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第14話 社交界
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向こうを睨みつける陽向はまるで、
触れるとガラガラと音を立てて崩れてしまいそうな
諸刃の剣の様で、
僕は暫くそこに立ち尽くし、
何の言葉も発することが出来なかった。
僕は光と陽向を交互に見ると、
話しかけるタイミングを見計らった。
陽向の瞳がスッと横に流れたときに、
「あっ、陽向?
あの…… ぼ……僕、光にも挨拶してくるけど、
ひ……陽向はどうする?」
僕はいつも陽向に助け、救われているのに、
肝心な時には陽向が凄く心配なのに旨く声をかけてあげることが出来ない。
僕がドキドキとして陽向の返答を待つと、
彼は僕の方を見て儚げに微笑むと、
「僕はちょっと人混みに当てられたから、
テラスで少し涼んでるよ……
もし光が僕の事を訪ねたら、光にはそう言っておいて……」
そう言ってテラスに向けて歩いて行った。
「じゃあ、僕も光への挨拶が済んだらそっちへいくから!」
そう言い残す事が精一杯だった。
僕はギュッと唇を噛みしめると、光の方へと歩いて行った。
光と相手の人の邪魔になると悪いので、
会話が終わるのを隣で何気なく待っていようと思い立ち止まった。
別に二人の会話を盗み聞きしようと思った訳でもないけど、
自然とそれは僕の耳に届いた。
「君の番には子供ができないんだろう?」
相手方のそのセリフにギョッとして聞き耳を立てた。
「プライベートをあなたに話す必要はありません」
光はそう返していた。
“そう言えば陽向が言ってたっけ……
何処にも問題ないのに赤ちゃんが出来ないって……”
そのオジサンは更にビックリする様な事を言い始めた。
「そんな後継も産めない様なΩは追い出したらどうだ?
それに孤児院で育った様なΩだそうじゃないか?
そんなどこの馬の骨ともわからん様なΩを嫁に貰うとは
君の気が知れんな……
君も輝かしい君の将来に傷が付くんじゃないのか?
見てみなさい、この招待客の顔ぶれを。
君の家はこう言った重要人物達と
肩を並べて歩いて行かなくてはいけない家系なんだぞ?
そんな君の横に並ぶには、
今の番では少々役不足何では無いのかい?
もしかしたら今頃は
尻尾を撒いて逃げ出して居るんじゃないのか?
何処にも見当たらないようだが、ワハハ。
その反面うちの娘は健康そのもので何の障害もないぞ?
出生も元華族、
天皇家の花嫁候補にもなれる身だぞ?」
僕はそれを聞いてかーっと腸が煮え繰り返った。
“違うよ! 陽向がそんな苛めに屈するはずがないだろ!
陽向こそ光の隣にはふさわしいんだよ!
何にも知らないくせに調子乗るんじゃない!
陽向は逃げも隠れもしないよ!
狸親父め……!!!”
僕は腹が立って、腹が立って、
腸が煮えくり返る思いだった。
でも光は冷静沈着で、ニコリとほほ笑むと、
「何をおっしゃる、
私如き成金上がりの家系が元華族のお姫様を貰い受けるのは、
身に余る思いです。
私よりも、彼女にはもっと相応しい方がいらしゃいますよ。
皇族には結婚適齢期の殿方も数名いらっしゃいますしね。
まだおきさき候補は上がっていないではありませんか。
私ごときに時間や労力を割くより、
そのようなご自慢のお姫様は、
そちらに力を注いだ方がよろしいかと思われますが……
それに私には私の番が一番なんです。
彼以外の番なんて考えてもいないし、
考えられません。
それに彼は逃げも隠れもしませんよ。
彼のように努力家で、私の家族や会社、
それに僕の事を愛してくれる番は居ません。
もし彼に先立たれる様な事があっても、
私はきっと一生独身を貫くでしょうね」
“おおおお~ なんて天晴なんだ!
あれが日本男児の魂なのか!
日本男児は恥ずかしがり屋で愛情表現が下手だと聞いていたけど、
そん事はないではないか!
これが番の本来の姿なのか!”
