね!」

そう言うと、僕がストレージから取り出した食べ物を
サッと手際よく捌いて、サンドイッチを人数分作り、
フルーツサラダも作ってくれた。

リアの手際の良さに見惚れていたセシルも、
次々と出来てくるサンドイッチをお皿に乗せ、

「美味しいサンドイッチと
甘くて新鮮なフルーツサラダは如何?

リアが腕によりをかけて作ったのよ!」

と護衛にも配り始めた。

「あ~ すまん。 食っても良いのか?」

護衛はそう尋ねると、

セシルは

“はい、どうぞ”

とでも言う様にサンドイッチとフルーツサラダを乗せた皿を差し出した。

ペコペコとした様にその皿を受け取った途端、
彼らはガツガツと獣の様にサンドイッチを食べ始めた。

”凄い食べ方だな……“

僕が彼らの汚い食べ方を呆気に取られた様に見ていると、

「おかわり!」

と遠慮もなしにおかわりを強請っていた。

セシルがクスッと笑って

「貴方達、もう何日も食べてない人みたいね」

と揶揄った様にそう言うと、
バツが悪そうに魔法使いの護衛が、

「所でサンクホルムに行くと言う話をしていた様だけど、
サンクホルムへは何をしに行くんだ?」

急にそう尋ねて来た。

セシルはその護衛の顔を覗き込むと、

「あら? どうしてそう言う事を尋ねるの?

貴方、サンクホルムについて何か知ってるの?」

と尋ね返した。

護衛の戦士が

「あの国って今は入れるのか?

閉鎖的であまり内情は聞こえてこないんだが、
あの国にはお宝がたくさん眠ってるって言う
噂のダンジョンがあるよな?

お前達は聞いたことがないのか?」

そう尋ねながサンドイッチの最後の一切れを口に頬張った。

僕とセシルがローティの顔を見ると、
ローティはブンブンと首を横に振った。

あまり情報のないサンクホルムの話はそこ迄になったけど、
昼食の後片付けをしたら割と時が過ぎるのは早かった。

他愛も無い世間話をしている間にしばらく走ると、
もう直ぐ山脈を抜けると言うところまで差し掛かった。

「頂上を超えた頃から草木がチラホラと見え初めてたんだけど、
この辺は割と森みたいになってるんだね」

外を眺めていた僕がそう言うと、

「ああ、そうだね。

先の町から頂上までは割と乾燥して裸山の様な岩場ばかりだったけど、
頂上から帝都側は割と雨が降るんだ。

緑も下へ降りるにつれ多くなるし、
そのせいか獣も豊富にいるんだけど、
前にも言った様に今年は獣を見かけないんだよね」

そうジュジュが言い終えた途端、
僕の耳に微かな岩を踏んだ様な

”ジャリ“

っと言う音が聞こえた。

僕は眉間に皺を寄せ、

「いまジャリを踏む様な音が聞こえなかった?!」

そう尋ねると皆首を振った。

「え~馬車の車輪が回るガラガラという音しか聞こえないんだけど……」

そうセシルが一番に言って耳を澄ました。

ローティも、

「いや、まて……」

そう言いかけた途端、
木々の間から山賊らしき軍隊が馬車に向かって飛び出して来た。

馬が

”ヒヒーン“

と嘶いてガクンとした様にして馬車が止まった。

セシルが護衛冒険者を見ると、
彼らは互いに抱き合って震えていた。

そんな彼らを見たセシルが、

「ちょっと貴方達!

高いお金を払ったのはこの為なのよ!

そんなとこで抱き合ってないでちゃんと仕事してよ!」

そう護衛冒険者に怒鳴ったけど、

「本当に山賊なんて居たのか?!

他の冒険者達からは山賊なんて唯の噂話で
そんなのは実際に居ないって聞いてたのに!

予定と違うじゃないか!」

そう反論して我先にと逃げ出そうとした。

彼らが馬車から飛び降りると、
タジタジとしたように後退りして来た。

”期待通りな奴等だな、
仕方ない……やはりここは僕達が……“

「セシルはここにいて!」

そう良い残し馬車を降りると、
馬車は既に山賊に囲まれていた。

”思ったより多いな……“

馬車を囲んだ山賊を見渡すと、
軽く2ダースは超えていた。

”30人くらいか?!“

そう思い彼らを鑑定すると、
殆どが山賊と言ったレベルも無いような輩だった。

“レベル認定は無しか……

だが恐らく戦い慣れはしている筈だ……

だとすると鑑定結果よりも戦える筈だ……

これだけの人数を相手取るとすると僕とローティでいけるか?!

ジュジュとリアはどうだろう?

いや、そもそも、ローティでさえ人間相手だと怪しい……


彼らに人が攻撃できるのか?!”

