宮廷画家令嬢は契約結婚より肖像画にご執心です！～次期伯爵公の溺愛戦略～

本当の夫婦に

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「お父様に!?」

　慌ただしかった一日が終わった夜。

　とんでもないことをフレイディから聞かされて、アマリアは目を丸くしてしまった。

「ああ。許可をもらってきたよ」

　なのにフレイディはしれっと言う。

　ディナーも済んだあと、部屋で少し話をしようとフレイディの部屋に呼ばれて、一緒に過ごしていたら出てきた話題だ。

　アマリアは二人で窓際に立って涼しい夜風を感じていた心地良さも、一瞬吹っ飛んだかと思うくらいに驚いた。

　フレイディの昨日の外出は、エヴァーレ家を訪ねたものだというのだ。

　それだけで目的なんて明白だったが、その通りのことをフレイディは口に出した。

「アマリアを本当の奥様にもらうという許可だ。エヴァーレ卿は喜んでくださって、だいぶ安心したな」

　フレイディときたら、窓の外から視線をアマリアのほうに戻してそう言うので、アマリアはもう、目をまたたかせるしかない。

　父が喜んで許可をくれたのだという。

　その事実が、じわじわ頭の中に広がる。

　父なら優しいから、アマリアの幸せに繋がることなら、そりゃあ喜んでくれるだろう。

　でもこれほどあっさり……いや。

「フレイディ様！　それならそうと、私にもお先におっしゃってくださいませ！」

　アマリアはつい声を上げていた。