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第85話 内緒の計画
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「陽向はさ……」
“来た、来た、キタ~!
何? 何? 何?”
次に出る言葉次第で心臓発作を起こすんではないかという位緊張していた。
“これからも咲耶さんと仮の形で付き合っていくというのは聞いた。
僕の事を愛してるって言うのも聞いた。
もう既に番になっているから、
愛してるけど番にはなれない……ではないだろう。
一花叔母さんのチョーカーもかけてもらったから、
番の解消でもないだろうし……
何? 何? 何~?!
もしかして愛してはいるけど、
咲耶さんの結果次第では結婚は無理かもって事?!”
矢野君が次の言葉を発する数秒が永遠のように感じた。
でも矢野君から尋ねられたことはちょっと拍子抜けだった。
「陽向はさ、お袋からもらった瓶が何か知ってるんだろ?」
その質問に面食らった僕は、
「へっ?」
とアホな顔をしてしまった。
「ほら、これだよ」
そう言って矢野君はポケットからあの瓶を取り出して、
僕たちの前に置いた。
矢野君はいつもその瓶を持ち歩いているらしかった。
佐々木君は瓶を手に取ると、
目の前でかざしたり、斜めに向けたりとして観察していた。
そして蓋を開けようとしたとき、
「ダメ!」
と僕が大声を出したので二人ともびっくりして僕の事を見た。
ここで開けられたら、たまったもんじゃない。
中の液体が蒸気となって僕の中に入ったら大変なことになる。
「あのさ、ここで開けるのはちょっと~」
そう言って目をそらすと、
「怪しい! やっぱりお前、この液体が何か知ってるな?!」
そう言って矢野君が詰め寄った。
でも、僕の慌てようにピンときた佐々木君が、
「もしかして……
発情促進剤か?」
とピシャリと言い当てた。
僕は慌てて、
「法律違反だし、僕、茉莉花さんにはダメだって言ったんだよ!
でも彼女、僕の言葉は聞いてくれなくって……
これがあれば一発で咲耶さんのウソがばれるからって!」
そう言い訳すると、
「まあ、茉莉花さんのやりそうなことだよな。
あの人、フワフワしたように見えるけど、
私が法律よ!みたいなとこあるからな」
そう佐々木君が言う横で、矢野君は何か考えているようだった。
そして思いついたように、
「それ、いいかもな……」
と言い始めた。
「は? 何言ってんだお前?
あんな奴の為に捕まりたいのか?!」
佐々木君は一般常識のある反対派の様だ。
いくら咲耶さんの事が嫌でも、
矢野君に法を犯させるのは嫌なようだ。
「要はバレなきゃいいんだろ?」
矢野君がそう言うと、佐々木君もちょっと顔をしかめたようにしたけど、
直ぐに意見を変えて、
「そうだな、バレなきゃいいんだよな。
まあ、茉莉花さんが渡したって事は、
恐らく、お前ん家系統の製薬会社の物だろうし、
品質は上等なものだろうからな」
との佐々木君のセリフに、
「え????? 矢野くんち不動産だけじゃないの?!
製薬会社?!」
とまたまた僕は目を回した。
佐々木君は僕を天然記念物でも見るような顔をしてみると、
「お前、こいつん家がどんな財閥か知らないのか?!」
と、とんでもないことを言い始めた。
「え…… え~ 不動産にブライダルは知ってるけど……」
そう言うと、佐々木君は笑いながら、
「ハハハ、お前の場合は知らない方が良いよ」
とお茶らけていった。
「ちょっと、それ、どういう意味?」
「まぁ、お前はアホそうだけど、
そのままでも十分矢野家の嫁をやっていけるって事だよ。
実際、茉莉花さんとは息も合ってるみたいだし、
知らぬが仏だ!」
そう言って佐々木君はガハハと笑った。
そして矢野君の方を向きなおすと、
「で? お前はそれを使ってどうするんだ?」
と本題に入った。
「俺がこれを使うと、勿論あいつ、発情するじゃないか?
で、俺がラットを起こさないと、何故だ?と言う事になる。
それは話を先に進めるきっかけになるからな。
願っても無いチャンスだよ。
そこまで状況証拠で固めると、
あいつは逃げも隠れも出来ないから、しゃべらざるを得ないだろう」
矢野君の提案に
「なるほど……」
と思ったけど、で、彼が発情してその後はどうする?
矢野君が手ほどきするの?!
が僕の疑問だった。
僕が矢野君をチラチラ見ていると、
僕の疑問を悟ったのか、
「俺、近いうちにお袋から発情抑制剤をもらってくるよ」
と言って僕の方を見てニヤッと笑った。
「でも…… 抑制剤が効かなかったらどうするの?!」
僕がさらに尋ねると、
「大丈夫だ。 医療用に副作用もあまり出ない、
即効性のいい奴があるんだ」
と来たもんだ。
この二人にはきっと怖いものは無いのかもしれない。
僕が何を言っても、聞く耳はなさそうだ。
佐々木君もどんどん乗り気になっているし、
僕はもう、そちらの事は矢野君達に任せることにした。
「じゃあ、俺は早速お袋に頼んで薬の準備をしてもらうよ。
陽向は……」
と来たところで、
「陽向は俺が守るから、
君は君のミッションを遂行してください」
と、佐々木君も、矢野君を煽る煽る。
でもいつの間にか、
決行は今週末に咲耶さんの家でと言う事に決まってしまった。
“来た、来た、キタ~!
何? 何? 何?”
次に出る言葉次第で心臓発作を起こすんではないかという位緊張していた。
“これからも咲耶さんと仮の形で付き合っていくというのは聞いた。
僕の事を愛してるって言うのも聞いた。
もう既に番になっているから、
愛してるけど番にはなれない……ではないだろう。
一花叔母さんのチョーカーもかけてもらったから、
番の解消でもないだろうし……
何? 何? 何~?!
もしかして愛してはいるけど、
咲耶さんの結果次第では結婚は無理かもって事?!”
矢野君が次の言葉を発する数秒が永遠のように感じた。
でも矢野君から尋ねられたことはちょっと拍子抜けだった。
「陽向はさ、お袋からもらった瓶が何か知ってるんだろ?」
その質問に面食らった僕は、
「へっ?」
とアホな顔をしてしまった。
「ほら、これだよ」
そう言って矢野君はポケットからあの瓶を取り出して、
僕たちの前に置いた。
矢野君はいつもその瓶を持ち歩いているらしかった。
佐々木君は瓶を手に取ると、
目の前でかざしたり、斜めに向けたりとして観察していた。
そして蓋を開けようとしたとき、
「ダメ!」
と僕が大声を出したので二人ともびっくりして僕の事を見た。
ここで開けられたら、たまったもんじゃない。
中の液体が蒸気となって僕の中に入ったら大変なことになる。
「あのさ、ここで開けるのはちょっと~」
そう言って目をそらすと、
「怪しい! やっぱりお前、この液体が何か知ってるな?!」
そう言って矢野君が詰め寄った。
でも、僕の慌てようにピンときた佐々木君が、
「もしかして……
発情促進剤か?」
とピシャリと言い当てた。
僕は慌てて、
「法律違反だし、僕、茉莉花さんにはダメだって言ったんだよ!
でも彼女、僕の言葉は聞いてくれなくって……
これがあれば一発で咲耶さんのウソがばれるからって!」
そう言い訳すると、
「まあ、茉莉花さんのやりそうなことだよな。
あの人、フワフワしたように見えるけど、
私が法律よ!みたいなとこあるからな」
そう佐々木君が言う横で、矢野君は何か考えているようだった。
そして思いついたように、
「それ、いいかもな……」
と言い始めた。
「は? 何言ってんだお前?
あんな奴の為に捕まりたいのか?!」
佐々木君は一般常識のある反対派の様だ。
いくら咲耶さんの事が嫌でも、
矢野君に法を犯させるのは嫌なようだ。
「要はバレなきゃいいんだろ?」
矢野君がそう言うと、佐々木君もちょっと顔をしかめたようにしたけど、
直ぐに意見を変えて、
「そうだな、バレなきゃいいんだよな。
まあ、茉莉花さんが渡したって事は、
恐らく、お前ん家系統の製薬会社の物だろうし、
品質は上等なものだろうからな」
との佐々木君のセリフに、
「え????? 矢野くんち不動産だけじゃないの?!
製薬会社?!」
とまたまた僕は目を回した。
佐々木君は僕を天然記念物でも見るような顔をしてみると、
「お前、こいつん家がどんな財閥か知らないのか?!」
と、とんでもないことを言い始めた。
「え…… え~ 不動産にブライダルは知ってるけど……」
そう言うと、佐々木君は笑いながら、
「ハハハ、お前の場合は知らない方が良いよ」
とお茶らけていった。
「ちょっと、それ、どういう意味?」
「まぁ、お前はアホそうだけど、
そのままでも十分矢野家の嫁をやっていけるって事だよ。
実際、茉莉花さんとは息も合ってるみたいだし、
知らぬが仏だ!」
そう言って佐々木君はガハハと笑った。
そして矢野君の方を向きなおすと、
「で? お前はそれを使ってどうするんだ?」
と本題に入った。
「俺がこれを使うと、勿論あいつ、発情するじゃないか?
で、俺がラットを起こさないと、何故だ?と言う事になる。
それは話を先に進めるきっかけになるからな。
願っても無いチャンスだよ。
そこまで状況証拠で固めると、
あいつは逃げも隠れも出来ないから、しゃべらざるを得ないだろう」
矢野君の提案に
「なるほど……」
と思ったけど、で、彼が発情してその後はどうする?
矢野君が手ほどきするの?!
が僕の疑問だった。
僕が矢野君をチラチラ見ていると、
僕の疑問を悟ったのか、
「俺、近いうちにお袋から発情抑制剤をもらってくるよ」
と言って僕の方を見てニヤッと笑った。
「でも…… 抑制剤が効かなかったらどうするの?!」
僕がさらに尋ねると、
「大丈夫だ。 医療用に副作用もあまり出ない、
即効性のいい奴があるんだ」
と来たもんだ。
この二人にはきっと怖いものは無いのかもしれない。
僕が何を言っても、聞く耳はなさそうだ。
佐々木君もどんどん乗り気になっているし、
僕はもう、そちらの事は矢野君達に任せることにした。
「じゃあ、俺は早速お袋に頼んで薬の準備をしてもらうよ。
陽向は……」
と来たところで、
「陽向は俺が守るから、
君は君のミッションを遂行してください」
と、佐々木君も、矢野君を煽る煽る。
でもいつの間にか、
決行は今週末に咲耶さんの家でと言う事に決まってしまった。
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