4 / 85
第1章
3話「初任務」
しおりを挟む
「シロ!アンタ人器ないの!?」
アリスの驚いた声が店内に響く。
双子に出会った日の夜、アリスの誘いで三人で夕飯を食べていた。
カーミラも誘っていたようだが、仕事があるということで彼女は不参加だ。店内は感じの良い夫婦が切り盛りしている店で、広くはないが活気がある。
僕達の声も店内の賑やかな話し声にかき消されてしまっているだろう。
「あんたそれってどういうこと….…?」
アリスは三人で囲む丸いテーブルに身を乗り出してシロを見つめる。前に出た勢いで彼女の2つに結んだ金髪が勢いよく揺れた。
「分からないんです……ずっとそうだったので」
「姉さん……その話はもう……」
リリスは困った表情で姉を止めようとするが、姉の青い瞳はシロから目線を外さない。
「だから……ずっと一人でした……」
子供の頃に浴びせられた視線が頭をよぎり、アリスと目を合わせられない。急激に身体が冷えていくのを感じる。
黙っておくことも出来たのだが、パートナーになるのであれば先に話をしておいた方が良い。シロはそう考えていた。
「んー、まあ良いわ。リリスが認めているし……それに、同調が出来るアンタの力はすごいと思うから」
アリスは椅子に深々と腰を下ろして、飲み物を少し口に含む。
困っていたリリスも胸に手を当て安堵の表情に変わる。
「ありがとう……。それで……同調っていうのはどういうことですか?」
「そうか……アンタ何も知らないのね。じゃあ、教えてあげる」
そう言いながら、アリスは口一杯にサラダを頬張った。
なぜ、このタイミングで口一杯に頬張るのかと思いながらもシロはアリスを見つめる。
「救済の光以降、私達人間が人器になれるようになったってことはアンタも知ってるわよね?」
口に物を入れてモゴモゴ話すのでとても聞き取りにくい。
「はい」
「んで、行使者が人器を使う事を行使と呼ぶの。これだけでも魔物と戦う力を得られるようになるのだなら凄い力ね」
「だけど……同調は別……です」
「そう、同調はお互いが共鳴するの。アンタがカーミラさん、リリスと感情を共有したのは同調の特徴ね。行使はあくまで人器の力の片鱗を使ってるに過ぎないの。同調して初めて人器の力を発揮できるって言われているわ」
「その……同調はそんなに難しいんですか?」
「難しいわよ!!!」
アリスはテーブルをバンッと叩き、置かれたグラスがグラグラと揺れた。
「同調……は、どんな条件で……できるか分からないん……です」
「そうなの。同調が出来る人器使いは多くないから貴重なの」
「この街だと……ケンプさんと……ルウムさんくらいだと……思います……」
「そうね。あの2人は獣人との戦争から活躍してるベテランだからね。今度会う機会もある筈よ」
「そうですか……」
「ところで、あんたその変な喋り方はなんなの?見たところ私達と同じくらいの年に見えるし、そんな喋り方しなくていいわよ」
「ごめんなさい……その……アリスさんって優しいんですね……」
「んー、調子狂うわね……」
そう言うと、アリスは少し頬を赤らめながら飲み物を一気に飲み干す。
「さあ、色々と話も聞けたし、今日は帰りましょうか。アンタどうせ金持ってないんでしょ?今日は私達の奢りってことにしておいてあげる」
「ありがとう……」
「別にさっきのに気を良くしたとかそんなんじゃないんだからね!」
「お姉ちゃん……単純……」
その後、3人が店を出るともうすっかり日は落ち、月明かりが街を照らしていた。
行き交う人もまばらで、立ち並ぶ建物の窓からは光が漏れている。
「じゃあ、私達は教会に帰るけどアンタはどうするの?」
「……え?」
そういえば、何も考えていなかった。
「えっと……まあ……どこかで野宿でもします」
「はぁー」
「仕方ないわね……とりあえず教会で寝なさい。シスターには私から言ってあげるから」
「ありがとう……何から何まで本当に嬉しいです……」