そう思うや否や山賊達が護衛冒険者に斬りつけて来た。

「ヒイ~!」

と情けない声を出して身を屈めた護衛の前にローティが立ちはだかり、
持っていた盾て身を封じた。

でも流石に斬り返すことには躊躇していた。

ジュジュとリアも馬車から降りてこないところを見ると
きっと馬車の中で縮こまって居るのだろう。

“ヤバいな……”

僕にも実際に彼らを攻撃することが出来るのか自信が無かった。

でも向こうは人相手でもお構い無の様だ。

僕は風魔法で襲いかかる山賊達を跳ね除けると、
ローティの所に近づいた。

“ローティ、君は人を斬った事は?!”

そう尋ねると、真っ青な顔をしてブンブンと首を横に振った。

“やらなければ、此処は斬るか斬られるかだ。

覚悟を決めるんだ!”

そう言うと、彼は息を呑んだ様にコクコクと頷いた。

僕は護衛冒険者達の方を向くと、

“貴方達も護衛なのなら覚悟を決めてください!”

そう言うと、スッと立ち上がった。

僕が魔法を使えたことに向こうも怯んだのか、
いっときの間僕達と山賊の間で睨めっこが続いた。

その情景から恐らく山賊側に魔法を使えるものは居なかったのだろう。

そう思ったのも束の間に彼らは一斉に僕達に襲いかかって来た。

僕は続けて風魔法で薙ぎ払って、
ローティは相変わらず頭を抱えて縮こまった護衛達を盾てで守っていた。

幸い馬車を後ろに取っていたので
何とか盾と振り回す剣でローティはその場を凌いでいた。

問題なのは風魔法で薙ぎ払った山賊の中に出て行った僕の方だ。

人とは戦い慣れてないせいか、
勝手がまだ良く分からず、
不覚にも背後を取られてしまった。

「翠! 後ろだ!」

ローティの叫び声でかろうじて後ろからの攻撃を交わした僕は
完全には避けきれず腕を少し切られてしまった。

少しと言っても腕からは血がポタポタと流れ、
回復魔法を掛けようと思っても次々と襲いかかる山賊を避ける為、
そのタイミングが掴めずにいた。

“ヤバいな……

傷はかなり深かったみたいだな……”

とめどなく流れ落ちる血に腕が少し痺れて来た。

“神経までやられたか?!”

そう思っているとローティが、

「お前、俺の後ろにいて隠れるだけしか脳がないのか?!

少なくとも僧侶としての力量を見せるんだ!

早く翠をヒールしろ!」

そう言って僧侶に怒鳴りつけていた。

僧侶もそう言われると、
襲い来る山賊にビクビクとしながらローティの後ろに立ち上がり、
何やらブツブツと詠唱し始めた。

“あ~
彼は詠唱型なんだ……”

自分が詠唱なしで魔法を使う為、
普通は他の魔法使いは詠唱をする事をすっかり忘れていた。

詠唱と言っても10~20秒くらいで長くは無いのだが、
山賊がローティに切り付けるたびにビクッとさせて詠唱が途切れてしまう。

それでまた最初からやり直しで踏んだり蹴ったりだ。

結局は僧侶の回復魔法も掛けられているのか無いのか分からないまま、
段々と腕の感覚がなくなり、
風魔法を使うのに今まで両手を使っていたのが片手だけになってしまった。

風を当てる範囲が狭くなった僕の周りは
これまでと違いがらんと空いた状態になり、
向こう側からすると攻撃がしやすくなったと言ったところだった。

それに気付いた山賊側も、
今がチャンスと思ったのか、
これまでローティの方を攻撃していた輩も僕に向かって一斉に襲いかかって来た。

“万事休す!”

そう思い無事な方の手で頭を庇い背を屈めると、
急に誰かが目の前にシュンとすごい速さで飛び出して来た。

「ギャ…」

「グウ…」

『グハッ」

と言う人が倒れる混む様な声を聞いて伏せた顔を上げると、
そこには僕に向かって来ていた山賊と戦う人達の姿があった。

何が起きているのか分からず

“えっ?”

っと思い僕の目の前に背を向け立ち憚る人を見上げると、
彼は斜め下の角度で僕をチラッと見て、

「大丈夫ですか?

此処は私達に任せてください。

貴方は早く傷の手当てを」

そう言ってまた、迫り来る山賊の方を見た。

後ろ姿で顔もよく見えなかった彼を見た時、
僕の心臓が急に跳ね上がった。

“耳が……”

真っ黒な髪に真っ黒な瞳をしたその少年は、
今まで見たこともない様な少し人とは違った長くて先がとんがった耳をしていた。



でもどこか懐かしくて心臓を鷲掴みされた様な気分になった。

そんな容姿の彼に少し釘付けになった僕の耳に、

「ギャー、イヤー!!

神様! 女神様! 

世界一強い灰色の龍のデューデュー様!

助けてー!!!!!」

と叫ぶセシルの声が馬車の中から響いて来て、

“え? 灰色の龍のデューデュー?!“

そう思い僕は馬車の方を見た。








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