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明けの朝?
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「伝令が帰ってきたよ。援護の隊が、明るくなると同時にあちらを出発してくれたそうだ。あと一、二時間で着くだろうという話だ」
「それは良かったです」
現実的な話になり、アマリアの意識は覚醒へ向かっていく。
帰れるのだ。
一夜の宿は有難かったが、やはり慣れない場所だった。
もはや住み慣れた自宅となった宮廷に帰れるというのには喜びを覚えてしまう。
「さ、支度をしよう。食事もいただけるそうだから」
「はい」
支度といっても、ほかに服はない。
寝乱れたのを直したり、顔を洗ってメイクをしてもらったり、髪をとかしてもらったり、その程度だろう。
それでも外に出るのだからきちんとしなければ。
フレイディは別室で執事に支度をしてもらうからと出ていった。
アマリアはそのままこの部屋にメイドを呼んで、支度をしてもらうことになる。
そこでやっと、はっとした。
先ほどまでフレイディと何気なく話をしていたが、寝ていたために髪も服も乱れていただろう。
そんなところを見られ、あまつさえ触れられてしまった。
遅ればせながら恥ずかしくなってしまう。
いや、寝姿や寝顔まで見られてしまっただろうから、そんなことは些細なことかもしれないけれど。
それでもそんな姿は初めて見せてしまったのだから、どうしても恥ずかしい。
支度が終わって顔を合わせたとき、ちょっと恥じらってしまいそうなのはなくならない気がする。
アマリアは今更、居心地の悪い気持ちを味わってしまった。
「それは良かったです」
現実的な話になり、アマリアの意識は覚醒へ向かっていく。
帰れるのだ。
一夜の宿は有難かったが、やはり慣れない場所だった。
もはや住み慣れた自宅となった宮廷に帰れるというのには喜びを覚えてしまう。
「さ、支度をしよう。食事もいただけるそうだから」
「はい」
支度といっても、ほかに服はない。
寝乱れたのを直したり、顔を洗ってメイクをしてもらったり、髪をとかしてもらったり、その程度だろう。
それでも外に出るのだからきちんとしなければ。
フレイディは別室で執事に支度をしてもらうからと出ていった。
アマリアはそのままこの部屋にメイドを呼んで、支度をしてもらうことになる。
そこでやっと、はっとした。
先ほどまでフレイディと何気なく話をしていたが、寝ていたために髪も服も乱れていただろう。
そんなところを見られ、あまつさえ触れられてしまった。
遅ればせながら恥ずかしくなってしまう。
いや、寝姿や寝顔まで見られてしまっただろうから、そんなことは些細なことかもしれないけれど。
それでもそんな姿は初めて見せてしまったのだから、どうしても恥ずかしい。
支度が終わって顔を合わせたとき、ちょっと恥じらってしまいそうなのはなくならない気がする。
アマリアは今更、居心地の悪い気持ちを味わってしまった。
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