44 / 85
第2章
43話「2ヶ月後」
しおりを挟む
「うーん……相変わらず美味しいわね」
色とりどりの果物や山盛りに盛られた料理を囲みながらシロ達は朝食をとっていた。
シロ達の家になった宿の食堂にはいくつものテーブルが並んでいるが、今ではシロ達しか使うものはいない。
アリスは料理を口に頬張りながらウタに視線を向ける。
「ふふん。そうでしょ?でもアリスの為に作ってるんじゃないからね」
「そんなん分かってるわよ」
「でも、本当に美味しいよ。ありがとう。ウタ」
「当然!まあ私は完璧だからね」
白いエプロンを付け、黒髪を一つに結んでいるウタは満足げな表情を見せる。
ケントルムでの生活が始まって既に2ヶ月が経過しようとしていた。
皆と一緒に暮らし始めてから料理は毎日ウタが作ってくれている。ウタ曰く、旦那の栄養管理は妻の務めということらしい。
ウタは自身を完璧と称するだけあって料理の腕もかなりのものだ。
最初はシロの分しか食事を作ってくれなかったのだが、今では皆の分も普通に作ってくれるようになっていた。
「それにしてももう2ヶ月も経ったのよね」
「うん、本当に早いよね」
ラウドの訓練は第二段階の終わりに差し掛かっていた。
とは言っても第二段階は、ラウドの教えてくれた型を同調した状態で行うというものであった。なので、ラウドには初めて会ったのを入れて二度しか会っていない。
もっと色々と話を聞いてみたいのだが、忙しいのだろう。全く機会に恵まれなかった。
シロ達は最初は同調をしながら動きを合わせるという感覚が掴めなくて苦労したが、今ではラウドの言っていた一緒に戦うという意味が分かったような気がしていた。
「でももうそろそろ第二段階も終わるから、次は実戦なんじゃないか?」
エヴィエスがナイフとフォークを器用に使いながら切り分けた料理を口に入れる。
流石元王族。育ちの良さが現れている。
「確かに最近はずっと訓練だし……実戦もいいかもしれないわね。シロはどう思う?」
「んー、でも僕はこの街に来てからずっと訓練だったから、ゆっくりみんなと街を見てみたいな」
「そんな話してんじゃないわよ」
アリスが眉間にシワを寄せながら呆れた表情を見せる。
「でも、約束だってあるじゃない?」
ケントルムに来た初日の夜、アリスとリリス2人それぞれと街へ出かける約束をしていたのだが、それを未だに果たせていないのが気がかりだったのだ。
「シロさん……覚えていてくれたんですね」
明らかに感激した様子のリリスが両手を胸の前に組みながらシロに視線を向ける。
「まあ、確かにそうね……今度考えましょうか」
「それ……何の話?ダーリン?」
「アリスとリリス、1人ずつと街に出かける約束をしたんだけどずっと行けてないって話だよ」
「あっ……シロ……」
アリスの制止も虚しく、シロは約束の事をウタに伝えると、みるみるうちにウタの表情が変わる。
「私もダーリンとデートしたい!」
大きな瞳を爛々と輝かせながらウタはシロにグイッと身体を寄せる。
「わわっ!ウタくっつきすぎだから!」
「えー、いいじゃない。私達夫婦なんだから」
ウタは甘い声を出しながらシロの腕に自分の腕を絡み付ける。
シロは自身から伝わるウタの柔らかい感覚によっと顔が熱くなるのを感じていた。
シロはウタと出会ってから彼女の執拗なボディタッチに赤面する日が続いていた。
しかも、最近ではシロが困る様子を楽しんでいる節すらあるのだ。
「まあ、いいけど……リリス。私。アンタの順番だからね」
赤面するシロに冷ややかな視線を向けるアリスはウタにピッと手に持ったナイフを向ける。
「いやいやいやいや。あり得ないわ。ダーリンとのデートは私が最初。アンタ達下々は私の後に決まってるじゃない」
「はぁ?何考えてんのよ。私達が先に約束してたんだから当然でしょ!」
ウタの物言いにイラッとした様子のアリスは机を叩いて立ち上がりウタを睨みつける。
