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第2章
52話「エヴィエスとナイ2」
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育て親であったナイの両親を失ってから、エヴィエスとナイは2人だけで生きてきた。
時には食べるものがなくて餓死寸前まで追い込まれたこともあるし、魔物との戦いで死に掛けたこともあった。
毎日生きていく事が精一杯で、いつしか守りたいという気持ちが薄れていたのかもしれない。
であれば……またその気持ちが再燃したのはいつだったろう?
脳裏に浮かぶのは獣人の少女。
「フィオー!!!」
焼け落ちていく村を突き進みながら、エヴィエスはフィオを必死に探していた。
それはフィオに自分を重ねていたのかもしれない。
親を失う悲しみを、村を失った絶望感を味合わせたくなかったのだ。
しかし、結局フィオを救ったのは鈍色の髪の人器使いだった。
泣き叫ぶナイの肩越しにオークの醜悪な顔が覗く。
歪んだ笑みを浮かべたオークは迷わずエヴィエスに向かって野太刀を振り下ろした。
唐突に目の前が真っ暗になる。
もし、あの時シロが来ていなかったら俺とナイはここで終わっていただろう。
育った村を失った時、どうして強くなりたいと誓った?
誰を守りたいと思ったのか?
誰の為に?
エヴィエスの手を握る少女は地下室で震えていたあの時のまま涙を流していた。
◆◆◆◆◆◆
「……夢か」
爽やかな陽光が窓から差し込み、外からは小鳥の囀りが聞こえる。
爽やかな朝であるが、エヴィエスの気持ちは晴れない。
子供の頃の夢なんて久しぶりに見た。
それはエヴィエスにとって忘れたい思い出。無意識のうちに蓋をして封印していた記憶だ。
うなされていのだろう、喉がカラカラに乾いている。
食堂に水を飲みに行こうと思い、部屋の扉を開けると白い封筒が足元に落ちた。
「これは……」
エヴィエスの部屋の扉に挟まっていた封筒。
それはナイからの手紙だった。
エヴィ様へ
手紙を書くのは初めてですね。
なんか緊張しちゃうなぁ。
私は馬鹿で文字を書くのも苦手だけど、一生懸命書きます。
突然ですが、私とパートナーを解消してください。
ごめんなさい。
でもこれはずっと前から考えてた事なの。
お父さんとお母さんが居なくなってから、私とっても不安だった。
でも、エヴィ様が一緒に居てくれたからここまで生きて来れました。
私は何も出来ないから、エヴィ様について行く事しかできない。
それがエヴィ様の足を引っ張っているって事も気付いてました。
エヴィ様はこれから、多くの人を守り導く人になると思う。
そのためには、私みたいなパートナーじゃ駄目なんだよね。
ずっと前から気が付いていたのに、エヴィ様から離れる勇気が出なかったの。
本当にごめんなさい。
これからは、アリスちゃんやリリスちゃんみたいなしっかりしたパートナーを探してください。
だから、私はエヴィ様の前から姿を消す事にしました。
でも、最後にこれだけは伝えさせてください。
私、エヴィ様の事が好きです。
ずっとずっと、このペンダントをくれた時から私はエヴィ様と一緒に居たいと思ってきました。
変だよね。
エヴィ様の前から居なくなるって言ってるのに、好きだなんて。
ああ、何を書いていいか分からなくなっちゃったよ。
もっと伝えたいって思ってた事あったのになぁ。
ごめんね。大好きです。さよなら。
拙いがとても丁寧に書かれた文字は、所々涙で滲んでいた。
封筒の中には古ぼけた木のペンダントが入っていた。
まだナイの両親もいて幸せだった頃、エヴィエスがプレゼントしたペンダントだ。
