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第40話 おめでた?
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真っ青な顔で何かブツブツと言っている陽向の様子は只事ではなかった。
僕は直ぐに駆け寄って声をかけたかったけど、
あんなに普通じゃない顔つきをした陽向を見て、
“もしかして”
が頭をよぎって、どう声をかけて良いかわからず、
その場に立ち尽くしてしまった。
光の方をチラッと見ると、
相変わらずドクターと真剣な顔をして何か話している。
“やっぱり何か大変な事が?!
もしかして赤ちゃんが育ってなかった?!
やっぱり男性のΩだと……”
そう思って少しオロオロとしているうちに
陽向がヨロヨロとしたようにして僕に近づいてきた。
そして僕の前で立ち止まると、
僕の顔を見て涙をダパーっと流し始めた。
もうそれは本当、
絵文字の様な縦線がドバーッと出た様な鳴き方だ。
それまでオロオロとしていた僕の方がびっくりして、
オロオロとしていた事をすっかりと忘れ、
「どうしたの?!」
と声を張り上げてしまい、
ロビーに響き渡ったその声は皆からの注目を浴びる事になってしまった。
慌てて小声で
“すみません、すみません”
と言って頭を下げまくると、
次は陽向を見て、今度は小声で
「どうしたの?!」
と言った後一息間を置いて、
「べ……べん……ぴが酷いの?!」
と、違うと言う事は知っていたけどそう尋ねてしまった。
すると陽向は、
僕を見つめてウルウル顔になると、
「ぼ……僕は……僕はダメな人間だ!
あんなに、あんなに赤ちゃん欲しかったのに気付かなかったなんて~」
と言ってまたワーワー泣き出したので、
“やっぱり妊娠してたんだ!”
そう思うと、僕は安堵と喜びで
腰が抜けた様になってそまま椅子に座り込んでしまった。
“あれ? それだったらなぜこんなに泣いてるんだろう?”
そんな思いが過ったけど、
直ぐに陽向も僕の隣に座り込んで、
「僕は…ダメな母親だ……
うわぁ~」
などと自分の髪の毛をむしりながらブツブツと言っていると、
光が戻ってきた。
「バッ! お前、何だその泣き顔は?!
凄いブサイクになってるぞ!」
そう言いながらも陽向を愛しそうに眺める光に、
「おめでとう! やっぱりだったんだね!
で? 予定日はいつなの?!」
そうウキウキして尋ねると、
「いや、実はさ……」
そう言って少し暗い顔をしたので、
“悪い知らせ?!”
と又、ドギマギとしてきた。
僕は直ぐに駆け寄って声をかけたかったけど、
あんなに普通じゃない顔つきをした陽向を見て、
“もしかして”
が頭をよぎって、どう声をかけて良いかわからず、
その場に立ち尽くしてしまった。
光の方をチラッと見ると、
相変わらずドクターと真剣な顔をして何か話している。
“やっぱり何か大変な事が?!
もしかして赤ちゃんが育ってなかった?!
やっぱり男性のΩだと……”
そう思って少しオロオロとしているうちに
陽向がヨロヨロとしたようにして僕に近づいてきた。
そして僕の前で立ち止まると、
僕の顔を見て涙をダパーっと流し始めた。
もうそれは本当、
絵文字の様な縦線がドバーッと出た様な鳴き方だ。
それまでオロオロとしていた僕の方がびっくりして、
オロオロとしていた事をすっかりと忘れ、
「どうしたの?!」
と声を張り上げてしまい、
ロビーに響き渡ったその声は皆からの注目を浴びる事になってしまった。
慌てて小声で
“すみません、すみません”
と言って頭を下げまくると、
次は陽向を見て、今度は小声で
「どうしたの?!」
と言った後一息間を置いて、
「べ……べん……ぴが酷いの?!」
と、違うと言う事は知っていたけどそう尋ねてしまった。
すると陽向は、
僕を見つめてウルウル顔になると、
「ぼ……僕は……僕はダメな人間だ!
あんなに、あんなに赤ちゃん欲しかったのに気付かなかったなんて~」
と言ってまたワーワー泣き出したので、
“やっぱり妊娠してたんだ!”
そう思うと、僕は安堵と喜びで
腰が抜けた様になってそまま椅子に座り込んでしまった。
“あれ? それだったらなぜこんなに泣いてるんだろう?”
そんな思いが過ったけど、
直ぐに陽向も僕の隣に座り込んで、
「僕は…ダメな母親だ……
うわぁ~」
などと自分の髪の毛をむしりながらブツブツと言っていると、
光が戻ってきた。
「バッ! お前、何だその泣き顔は?!
凄いブサイクになってるぞ!」
そう言いながらも陽向を愛しそうに眺める光に、
「おめでとう! やっぱりだったんだね!
で? 予定日はいつなの?!」
そうウキウキして尋ねると、
「いや、実はさ……」
そう言って少し暗い顔をしたので、
“悪い知らせ?!”
と又、ドギマギとしてきた。
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