ウタもすかさず立ち上がってアリスを睨み返し、穏やかな朝食の食卓が一瞬にして修羅場の様相を呈する。
その張り詰めた空気にシロとリリスはただただ戸惑う事しか出来ない。
シロはエヴィエスに助けてもらおうと視線を送るが、彼は我関せずという様子で料理を堪能していた。
「はーい。2人とも喧嘩しなーい。私に提案があるんだけどいいかな?」
その様子を普段と変わらないニコニコした表情で見ていたナイが力の入らない声色で手を挙げる。
「ナイ……言ってみなさい」
ウタはアリスから視線を逸らさずに静かに答えた。
「シロ君とのデートなんだから、シロ君に行きたい順番を決めてもらえればいいんじゃないかな?」
「ナイ……」
我関せずを貫いていたエヴィエスはナイの提案にため息まじりで俯く。
「そうね……いい提案だわ」
「分かったわ」
2人は静かにシロに目線を向ける。
シロはその視線にゾクッと鳥肌が立つのを感じていた。
「ねぇ。ダーリン……」
「はっはい!」
「当然私よね。だって私達夫婦なんだから」
シロはウタと夫婦になったつもりはない。
しかし、ウタの光を失った漆黒の瞳には殺気にに似たものが込められており、もし断ったら何が起こるか分からない危うさを感じていた。
「殺されるかもしれない……」
「シロ……」
「はい!」
「当然私達よね?そんな何処の馬の骨かも分からない女なんかより私達の方が大切よね?私達との絆ってそんな物だったの?」
眉を釣り上げ真っ赤になったアリスの青い瞳にはやや涙が浮かんでいる。
「えっと……」
本当に困った。
アリスを悲しませるわけにはいかない。そうしたらウタがどうなるか分からない。
どちらを選んでも彼女達を傷つけてしまう。
どう答えていいか分からないシロはただただ冷や汗を流す事しか出来ない。
「ねぇダーリン。何黙ってるの?私でしょ?」
「シロ。当然私達よね?」
「あ、いや……えっと……」
この場から逃げ出したい。
シロは仮面のテラーと対峙した時よりプレッシャーを感じる。
「あー、分かった分かった。ウタもアリスも嫁とパートナーなんだったらあんまりシロを困らせるなよ」
エヴィエスが呆れた様子でパンパンっと手を叩く。
「じゃあ、アンタは案があるって言うの?」
「ある!」
そう言いながらエヴィエスは机の上に拳を差し出す。その手には、細く切られた紙が握られている。
「この3本の紙をお前らに引いてもらう。引いた紙が長かった順にデートをする。それでいいだろ?」
「エヴィ……」
助け舟を出してくれた友にシロは心の中で最大限の感謝の気持ちを伝えた。
「へぇ、くじ引きね。まあ、私が負ける訳ないからそれでもいいわよ」
「はぁ?くじでそんな事言えるアンタが信じられないわよ。リリス!引くわよ!」
「うっうん」
3人はそれぞれエヴィエスの握った紙を手に取り勢いよく引いた。
結果。
紙の長さはアリス。ウタ。リリスの順番であった。
「そんな!?完璧な私が負けるなんて……」
負けることなど頭の片隅にもなかったウタは驚愕の表情を浮かべる。
「はーはっは!!アンタの完璧なんてその程度なのよ!」
一方、勝者のアリスは高笑いをしながら満足げな表情でウタを見下す。
「くっ……くぅ……」
その高笑いにプライドを気付けられたウタは涙を浮かべながら小刻みに身を震わせながら崩れ落ちる。
「はーい。お取り込み中のところいいかしら?」
食卓の出口の方がら声が響き、そちらに顔を向けると、カーミラが穏やか表情でシロ達を見ていた。
「どうしたんですか?カーミラさん」
「今日はラウドからシロ君達に仕事の依頼があって来たの」
そう言いながらカーミラは空いている椅子に腰掛ける。
「仕事ですか?」
「ええ、ちょっとお願いがあるから、この後一緒にギルドに来てもらっていいかしら?」
「分かりました」
「ところで、この子は何してるの?」
カーミラは自信を失い地面に転がっているウタを不思議そうに見つめていた。