「別にアンタはこれから金を稼ぐパートナーなんだから、それくらい当然よ!これからガンガン稼いでもらうんだからね!」
そう言うとシロとリリスに背を向け、教会の方角へ歩き出してしまう。
「さあ、行くわよ!あと、その言葉使い禁止だからね!」
「分かりまし……いや、分かった」
「よろしい!」
シロの返事に背を向けたままアリスは答えた。
「お姉ちゃん……面倒見…いいんです」
アリスの後を着いて歩いていると、横を歩くリリスがシロの顔を覗き込む。
「うん、優しいお姉さんだね」
「はい……自慢の姉ですから……これから……よろしくお願い……します。シロさん」
前髪の隙間から柔らかな笑顔が覗く。
双子なだけあって顔立ちは姉と瓜二つだが、姉とは異なる少し垂れ下がった大きい瞳が彼女の柔らかい雰囲気を強調している。
前髪、切れば良いのにと素直に思う。
「うん、よろしくリリス」
2人は笑顔をで目を合わせた。
「ちょっと、アンタ……」
前に目を向けると、アリスがこちら向いているが眉間にシワを寄せ腕を組んでいる。その雰囲気が普通ではない。
「え……?」
「リリスに手を出したら……殺すから」
ドスの効いた低い声でシロを睨みつける。
「は……はい!」
◆◆◆◆◆◆
翌日、シロとアリス、リリスの3人は早朝からギルドへ向かっていた。
昨日は教会に向かった後、人が良さそうな老婆のシスターに軽く挨拶を済ませた後、教会の祭壇の椅子で眠った。硬くて寝心地も良くなかったが、寒さや夜露を凌げるだけましだった。
目の前を歩くリリスの長い髪が朝日に照らされキラキラと輝いている。
それにしても、アリスとリリスは歩幅も歩く動作も見事に一致している。さすが双子だ。
だが、性格は真逆なのだから、また不思議だ。
「さあ!今日は稼ぐわよ!シロ!アンタ無一文なんだから気合入れなさいね!」
アリスはやけに張り切っている。
「アリス……仕事の前に一回人器を試さなくて大丈夫かな?」
「大丈夫!大丈夫!同調も出来るんだし危ない事にはならないわ」
「そうかなぁ……」
程なくするとギルドが見えてきた。
周囲に建っている木造の平屋と同じ高さだか、ギルドだけは教会と同じ石造りだ。
だが、教会と違い装飾は特になく、入口に女性が印された旗が掲げられているだけだ。
中に入ると、奥にカウンターがあり、職員が座っている。
そこで仕事の斡旋を受けるのだ。
早朝に来たからか、他の人器使いは2組程しか居ない。
「あら、いらっしゃい」
聞き慣れた声に振り向くと、カウンターにカーミラが座って手を振っていた。
「何でここに?って顔しているわね。私ギルドの職員だからよ」
「ちょっと!カーミラさん!昨日コイツのこと放っといたでしょ!」
アリスはカーミラに不満をぶつける。
「あら?でもアリス。あなたなら彼を放っておくなんてしないでしょ?だからシロ君をお願いしたの。あなた、優しいから……」
「ぐっ!」
微笑みを崩さないカーミラの表情にアリスは肩を震わせるが、言い合いではカーミラが一枚も二枚も上手なのだ。
「そうそう、シロ君に渡したいものがあるの」
早々にアリスとの会話を打ち切り、彼女は一枚の白いカードをシロに手渡した。
そのカードには、シロの名前とパートナーのアリス、リリスの名前が刻まれていた。裏面には入口の旗と同じ女性のマークが刻まれていた。
これがギルドに所属している証よ。
「え……!?ありがとう……カーミラさん……」
カーミラの優しさに胸が熱くなる。彼女には昨日からもらってばかりだ。
「でも私が出来るのは君をスターラインに立たせる事だけ。ここから先は君の力で切り開くのよ」
カーミラはシロの肩に手を添える。
「はい、僕……頑張ります」
「その意気よ。頑張ってね」
「シロさん……良かったですね……」
「別に登録出来ただけなんてなんて事ないけど、まあ、良かったんじゃないかしら」
「じゃあ、依頼はいくつか奥の掲示板にあるから見て決めてね」
