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あれ?RPGじゃ無かった?※

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 ――なんだか声が聞こえる?

 

「……、……イ、リューイ」

 段々と聞こえてくる声に答えたいものの、体は重く、目蓋を持ち上げるのも辛いので、もうちょっと眠ろうかと思った。

 が、声は止まない。

「……、……、……イ、リューイ、リューイ!」



 ん?

 この声はシルバリウスの声じゃない?

 確かめなければ!

 と、重い目蓋を無理矢理あげる。



 最初は眩しくてあまり良く見えなかったが、段々と目の前の人物の輪郭がハッキリしてくる。

 銀髪に水色目……ときたら、

 ピンポーン!(クイズ番組のボタンのやつ)

 シルバリウス!

 ピンポンピンポーン(クイズ正解音)

 ヤバイ! シルバリウスの顔のドアップ!

 本当の美形はドアップにしても粗がないのね。

 そして、心配そうな顔がまた素敵ですよー!!!



「シ、、リ、ス」

 声が掠れて出なかったけど何を言いたいか気が付いたようだ。

 シルバリウスが泣きそうな表情で、俺の頬を撫でている。

 ……?

 あれ? なんかめっちゃ表情筋仕事してるー!!

 え?

 いつの間に?

 さっきの心配顔もだけど、めっちゃ優しい顔なんだけどー!



 少し冷静になり、最後の記憶を思い出す。

 そうだ、もうダメだと思ったんだ。

 どの位経ったのか分からないけど、シルバリウスの新たな表情を見ることができて良かった!

 

 まぁ、起き上がりたいのは山々なんだけど、残念ながら体は縛りつけられている? って位動かないし、声も出ないし、妄想していないとすぐ眠りにつきそうな位眠いのだ。

 今度こそ終わりの時なのだろう。

 隷属の首輪無し、表情筋豊かバージョンのシルバリウスを見ることが出来て大変満足である。



 それていた意識をスチュアートが引き戻した。

「……ちゃま、ぼっちゃま、聞こえていますか?」

 目で聞こえていると訴えると、さすがスチュアート分かったようだ。

 それにしても顔色がとても悪いが大丈夫だろうか?

「今から、粘膜接触で、魔力補給を行います。ぼっちゃまは、接触部位から魔力を吸収して、空いた穴を塞いでいってください。

 穴が分からなければ、魔力を全身にめぐらせれば、穴が空いている所に勝手にはまってくれる筈です」

 

 同じ属性を持っている魔力豊富な人でも見つかったのか?

 ってか、粘膜接触って、何のエロゲーよ。

 

 ……あれ? ゲーム以外の事も思い出した。

 前世の俺自身の記憶だけは思い出せないけど、日本とかオタク用語とかはバッチリだぜ~。

 思い出したけども、やっぱり眠い……。



「……ちゃま、ぼっちゃま、意識を保ってください! 説明もあとちょっとですから、ほら生シルバリウス様ですよ!」

 ……シルバリウス?

 ……。

 シルバリウス!!

 そうだ~生シルバリウスが目の前にいる!

 で、話をきけだっけ?

 

「いつもの補給を思い出してください。ぼっちゃまなら出来ます。シルバリウス様の魔力をしっかり吸収して、体内に巡らせてくださいね。いきますよ!」

 

 ……”シルバリウス様の魔力”?



 !?



 いやいや、そんな推しは愛でるものであって、見返りなんて求めないのに。

 貴き方からの魔力なんて!!

 

 と、思っているうちにシルバリウスは一瞬恥ずかしそうにしたものの、気持ちを切り替えたのかすぐに真剣な水色の目になり、その綺麗な顔が近付き唇が触れる。

 感覚が鈍いのが残念なような助かったようななんとも言えない思考のまま、シルバリウスの舌が口内に入ってくる。

 ……初キッスが、いきなりベロチューって凄くない?

 若干思考が現実逃避をしながらも、先ほどのスチュアートの言葉に従おうとするが、全然魔力入って来ないんだけど。

 渡す気はあるのかね?

 なんかはしゃぎすぎたのか疲れた……。

 眠い……。



「……、……ま、……ちゃま、ぼっちゃま!」

 ハッ!

 またどこかに意識がとんでいたようだ。

「シルバリウス様は魔力操作が出来ないのです、ぼっちゃまが自分で取り込んで巡らせてください!」



 ……そんな無茶な。

 魔力補給の常識である送る側が何もせず、受け取る側が引き出すって……だから粘膜接触なのか? そりゃ体液にも魔力は含まれているっていうけどもさ。

 こっちももう動くのもダルいし、思考は散漫になるし、眠気抑えるのが精一杯なんだって。

 飛びそうな意識の中シルバリウスの必死な顔がうつる。

 ……。

 ……推しを悲しませてはいけない!

 男リューイ!

 もうちょっと頑張ります!



 魔力を吸収ってどうやれば良いんだ?

 取り敢えず、文字通り突っ込まれてる舌吸ってやる!!



 ……まさかの正解!

 やっぱりエロゲ仕様に変わりましたか?

 詳しい理論なんかは不明だが、徐々に流れてきた魔力をせっせと、自分の体内にめぐらせる。

 めぐらせるのはスチュアートがいつも補給でやっていてくれたからね。何となく分かるのだ。

 少し感覚が戻ってきた所で、もっと魔力を吸い出す為に舌を口内で動かす。

 ……側から見たらこれただのディープキスよ。

 スチュアートに見られているのが恥ずかしいし、シルバリウスが戸惑っているのも、気恥ずかしい。

 魔力が巡ってきて思考が安定してきた今、必死に俺を生かそうとしてくれているのが分かるから、恥ずかしいなんて思っていられない。

 そりゃ、ぶっちゃけせっかくシルバリウスに会えたんだもの、生き残れるなら生きたいさ。

 でも、期待するのも怖かったから、考えないようにして逃げていた。

 そんな俺に手を差し出してくれたのだから、この機会にかけるだけだ。

 今回全部塞がなければ、次はもっと大きな穴になってしまう気がするからこそ今にかける。

 体内に巡らせた魔力が循環していく。

 穴はどこにもないか、最後にもう一度シルバリウスの魔力を体内でめぐらせて確認してから、ゆっくり舌を引っ込める。



 魔力穴は全て塞がった。

 

 胸からこみ上げるものがあり、抑えきれずに泣いた。

 

 これからも生きられるんだ。



 そっと抱きしめてくれたシルバリウスの胸に顔を埋め泣き、落ち着いた所で顔をあげたら



 シルバリウスが白い顔で気絶していた。

 魔力枯渇症状である。



 俺は急いで、余剰分をシルバリウスに補給した。

 勿論俺は手首から。
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