色とりどりの果物や山盛りに盛られた料理を囲みながらシロ達は朝食をとっていた。
シロ達の家になった宿の食堂にはいくつものテーブルが並んでいるが、今ではシロ達しか使うものはいない。
アリスは料理を口に頬張りながらウタに視線を向ける。
「ふふん。そうでしょ?でもアリスの為に作ってるんじゃないからね」
「そんなん分かってるわよ」
「でも、本当に美味しいよ。ありがとう。ウタ」
「当然!まあ私は完璧だからね」
白いエプロンを付け、黒髪を一つに結んでいるウタは満足げな表情を見せる。
ケントルムでの生活が始まって既に2ヶ月が経過しようとしていた。
皆と一緒に暮らし始めてから料理は毎日ウタが作ってくれている。ウタ曰く、旦那の栄養管理は妻の務めということらしい。
ウタは自身を完璧と称するだけあって料理の腕もかなりのものだ。
最初はシロの分しか食事を作ってくれなかったのだが、今では皆の分も普通に作ってくれるようになっていた。
「それにしてももう2ヶ月も経ったのよね」
「うん、本当に早いよね」
ラウドの訓練は第二段階の終わりに差し掛かっていた。
とは言っても第二段階は、ラウドの教えてくれた型を同調した状態で行うというものであった。なので、ラウドには初めて会ったのを入れて二度しか会っていない。
もっと色々と話を聞いてみたいのだが、忙しいのだろう。全く機会に恵まれなかった。
シロ達は最初は同調をしながら動きを合わせるという感覚が掴めなくて苦労したが、今ではラウドの言っていた一緒に戦うという意味が分かったような気がしていた。
「でももうそろそろ第二段階も終わるから、次は実戦なんじゃないか?」
エヴィエスがナイフとフォークを器用に使いながら切り分けた料理を口に入れる。
流石元王族。育ちの良さが現れている。
「確かに最近はずっと訓練だし……実戦もいいかもしれないわね。シロはどう思う?」
「んー、でも僕はこの街に来てからずっと訓練だったから、ゆっくりみんなと街を見てみたいな」
「そんな話してんじゃないわよ」
アリスが眉間にシワを寄せながら呆れた表情を見せる。
「でも、約束だってあるじゃない?」
ケントルムに来た初日の夜、アリスとリリス2人それぞれと街へ出かける約束をしていたのだが、それを未だに果たせていないのが気がかりだったのだ。
「シロさん……覚えていてくれたんですね」
明らかに感激した様子のリリスが両手を胸の前に組みながらシロに視線を向ける。
「まあ、確かにそうね……今度考えましょうか」
「それ……何の話?ダーリン?」
「アリスとリリス、1人ずつと街に出かける約束をしたんだけどずっと行けてないって話だよ」
「あっ……シロ……」
アリスの制止も虚しく、シロは約束の事をウタに伝えると、みるみるうちにウタの表情が変わる。
「私もダーリンとデートしたい!」
大きな瞳を爛々と輝かせながらウタはシロにグイッと身体を寄せる。
「わわっ!ウタくっつきすぎだから!」
「えー、いいじゃない。私達夫婦なんだから」
ウタは甘い声を出しながらシロの腕に自分の腕を絡み付ける。
シロは自身から伝わるウタの柔らかい感覚によっと顔が熱くなるのを感じていた。
シロはウタと出会ってから彼女の執拗なボディタッチに赤面する日が続いていた。
しかも、最近ではシロが困る様子を楽しんでいる節すらあるのだ。
「まあ、いいけど……リリス。私。アンタの順番だからね」
赤面するシロに冷ややかな視線を向けるアリスはウタにピッと手に持ったナイフを向ける。
「いやいやいやいや。あり得ないわ。ダーリンとのデートは私が最初。アンタ達下々は私の後に決まってるじゃない」
「はぁ?何考えてんのよ。私達が先に約束してたんだから当然でしょ!」
ウタの物言いにイラッとした様子のアリスは机を叩いて立ち上がりウタを睨みつける。
ウタもすかさず立ち上がってアリスを睨み返し、穏やかな朝食の食卓が一瞬にして修羅場の様相を呈する。
