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帰り道で会う、気になるひと
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「あー……二位になっちゃったよぉ……」
立夏が、がっかりしたように言う。
莉瀬はそこでやっと競技の結果を知った。
あのひとが一位で、奏太くんが二位になった。
「でもカッコよかったよね! 次はきっと一位になれるよ!」
それでも立夏は嬉しそうに莉瀬を見て、また、ぐっとこぶしを握った。
切りかえがいいのだ。
「あっ、うん、そうだね!」
莉瀬の返事は、一拍遅れてしまった。
なんだかとても素敵なものを見た気がした。
そんなふたつの、小さな思い出。
知らないひとよりは一歩上の存在だと思う。
でも今、あちらから歩いてきたその本人がどうなのかはわからない。
莉瀬のことなんて陸上大会では気づいていなかったと思うし、すれ違ったりコンビニで見かけるくらいでは。
今日もなんともなしにすれ違ってしまった。
イヤホンを耳に突っ込んでいて、なにか音楽を聞いているらしい。
だけど彼は莉瀬をちらりと見た。
莉瀬はちょっと驚いてしまう。
目があってしまった。
でもそれだけ。
彼は、ふいっと、視線をそらしてそのまま歩いていってしまったし、莉瀬も特にふり返ることはなかった。
ちょっとだけ、陸上大会で見た鳥のような走りを思い出したけれど、莉瀬の意識もすぐにさっき教室で聞いた発表会のうわさに戻っていってしまった。
立夏が、がっかりしたように言う。
莉瀬はそこでやっと競技の結果を知った。
あのひとが一位で、奏太くんが二位になった。
「でもカッコよかったよね! 次はきっと一位になれるよ!」
それでも立夏は嬉しそうに莉瀬を見て、また、ぐっとこぶしを握った。
切りかえがいいのだ。
「あっ、うん、そうだね!」
莉瀬の返事は、一拍遅れてしまった。
なんだかとても素敵なものを見た気がした。
そんなふたつの、小さな思い出。
知らないひとよりは一歩上の存在だと思う。
でも今、あちらから歩いてきたその本人がどうなのかはわからない。
莉瀬のことなんて陸上大会では気づいていなかったと思うし、すれ違ったりコンビニで見かけるくらいでは。
今日もなんともなしにすれ違ってしまった。
イヤホンを耳に突っ込んでいて、なにか音楽を聞いているらしい。
だけど彼は莉瀬をちらりと見た。
莉瀬はちょっと驚いてしまう。
目があってしまった。
でもそれだけ。
彼は、ふいっと、視線をそらしてそのまま歩いていってしまったし、莉瀬も特にふり返ることはなかった。
ちょっとだけ、陸上大会で見た鳥のような走りを思い出したけれど、莉瀬の意識もすぐにさっき教室で聞いた発表会のうわさに戻っていってしまった。
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