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あなたに恋をしたから

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 しばらくそのままでいたけれど、フレイディはやがて、体の力を抜いた。

 体を起こして、アマリアを離す。

 アマリアは少々痛かったのがなくなって、少しほっとした。

 けれど、それ以上に、なんだか寂しい、と思ってしまった。

 しかし完全に離れてしまうことはなかったのだ。

 フレイディはもう悲痛なんてない表情でアマリアに視線を向けた。

 手を伸ばして、今度はアマリアの頬にそっと触れてきた。

 優しい手つきと体温が自分の肌で感じられる。

 違う意味で、急速にどきどきしてきた。

 フレイディの優し気な金色の瞳を見つめ返すしかできない。

「アマリアに惹かれている。きみに恋をしたんだ」

 見つめ返した先で、フレイディが静かに言った。

 それは今までフレイディが何度も言ってくれたことだった。

 更に、アマリアにも好意を抱いてほしいとも言ってきた。

 その言葉は、恋をしたゆえのものだったのだ。

 アマリアはここまできて、やっと実感として感じた。
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