「はい!分かりました」
3人は指差されてた方角に進み掲示板に貼られた紙を見つめる。
「うーん、あんまり高い依頼ないわね」
アリスは掲示板に貼られている紙を食い入るように見つめている。
貼られている紙には依頼内容と報酬額が書かれているのだが、500エルから1000エル程度の内容が多い。
この依頼を受注し、達成した報酬を受け取る。それで金を稼ぐのだ。
ギルドは依頼主と人器使いを繋いだり、人器に適した仕事を斡旋したりするのが役割で人々の生活に欠かせない存在だ。
昨夜、アリスに聞いたのだが、魔物の襲来や救済の光による人器化の発現といった混乱で国や王といった存在はもう廃れてしまっている。
その混乱を収めたのが、ギルドの創始者のラウドと呼ばれる英雄で、今はギルドが人々を束ねる組織になっているとのことだ。
「これは高いよ」
その紙には魔物の巣の調査と書かれ、報酬は50,000エルと記載されている。
「いやいや、紙をよく見てみなさい。銀って書かれてるでしょ?これは私達のランクでは受けられないわよ」
「私達のランクは……一番下の鉄……です。ランクは……実績に応じて……鉄、銅、銀、金、白金……と上がっていくんです」
「そうなのか……」
「んー、じゃあ森での薬草採取!これにしましょう!」
アリスはカーミラの待つカウンターに紙を持っていって受注手続きをする。
「カーミラさん……あの、魔物の巣って……」
「ああ、あれ?この間、私がフェンリルに襲われたのもそうなんだけど、最近魔物が増えているって報告を受けているのよ。だから、ちょっと気になって、ギルドから依頼を出しているの」
「そうですか……」
「でもまあ、この依頼なら余り森の奥に行く事もないだろうし、危険は少ない筈よ。初仕事頑張ってね!」
「はい!」
「さあ行くわよ!シロ!」
「姉さん……ちょっと待って……」
カーミラは笑顔で3人の背中を見送るのだった。
アリスの驚いた声が店内に響く。
双子に出会った日の夜、アリスの誘いで三人で夕飯を食べていた。
カーミラも誘っていたようだが、仕事があるということで彼女は不参加だ。店内は感じの良い夫婦が切り盛りしている店で、広くはないが活気がある。
僕達の声も店内の賑やかな話し声にかき消されてしまっているだろう。
「あんたそれってどういうこと….…?」
アリスは三人で囲む丸いテーブルに身を乗り出してシロを見つめる。前に出た勢いで彼女の2つに結んだ金髪が勢いよく揺れた。
「分からないんです……ずっとそうだったので」
「姉さん……その話はもう……」
リリスは困った表情で姉を止めようとするが、姉の青い瞳はシロから目線を外さない。
「だから……ずっと一人でした……」
子供の頃に浴びせられた視線が頭をよぎり、アリスと目を合わせられない。急激に身体が冷えていくのを感じる。
黙っておくことも出来たのだが、パートナーになるのであれば先に話をしておいた方が良い。シロはそう考えていた。
「んー、まあ良いわ。リリスが認めているし……それに、同調が出来るアンタの力はすごいと思うから」
アリスは椅子に深々と腰を下ろして、飲み物を少し口に含む。
困っていたリリスも胸に手を当て安堵の表情に変わる。
「ありがとう……。それで……同調っていうのはどういうことですか?」
「そうか……アンタ何も知らないのね。じゃあ、教えてあげる」
そう言いながら、アリスは口一杯にサラダを頬張った。
なぜ、このタイミングで口一杯に頬張るのかと思いながらもシロはアリスを見つめる。
「救済の光以降、私達人間が人器になれるようになったってことはアンタも知ってるわよね?」
口に物を入れてモゴモゴ話すのでとても聞き取りにくい。
「はい」
「んで、行使者が人器を使う事を行使と呼ぶの。これだけでも魔物と戦う力を得られるようになるのだなら凄い力ね」
「だけど……同調は別……です」
「そう、同調はお互いが共鳴するの。アンタがカーミラさん、リリスと感情を共有したのは同調の特徴ね。行使はあくまで人器の力の片鱗を使ってるに過ぎないの。同調して初めて人器の力を発揮できるって言われているわ」
「その……同調はそんなに難しいんですか?」
「難しいわよ!!!」
アリスはテーブルをバンッと叩き、置かれたグラスがグラグラと揺れた。
「同調……は、どんな条件で……できるか分からないん……です」
「そうなの。同調が出来る人器使いは多くないから貴重なの」
「この街だと……ケンプさんと……ルウムさんくらいだと……思います……」
「そうね。あの2人は獣人との戦争から活躍してるベテランだからね。今度会う機会もある筈よ」
「そうですか……」
「ところで、あんたその変な喋り方はなんなの?見たところ私達と同じくらいの年に見えるし、そんな喋り方しなくていいわよ」
「ごめんなさい……その……アリスさんって優しいんですね……」
「んー、調子狂うわね……」
そう言うと、アリスは少し頬を赤らめながら飲み物を一気に飲み干す。
「さあ、色々と話も聞けたし、今日は帰りましょうか。アンタどうせ金持ってないんでしょ?今日は私達の奢りってことにしておいてあげる」
「ありがとう……」
「別にさっきのに気を良くしたとかそんなんじゃないんだからね!」
「お姉ちゃん……単純……」
その後、3人が店を出るともうすっかり日は落ち、月明かりが街を照らしていた。
行き交う人もまばらで、立ち並ぶ建物の窓からは光が漏れている。
「じゃあ、私達は教会に帰るけどアンタはどうするの?」
「……え?」
そういえば、何も考えていなかった。
「えっと……まあ……どこかで野宿でもします」
「はぁー」
「仕方ないわね……とりあえず教会で寝なさい。シスターには私から言ってあげるから」
「ありがとう……何から何まで本当に嬉しいです……」
「別にアンタはこれから金を稼ぐパートナーなんだから、それくらい当然よ!これからガンガン稼いでもらうんだからね!」
そう言うとシロとリリスに背を向け、教会の方角へ歩き出してしまう。
「さあ、行くわよ!あと、その言葉使い禁止だからね!」
「分かりまし……いや、分かった」
「よろしい!」
シロの返事に背を向けたままアリスは答えた。
「お姉ちゃん……面倒見…いいんです」
アリスの後を着いて歩いていると、横を歩くリリスがシロの顔を覗き込む。
「うん、優しいお姉さんだね」
「はい……自慢の姉ですから……これから……よろしくお願い……します。シロさん」
前髪の隙間から柔らかな笑顔が覗く。
双子なだけあって顔立ちは姉と瓜二つだが、姉とは異なる少し垂れ下がった大きい瞳が彼女の柔らかい雰囲気を強調している。
前髪、切れば良いのにと素直に思う。
「うん、よろしくリリス」
2人は笑顔をで目を合わせた。
「ちょっと、アンタ……」
前に目を向けると、アリスがこちら向いているが眉間にシワを寄せ腕を組んでいる。その雰囲気が普通ではない。
「え……?」
「リリスに手を出したら……殺すから」
ドスの効いた低い声でシロを睨みつける。
「は……はい!」
◆◆◆◆◆◆
翌日、シロとアリス、リリスの3人は早朝からギルドへ向かっていた。
昨日は教会に向かった後、人が良さそうな老婆のシスターに軽く挨拶を済ませた後、教会の祭壇の椅子で眠った。硬くて寝心地も良くなかったが、寒さや夜露を凌げるだけましだった。
目の前を歩くリリスの長い髪が朝日に照らされキラキラと輝いている。
それにしても、アリスとリリスは歩幅も歩く動作も見事に一致している。さすが双子だ。
だが、性格は真逆なのだから、また不思議だ。
「さあ!今日は稼ぐわよ!シロ!アンタ無一文なんだから気合入れなさいね!」
アリスはやけに張り切っている。
「アリス……仕事の前に一回人器を試さなくて大丈夫かな?」
「大丈夫!大丈夫!同調も出来るんだし危ない事にはならないわ」
「そうかなぁ……」
