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第37話 バイト先で先輩になる
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「長谷川君は私と一緒に来て!」
荒木チーフに呼ばれ、
僕は彼女と一緒に、
式場であるホテルに行く事となった。
「最初に説明されたと思うけど、
うちが提供を結んでいるのは都内にある4つのホテルと
数件の式場だけど、
今日はそのうちの一つ、
スプリング・ヒル・ホテルというホテルに行くから。
直々すべての式場を回ってもらう事になると思うけど、
手始めはスプリング・ヒルからってことで」
「はい! 分かりました!」
そう言張り切って答え、
僕は彼女の後を小走りでついて行った。
それが僕のインフィニティでの第一歩だった。
あれから時がたち、僕はすべての式場を回った。
そしてもうすぐ、またあの熱い夏が来ようとしていた。
「長谷川君、今日から長谷川君の下について貰う本田さんです。
まだまだ雑用だけど、
色々と仕事を教えて上げてね」
そう言って新しいバイト生がやってきた。
彼女は緊張した様にして、
「本田明日香です。
宜しくお願いします!」
と元気な挨拶をした。
「長谷川陽向です。
宜しくお願いします」
「じゃあ、長谷川君は本田さんを連れて
ゼロに挨拶に行ってくれるかな?」
と言うことで、僕は本田さんとゼロに行くことになった。
「ゼロの事は説明会で聞いた?」
「あ、はい。聞きました。
お世話になるお花屋さんですよね?」
「ハハ、そうそう、
これから頻繁に出入りすると思うから、
向こうの担当さんの顔と名前を覚えてね」
「はい! でも緊張するな~
私馬鹿だから一気に覚えられるかな~」
「大丈夫だよ!
僕だって何時もアホだ~、
バカだ~って言われたけど直ぐに覚えられたから!」
「え~ そんな事言われたんですか?!
私だったらそんなひどい事言われたら泣いちゃうかも?!」
「いや、本気で言ってた訳じゃ無くってね、
ふざけてただけで……」
「え~って言う事はやっぱり長谷川さんって賢いんじゃ!」
「いや、そう言う訳でもなくって……」
「え~、一体どっちなんですか~」
「もう、どっちでも良いじゃ無い!
僕がバカだろうが、アホだろうが、
賢いだろうが、本田さんは大丈夫だよ!」
僕がそう言うと、
「長谷川さんって変なの~」
と笑っていた。
「ねえ、長谷川さんってΩですよね?」
本田さんが不意に尋ねた。
僕はチョーカーを触りながら、
「あ~、うん、そうだね」
と言った。
「私もΩなんですよ!
そのチョーカー素敵ですね!」
「え? これ?」
「はい! 最近はチョーカー嵌めてる人、
殆ど見ないのに珍しいですね。
時々恋人に貰ったって言う人居るんですが、
長谷川さんのそれも恋人から貰ったんですか?」
と尋ねられ、心臓が跳ねた。
“恋人……
今となっては真実はわからないけど、
彼って本当に僕の恋人だったのかな……”
そう思っていると、
「あれ? 違いましたか?
すみません。 てっきり皆と同じように
恋人から貰ったのかなと……」
「いや…… これは自分で買ったんだよ。
ほら、いざと言う時にヒート来て噛まれたりしたら嫌じゃ無い?」
そう言いながらも頸の傷がズキズキとした。
もう既にあの傷も乾いてすっかりと治っているはずなのに、
事あるごとに未だに疼く。
でもくっきりとあの日の噛み跡は残っている。
「ほら、ゼロが見えてきたよ。
皆良い人ばかりだけど気を引き締めてね。
ずっと付き合っていく人達ばかりだから」
そう言ったのと同時に携帯が鳴った。
「はい、長谷川です」
電話の相手は荒木チーフだった。
「長谷川君?
もうゼロには着いたのかな?」
「いえ、もう目と鼻の先ですけど、
何かありましたか?」
「あのね、スプリング・ヒルに出向いてる
洋子ちゃんから連絡が来たんだけど、
リングガールが花冠を何処かに置いちゃって見つからないんだって。
もう一個大急ぎで作るらしいから、
ゼロからこれから言う花を貰って直ぐに届けてくれるかな?
向こうの担当さんには連絡しておくから!」
「分かりました!
それじゃラインにメッセージ入れて貰えますか?」
「分かったわ。宜しくね!」
そう言って僕は携帯を切った。
「どうしたんですか?
何か問題ですか?」
本田さんが心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
「直ぐにお花を今日お式があるホテルに届けなくちゃいけないんだ。
直ぐに行ってくるから本田さんはゼロで待っててくれるかな?」
「え~ 一人でですか?!
私も一緒に行っても良いですか?」
彼女が不安そうに尋ねたので、
僕としても気持ちが分かったので、
「あ~ そうだね。
じゃあ、急いでいこう」
と一緒に連れていくことにした。
ゼロに着くと、もう既に花は用意してあった。
「こんにちわ~ 長谷川です~」
「あ、長谷川君!
荒木さんから連絡来てるわよ!
これ持って急いでね」
「ありがとう御座います!
今日は新しいバイトの紹介に来たんですが
ホテルに行った後にまた立ち寄らせて貰いますね!」
そう挨拶すると、
前もって連絡の入っていた花を貰い受けてホテルへ急いだ。
荒木チーフに呼ばれ、
僕は彼女と一緒に、
式場であるホテルに行く事となった。
「最初に説明されたと思うけど、
うちが提供を結んでいるのは都内にある4つのホテルと
数件の式場だけど、
今日はそのうちの一つ、
スプリング・ヒル・ホテルというホテルに行くから。
直々すべての式場を回ってもらう事になると思うけど、
手始めはスプリング・ヒルからってことで」
「はい! 分かりました!」
そう言張り切って答え、
僕は彼女の後を小走りでついて行った。
それが僕のインフィニティでの第一歩だった。
あれから時がたち、僕はすべての式場を回った。
そしてもうすぐ、またあの熱い夏が来ようとしていた。
「長谷川君、今日から長谷川君の下について貰う本田さんです。
まだまだ雑用だけど、
色々と仕事を教えて上げてね」
そう言って新しいバイト生がやってきた。
彼女は緊張した様にして、
「本田明日香です。
宜しくお願いします!」
と元気な挨拶をした。
「長谷川陽向です。
宜しくお願いします」
「じゃあ、長谷川君は本田さんを連れて
ゼロに挨拶に行ってくれるかな?」
と言うことで、僕は本田さんとゼロに行くことになった。
「ゼロの事は説明会で聞いた?」
「あ、はい。聞きました。
お世話になるお花屋さんですよね?」
「ハハ、そうそう、
これから頻繁に出入りすると思うから、
向こうの担当さんの顔と名前を覚えてね」
「はい! でも緊張するな~
私馬鹿だから一気に覚えられるかな~」
「大丈夫だよ!
僕だって何時もアホだ~、
バカだ~って言われたけど直ぐに覚えられたから!」
「え~ そんな事言われたんですか?!
私だったらそんなひどい事言われたら泣いちゃうかも?!」
「いや、本気で言ってた訳じゃ無くってね、
ふざけてただけで……」
「え~って言う事はやっぱり長谷川さんって賢いんじゃ!」
「いや、そう言う訳でもなくって……」
「え~、一体どっちなんですか~」
「もう、どっちでも良いじゃ無い!
僕がバカだろうが、アホだろうが、
賢いだろうが、本田さんは大丈夫だよ!」
僕がそう言うと、
「長谷川さんって変なの~」
と笑っていた。
「ねえ、長谷川さんってΩですよね?」
本田さんが不意に尋ねた。
僕はチョーカーを触りながら、
「あ~、うん、そうだね」
と言った。
「私もΩなんですよ!
そのチョーカー素敵ですね!」
「え? これ?」
「はい! 最近はチョーカー嵌めてる人、
殆ど見ないのに珍しいですね。
時々恋人に貰ったって言う人居るんですが、
長谷川さんのそれも恋人から貰ったんですか?」
と尋ねられ、心臓が跳ねた。
“恋人……
今となっては真実はわからないけど、
彼って本当に僕の恋人だったのかな……”
そう思っていると、
「あれ? 違いましたか?
すみません。 てっきり皆と同じように
恋人から貰ったのかなと……」
「いや…… これは自分で買ったんだよ。
ほら、いざと言う時にヒート来て噛まれたりしたら嫌じゃ無い?」
そう言いながらも頸の傷がズキズキとした。
もう既にあの傷も乾いてすっかりと治っているはずなのに、
事あるごとに未だに疼く。
でもくっきりとあの日の噛み跡は残っている。
「ほら、ゼロが見えてきたよ。
皆良い人ばかりだけど気を引き締めてね。
ずっと付き合っていく人達ばかりだから」
そう言ったのと同時に携帯が鳴った。
「はい、長谷川です」
電話の相手は荒木チーフだった。
「長谷川君?
もうゼロには着いたのかな?」
「いえ、もう目と鼻の先ですけど、
何かありましたか?」
「あのね、スプリング・ヒルに出向いてる
洋子ちゃんから連絡が来たんだけど、
リングガールが花冠を何処かに置いちゃって見つからないんだって。
もう一個大急ぎで作るらしいから、
ゼロからこれから言う花を貰って直ぐに届けてくれるかな?
向こうの担当さんには連絡しておくから!」
「分かりました!
それじゃラインにメッセージ入れて貰えますか?」
「分かったわ。宜しくね!」
そう言って僕は携帯を切った。
「どうしたんですか?
何か問題ですか?」
本田さんが心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
「直ぐにお花を今日お式があるホテルに届けなくちゃいけないんだ。
直ぐに行ってくるから本田さんはゼロで待っててくれるかな?」
「え~ 一人でですか?!
私も一緒に行っても良いですか?」
彼女が不安そうに尋ねたので、
僕としても気持ちが分かったので、
「あ~ そうだね。
じゃあ、急いでいこう」
と一緒に連れていくことにした。
ゼロに着くと、もう既に花は用意してあった。
「こんにちわ~ 長谷川です~」
「あ、長谷川君!
荒木さんから連絡来てるわよ!
これ持って急いでね」
「ありがとう御座います!
今日は新しいバイトの紹介に来たんですが
ホテルに行った後にまた立ち寄らせて貰いますね!」
そう挨拶すると、
前もって連絡の入っていた花を貰い受けてホテルへ急いだ。
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