そう思って感動している時に
光が僕に気付いた。
「失礼、今日は遠くから知人がいらしてますので」
そう一礼すると、
光は僕に向かって歩いて来た。
向こうに残されたオジサンは
見るからに怒りをあらわにして顔を真っ赤にしワナワナとしていたけど、
僕のところに来た光も歯を食いしばり、
握り拳を握ってその肩は少し震えていた。
触れるとガラガラと音を立てて崩れてしまいそうな
諸刃の剣の様で、
僕は暫くそこに立ち尽くし、
何の言葉も発することが出来なかった。
僕は光と陽向を交互に見ると、
話しかけるタイミングを見計らった。
陽向の瞳がスッと横に流れたときに、
「あっ、陽向?
あの…… ぼ……僕、光にも挨拶してくるけど、
ひ……陽向はどうする?」
僕はいつも陽向に助け、救われているのに、
肝心な時には陽向が凄く心配なのに旨く声をかけてあげることが出来ない。
僕がドキドキとして陽向の返答を待つと、
彼は僕の方を見て儚げに微笑むと、
「僕はちょっと人混みに当てられたから、
テラスで少し涼んでるよ……
もし光が僕の事を訪ねたら、光にはそう言っておいて……」
そう言ってテラスに向けて歩いて行った。
「じゃあ、僕も光への挨拶が済んだらそっちへいくから!」
そう言い残す事が精一杯だった。
僕はギュッと唇を噛みしめると、光の方へと歩いて行った。
光と相手の人の邪魔になると悪いので、
会話が終わるのを隣で何気なく待っていようと思い立ち止まった。
別に二人の会話を盗み聞きしようと思った訳でもないけど、
自然とそれは僕の耳に届いた。
「君の番には子供ができないんだろう?」
相手方のそのセリフにギョッとして聞き耳を立てた。
「プライベートをあなたに話す必要はありません」
光はそう返していた。
“そう言えば陽向が言ってたっけ……
何処にも問題ないのに赤ちゃんが出来ないって……”
そのオジサンは更にビックリする様な事を言い始めた。
「そんな後継も産めない様なΩは追い出したらどうだ?
それに孤児院で育った様なΩだそうじゃないか?
そんなどこの馬の骨ともわからん様なΩを嫁に貰うとは
君の気が知れんな……
君も輝かしい君の将来に傷が付くんじゃないのか?
見てみなさい、この招待客の顔ぶれを。
君の家はこう言った重要人物達と
肩を並べて歩いて行かなくてはいけない家系なんだぞ?
そんな君の横に並ぶには、
今の番では少々役不足何では無いのかい?
もしかしたら今頃は
尻尾を撒いて逃げ出して居るんじゃないのか?
何処にも見当たらないようだが、ワハハ。
その反面うちの娘は健康そのもので何の障害もないぞ?
出生も元華族、
天皇家の花嫁候補にもなれる身だぞ?」
僕はそれを聞いてかーっと腸が煮え繰り返った。
“違うよ! 陽向がそんな苛めに屈するはずがないだろ!
陽向こそ光の隣にはふさわしいんだよ!
何にも知らないくせに調子乗るんじゃない!
陽向は逃げも隠れもしないよ!
狸親父め……!!!”
僕は腹が立って、腹が立って、
腸が煮えくり返る思いだった。
でも光は冷静沈着で、ニコリとほほ笑むと、
「何をおっしゃる、
私如き成金上がりの家系が元華族のお姫様を貰い受けるのは、
身に余る思いです。
私よりも、彼女にはもっと相応しい方がいらしゃいますよ。
皇族には結婚適齢期の殿方も数名いらっしゃいますしね。
まだおきさき候補は上がっていないではありませんか。
私ごときに時間や労力を割くより、
そのようなご自慢のお姫様は、
そちらに力を注いだ方がよろしいかと思われますが……
それに私には私の番が一番なんです。
彼以外の番なんて考えてもいないし、
考えられません。
それに彼は逃げも隠れもしませんよ。
彼のように努力家で、私の家族や会社、
それに僕の事を愛してくれる番は居ません。
もし彼に先立たれる様な事があっても、
私はきっと一生独身を貫くでしょうね」
“おおおお~ なんて天晴なんだ!
あれが日本男児の魂なのか!
日本男児は恥ずかしがり屋で愛情表現が下手だと聞いていたけど、
そん事はないではないか!
これが番の本来の姿なのか!”
そう思って感動している時に
光が僕に気付いた。
「失礼、今日は遠くから知人がいらしてますので」
そう一礼すると、
光は僕に向かって歩いて来た。
向こうに残されたオジサンは
見るからに怒りをあらわにして顔を真っ赤にしワナワナとしていたけど、
僕のところに来た光も歯を食いしばり、
握り拳を握ってその肩は少し震えていた。
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