それはペンダントというにはあまりにも拙い子供騙しの品だ。
だが、それをこれまでナイは大事に持っていたのだ。
ペンダントを握る手に力が入る。
「ナイ……」
どこに行ったかは分からない。
だが、まだそこまで遠くには行っていない筈だ。
このままナイを行かせる訳には行かない。
そう決心したエヴィエスは一目散に宿から飛び出した。
◆◆◆◆◆◆
「はぁはぁはぁ……」
宿を飛び出して半日。
1日で最も高い位置に達した太陽がエヴィエスを力強く照りつける。
ただ闇雲に街を走り回っていたのだが、見つけることは出来なかった。
それもそうだ。
この広大な街でたった1人の人を見つけるなんて不可能に近い。
だが、それでもナイに会いたい。
エヴィエスはその一心で走り続けていた。
するとエヴィエスの前に影が落ちる。
「ウタ……」
顔を上げるとウタが熱を感じさせない人形のような冷めた目でエヴィエスを見つめていた。
「ざまあないわね……ナイにも逃げられてアンタは本当に無様よ」
「ああ……そうだな。笑うなら笑え。でも俺はここでナイと別れたくないんだ!」
心のこもっていない軽蔑の眼差しを送るウタを真っ直ぐ見つめ返す。
「へぇ、情けないアンタを笑いにきたんだけどいい目をしてるじゃない」
真っ直ぐなエヴィエスの瞳を見たウタな不敵な笑みを浮かべた。
「エヴィエス……ナイに会いたい?」
「ああ、会いたい」
「会ってどうするの?」
「それをお前に話す必要があるのか?」
「……まぁ、それもそうね」
フッと息を吐いたウタは北の方向を指差す。
「街の外、街を見渡せる小高い丘の頂上にあの子は居るはずよ」
「信じていいのか?」
「当たり前よ。私の事誰だと思ってんの?」
そう言いながらウタはニヤリと笑った。
その笑顔は人形のような生気がこもっていない表情ではなく、熱がこもった人間の笑顔だった。
「さぁ、寄り道はここまで。行ってあげなさい。あの子の為に……」
「ああ!ありがとう!」
エヴィエスはウタに背を向け、北に向かった。
「さてと……」
血相を変えて走り去ったエヴィエスの背中を見送りながらウタは独り言を呟くと、行き交う人達に視線を送る。
すると、エヴィエスとすれ違う様に冴えない顔の男性がこちらに向かって歩いてくる。
見るからに自信がなさげで存在感のない雰囲気を纏っている。
ウタはその男性に狙いを付けると、後ろから握り締めるように男性の肩に手を置いた。
「ひっ!!」
突然肩を握り締められ男性は恐る恐る後ろを振り向く。
「ねぇ、ちょっと付き合ってもらいたいんだけどいいかしら?」
有無を言わさないウタの雰囲気に男性は何も言わずに首を縦に振った。
時には食べるものがなくて餓死寸前まで追い込まれたこともあるし、魔物との戦いで死に掛けたこともあった。
毎日生きていく事が精一杯で、いつしか守りたいという気持ちが薄れていたのかもしれない。
であれば……またその気持ちが再燃したのはいつだったろう?
脳裏に浮かぶのは獣人の少女。
「フィオー!!!」
焼け落ちていく村を突き進みながら、エヴィエスはフィオを必死に探していた。
それはフィオに自分を重ねていたのかもしれない。
親を失う悲しみを、村を失った絶望感を味合わせたくなかったのだ。
しかし、結局フィオを救ったのは鈍色の髪の人器使いだった。
泣き叫ぶナイの肩越しにオークの醜悪な顔が覗く。
歪んだ笑みを浮かべたオークは迷わずエヴィエスに向かって野太刀を振り下ろした。
唐突に目の前が真っ暗になる。
もし、あの時シロが来ていなかったら俺とナイはここで終わっていただろう。
育った村を失った時、どうして強くなりたいと誓った?
誰を守りたいと思ったのか?
誰の為に?
