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仲たがい

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「あれは知人の娘さんだ。それだけだよ」

 それでもフレイディは答えをくれた。

 だが何故か、吐き捨てるような言い方だった。

 フレイディがこんな口調でものを言うところなど、アマリアは今まで接したことがない。

 胸が冷えるやら、恐ろしくなるやらで、なんとか口を開いた。

「そ、そうでしたのね」

 でもそれしか言えなかった。

 これ以上、なにを言っても火に油な気がする。

 そのとき、がたん、と椅子が鳴った。

 アマリアが、はっとして視線を上げると、フレイディが席から立ったところだ。

「……すまない。ちょっと用を思い出した。お先に失礼するよ」

 なにか、痛みを堪えているような表情だった。

 怒りより、不快より、それが一番強いような気がする。

 アマリアはその表情を見て感じた。

「はい……。本当に失礼いたしました」

 フレイディのそれは、明らかに取って付けた理由だった。

 本当のことのはずがない。

 だがアマリアにそれを指摘することも、引き留めることも、できたわけがない。

 ただ肯定し、もう一度謝った。
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