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聞いてしまった陰口

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「はやとくん……」

 名前をやっと、呼んだ。

 涙声になった。

 こんなひどい声、しかもきっと顔も涙でぐしゃぐしゃだろう。


 情けない。


 違う意味で莉瀬は自分が嫌になった。

 その気持ちは今度凍りつくのではなく、爆発した。

 泣き声と涙になって一気に出てきた。

「うわぁぁぁ……!」

 まるで子どものようだった。

 声をあげて泣いていた。

 もう、どうしたらいいのかわからなかったのだ。

「えっ、あ、あの……」

 隼斗くんの、おろおろとした声が聞こえるし、そういう様子も伝わってきたけれど、莉瀬はそれでどうすることもできなかったし、とまらなかった。

「な、なんかあったんだな? えっと……あ、そうだ! そこの公園で座ろう。ちょっと落ちつこう。なっ?」

 情けないやら苦しいやら悲しいやら。

 ごちゃごちゃになった気持ちのまま、莉瀬は隼斗くんについていった。

 あまりに混乱していて気づくこともできなかった。


 隼斗くんが莉瀬の右手を掴んで、手を引いてくれたことにも。
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