エヴィエスの手を握る少女は地下室で震えていたあの時のまま涙を流していた。
◆◆◆◆◆◆
「……夢か」
爽やかな陽光が窓から差し込み、外からは小鳥の囀りが聞こえる。
爽やかな朝であるが、エヴィエスの気持ちは晴れない。
子供の頃の夢なんて久しぶりに見た。
それはエヴィエスにとって忘れたい思い出。無意識のうちに蓋をして封印していた記憶だ。
うなされていのだろう、喉がカラカラに乾いている。
食堂に水を飲みに行こうと思い、部屋の扉を開けると白い封筒が足元に落ちた。
「これは……」
エヴィエスの部屋の扉に挟まっていた封筒。
それはナイからの手紙だった。
エヴィ様へ
手紙を書くのは初めてですね。
なんか緊張しちゃうなぁ。
私は馬鹿で文字を書くのも苦手だけど、一生懸命書きます。
突然ですが、私とパートナーを解消してください。
ごめんなさい。
でもこれはずっと前から考えてた事なの。
お父さんとお母さんが居なくなってから、私とっても不安だった。
でも、エヴィ様が一緒に居てくれたからここまで生きて来れました。
私は何も出来ないから、エヴィ様について行く事しかできない。
それがエヴィ様の足を引っ張っているって事も気付いてました。
エヴィ様はこれから、多くの人を守り導く人になると思う。
そのためには、私みたいなパートナーじゃ駄目なんだよね。
ずっと前から気が付いていたのに、エヴィ様から離れる勇気が出なかったの。
本当にごめんなさい。
これからは、アリスちゃんやリリスちゃんみたいなしっかりしたパートナーを探してください。
だから、私はエヴィ様の前から姿を消す事にしました。
でも、最後にこれだけは伝えさせてください。
私、エヴィ様の事が好きです。
ずっとずっと、このペンダントをくれた時から私はエヴィ様と一緒に居たいと思ってきました。
変だよね。
エヴィ様の前から居なくなるって言ってるのに、好きだなんて。
ああ、何を書いていいか分からなくなっちゃったよ。
もっと伝えたいって思ってた事あったのになぁ。
ごめんね。大好きです。さよなら。
拙いがとても丁寧に書かれた文字は、所々涙で滲んでいた。
封筒の中には古ぼけた木のペンダントが入っていた。
まだナイの両親もいて幸せだった頃、エヴィエスがプレゼントしたペンダントだ。
それはペンダントというにはあまりにも拙い子供騙しの品だ。
だが、それをこれまでナイは大事に持っていたのだ。
ペンダントを握る手に力が入る。
「ナイ……」
どこに行ったかは分からない。
だが、まだそこまで遠くには行っていない筈だ。
このままナイを行かせる訳には行かない。
そう決心したエヴィエスは一目散に宿から飛び出した。
◆◆◆◆◆◆
「はぁはぁはぁ……」
宿を飛び出して半日。
1日で最も高い位置に達した太陽がエヴィエスを力強く照りつける。
ただ闇雲に街を走り回っていたのだが、見つけることは出来なかった。
それもそうだ。
この広大な街でたった1人の人を見つけるなんて不可能に近い。
だが、それでもナイに会いたい。
エヴィエスはその一心で走り続けていた。
するとエヴィエスの前に影が落ちる。
「ウタ……」
顔を上げるとウタが熱を感じさせない人形のような冷めた目でエヴィエスを見つめていた。
「ざまあないわね……ナイにも逃げられてアンタは本当に無様よ」
「ああ……そうだな。笑うなら笑え。でも俺はここでナイと別れたくないんだ!」
心のこもっていない軽蔑の眼差しを送るウタを真っ直ぐ見つめ返す。
「へぇ、情けないアンタを笑いにきたんだけどいい目をしてるじゃない」
真っ直ぐなエヴィエスの瞳を見たウタな不敵な笑みを浮かべた。
「エヴィエス……ナイに会いたい?」
「ああ、会いたい」
「会ってどうするの?」
「それをお前に話す必要があるのか?」
「……まぁ、それもそうね」
フッと息を吐いたウタは北の方向を指差す。
「街の外、街を見渡せる小高い丘の頂上にあの子は居るはずよ」
「信じていいのか?」
「当たり前よ。私の事誰だと思ってんの?」
そう言いながらウタはニヤリと笑った。
その笑顔は人形のような生気がこもっていない表情ではなく、熱がこもった人間の笑顔だった。
「さぁ、寄り道はここまで。行ってあげなさい。あの子の為に……」
「ああ!ありがとう!」
エヴィエスはウタに背を向け、北に向かった。
「さてと……」
血相を変えて走り去ったエヴィエスの背中を見送りながらウタは独り言を呟くと、行き交う人達に視線を送る。
すると、エヴィエスとすれ違う様に冴えない顔の男性がこちらに向かって歩いてくる。
見るからに自信がなさげで存在感のない雰囲気を纏っている。
ウタはその男性に狙いを付けると、後ろから握り締めるように男性の肩に手を置いた。
「ひっ!!」
突然肩を握り締められ男性は恐る恐る後ろを振り向く。
「ねぇ、ちょっと付き合ってもらいたいんだけどいいかしら?」
有無を言わさないウタの雰囲気に男性は何も言わずに首を縦に振った。
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