その張り詰めた空気にシロとリリスはただただ戸惑う事しか出来ない。
シロはエヴィエスに助けてもらおうと視線を送るが、彼は我関せずという様子で料理を堪能していた。
「はーい。2人とも喧嘩しなーい。私に提案があるんだけどいいかな?」
その様子を普段と変わらないニコニコした表情で見ていたナイが力の入らない声色で手を挙げる。
「ナイ……言ってみなさい」
ウタはアリスから視線を逸らさずに静かに答えた。
「シロ君とのデートなんだから、シロ君に行きたい順番を決めてもらえればいいんじゃないかな?」
「ナイ……」
我関せずを貫いていたエヴィエスはナイの提案にため息まじりで俯く。
「そうね……いい提案だわ」
「分かったわ」
2人は静かにシロに目線を向ける。
シロはその視線にゾクッと鳥肌が立つのを感じていた。
「ねぇ。ダーリン……」
「はっはい!」
「当然私よね。だって私達夫婦なんだから」
シロはウタと夫婦になったつもりはない。
しかし、ウタの光を失った漆黒の瞳には殺気にに似たものが込められており、もし断ったら何が起こるか分からない危うさを感じていた。
「殺されるかもしれない……」
「シロ……」
「はい!」
「当然私達よね?そんな何処の馬の骨かも分からない女なんかより私達の方が大切よね?私達との絆ってそんな物だったの?」
眉を釣り上げ真っ赤になったアリスの青い瞳にはやや涙が浮かんでいる。
「えっと……」
本当に困った。
アリスを悲しませるわけにはいかない。そうしたらウタがどうなるか分からない。
どちらを選んでも彼女達を傷つけてしまう。
どう答えていいか分からないシロはただただ冷や汗を流す事しか出来ない。
「ねぇダーリン。何黙ってるの?私でしょ?」
「シロ。当然私達よね?」
「あ、いや……えっと……」
この場から逃げ出したい。
シロは仮面のテラーと対峙した時よりプレッシャーを感じる。
「あー、分かった分かった。ウタもアリスも嫁とパートナーなんだったらあんまりシロを困らせるなよ」
エヴィエスが呆れた様子でパンパンっと手を叩く。
「じゃあ、アンタは案があるって言うの?」
「ある!」
そう言いながらエヴィエスは机の上に拳を差し出す。その手には、細く切られた紙が握られている。
「この3本の紙をお前らに引いてもらう。引いた紙が長かった順にデートをする。それでいいだろ?」
「エヴィ……」
助け舟を出してくれた友にシロは心の中で最大限の感謝の気持ちを伝えた。
「へぇ、くじ引きね。まあ、私が負ける訳ないからそれでもいいわよ」
「はぁ?くじでそんな事言えるアンタが信じられないわよ。リリス!引くわよ!」
「うっうん」
3人はそれぞれエヴィエスの握った紙を手に取り勢いよく引いた。
結果。
紙の長さはアリス。ウタ。リリスの順番であった。
「そんな!?完璧な私が負けるなんて……」
負けることなど頭の片隅にもなかったウタは驚愕の表情を浮かべる。
「はーはっは!!アンタの完璧なんてその程度なのよ!」
一方、勝者のアリスは高笑いをしながら満足げな表情でウタを見下す。
「くっ……くぅ……」
その高笑いにプライドを気付けられたウタは涙を浮かべながら小刻みに身を震わせながら崩れ落ちる。
「はーい。お取り込み中のところいいかしら?」
食卓の出口の方がら声が響き、そちらに顔を向けると、カーミラが穏やか表情でシロ達を見ていた。
「どうしたんですか?カーミラさん」
「今日はラウドからシロ君達に仕事の依頼があって来たの」
そう言いながらカーミラは空いている椅子に腰掛ける。
「仕事ですか?」
「ええ、ちょっとお願いがあるから、この後一緒にギルドに来てもらっていいかしら?」
「分かりました」
「ところで、この子は何してるの?」
カーミラは自信を失い地面に転がっているウタを不思議そうに見つめていた。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる