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初夜は甘くて、ほろ苦く……?

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「さぁ、どうぞ。冷めないうちに」

 フレイディが横からココアを勧めてくる。

 とりあえずいただいて、落ち着こうと思ってアマリアは手を伸ばした。

「ありがとうございます。いただきます」

 手にしたカップはあたたかかった。

 そっと包み込むようにして、口へ運ぶ。

 ふわっと甘い香りが鼻をくすぐった。

 まるでアマリアを落ち着かせてくれるような優しい香りだった。

「今日は本当にお疲れ様」

 自身もカップを手にしてひとくち飲んでから、フレイディが切り出した。

 アマリアも同じように返す。

「ありがとうございます。フレイディ様もお疲れ様です」

「ありがとう」

 そんな自然なやり取りのあと、フレイディは本題だという口調に変わった。

「呼び立ててすまなかったね。契約結婚なのだから、初夜というのは関係ないと思っただろうに」

 言われたことは、アマリアが不思議に思ったこと、そのままで。

 きっとフレイディは「アマリアは不思議に思って自然だ」と予想していたのだろうと思わされた。

「いえ……」

 返答しかけたけれど、言いかけて詰まってしまう。

 ちょっと言いづらい。

 初夜について話すというのは、あからさまでなくても、気が引ける。
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