程なくするとギルドが見えてきた。
周囲に建っている木造の平屋と同じ高さだか、ギルドだけは教会と同じ石造りだ。
だが、教会と違い装飾は特になく、入口に女性が印された旗が掲げられているだけだ。
中に入ると、奥にカウンターがあり、職員が座っている。
そこで仕事の斡旋を受けるのだ。
早朝に来たからか、他の人器使いは2組程しか居ない。
「あら、いらっしゃい」
聞き慣れた声に振り向くと、カウンターにカーミラが座って手を振っていた。
「何でここに?って顔しているわね。私ギルドの職員だからよ」
「ちょっと!カーミラさん!昨日コイツのこと放っといたでしょ!」
アリスはカーミラに不満をぶつける。
「あら?でもアリス。あなたなら彼を放っておくなんてしないでしょ?だからシロ君をお願いしたの。あなた、優しいから……」
「ぐっ!」
微笑みを崩さないカーミラの表情にアリスは肩を震わせるが、言い合いではカーミラが一枚も二枚も上手なのだ。
「そうそう、シロ君に渡したいものがあるの」
早々にアリスとの会話を打ち切り、彼女は一枚の白いカードをシロに手渡した。
そのカードには、シロの名前とパートナーのアリス、リリスの名前が刻まれていた。裏面には入口の旗と同じ女性のマークが刻まれていた。
これがギルドに所属している証よ。
「え……!?ありがとう……カーミラさん……」
カーミラの優しさに胸が熱くなる。彼女には昨日からもらってばかりだ。
「でも私が出来るのは君をスターラインに立たせる事だけ。ここから先は君の力で切り開くのよ」
カーミラはシロの肩に手を添える。
「はい、僕……頑張ります」
「その意気よ。頑張ってね」
「シロさん……良かったですね……」
「別に登録出来ただけなんてなんて事ないけど、まあ、良かったんじゃないかしら」
「じゃあ、依頼はいくつか奥の掲示板にあるから見て決めてね」
「はい!分かりました」
3人は指差されてた方角に進み掲示板に貼られた紙を見つめる。
「うーん、あんまり高い依頼ないわね」
アリスは掲示板に貼られている紙を食い入るように見つめている。
貼られている紙には依頼内容と報酬額が書かれているのだが、500エルから1000エル程度の内容が多い。
この依頼を受注し、達成した報酬を受け取る。それで金を稼ぐのだ。
ギルドは依頼主と人器使いを繋いだり、人器に適した仕事を斡旋したりするのが役割で人々の生活に欠かせない存在だ。
昨夜、アリスに聞いたのだが、魔物の襲来や救済の光による人器化の発現といった混乱で国や王といった存在はもう廃れてしまっている。
その混乱を収めたのが、ギルドの創始者のラウドと呼ばれる英雄で、今はギルドが人々を束ねる組織になっているとのことだ。
「これは高いよ」
その紙には魔物の巣の調査と書かれ、報酬は50,000エルと記載されている。
「いやいや、紙をよく見てみなさい。銀って書かれてるでしょ?これは私達のランクでは受けられないわよ」
「私達のランクは……一番下の鉄……です。ランクは……実績に応じて……鉄、銅、銀、金、白金……と上がっていくんです」
「そうなのか……」
「んー、じゃあ森での薬草採取!これにしましょう!」
アリスはカーミラの待つカウンターに紙を持っていって受注手続きをする。
「カーミラさん……あの、魔物の巣って……」
「ああ、あれ?この間、私がフェンリルに襲われたのもそうなんだけど、最近魔物が増えているって報告を受けているのよ。だから、ちょっと気になって、ギルドから依頼を出しているの」
「そうですか……」
「でもまあ、この依頼なら余り森の奥に行く事もないだろうし、危険は少ない筈よ。初仕事頑張ってね!」
「はい!」
「さあ行くわよ!シロ!」
「姉さん……ちょっと待って……」
カーミラは笑顔で3人の背中を見送るのだった。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる