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バレエとの出会い
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「そうねぇ……白鳥さんの年令だと普通の小学生が通うクラスのほうがお友だちはできるでしょうけど、小さいころから習っている子についていくのは難しいと思うわ」
「私、お友だちがほしいわけじゃありません」
「こら、莉瀬」
莉瀬の言葉があまりにぶっきらぼうだったからか、お母さんが同じように言った。
でも莉瀬のその言葉は、先生の気を引いたらしい。
「完全に無理ではないと思いますが」と前おきをされて、言われたのはだいぶ莉瀬のプライドが傷つくことだった。
「どうしてもというなら、はじめたばかりの幼稚園の子たちと同じクラスになりますよ? 少なくとも最初は……」
莉瀬はそれを聞いて、ちょっとひるんだ。
さすがに小学四年生にもなって、幼稚園の子と一緒というのは抵抗がある。
恥ずかしいし、格好が悪い。
けれど、まるっきり趣味になってしまう、悪く言えば生ぬるいであろう『大人のクラス』と比べてみたら。
幼稚園の子と同じだけど、『少なくとも最初は』と言われたとおり、きっとそっちのほうが可能性はある。
莉瀬のやりたいことを叶えるためなら。
それに幼稚園の子と同じクラスと言ったって、ちょっと我慢して、たくさんがんばって、うまくなって追いつけばいいのだ。
莉瀬には『がんばること』も『自分の運動能力』にも自信があった。
なので、ためらったのは一瞬だった。
「それでいいです! 幼稚園の子と一緒にやります!」
「莉瀬、あなたね」
お母さんがおどろいたように言ったが、莉瀬の言葉に先生はにっこりしたのだった。
「わかりました。たくさんがんばることになるでしょうけど、白鳥さんがやりたいとおっしゃるなら応援しますよ」
それから幼稚園の子に混ざること、約一年。
今でも同い年の子たちとはワンランク下のクラスにはいるけれど、それでも立派にバレリーナのたまごになった莉瀬であった。
「私、お友だちがほしいわけじゃありません」
「こら、莉瀬」
莉瀬の言葉があまりにぶっきらぼうだったからか、お母さんが同じように言った。
でも莉瀬のその言葉は、先生の気を引いたらしい。
「完全に無理ではないと思いますが」と前おきをされて、言われたのはだいぶ莉瀬のプライドが傷つくことだった。
「どうしてもというなら、はじめたばかりの幼稚園の子たちと同じクラスになりますよ? 少なくとも最初は……」
莉瀬はそれを聞いて、ちょっとひるんだ。
さすがに小学四年生にもなって、幼稚園の子と一緒というのは抵抗がある。
恥ずかしいし、格好が悪い。
けれど、まるっきり趣味になってしまう、悪く言えば生ぬるいであろう『大人のクラス』と比べてみたら。
幼稚園の子と同じだけど、『少なくとも最初は』と言われたとおり、きっとそっちのほうが可能性はある。
莉瀬のやりたいことを叶えるためなら。
それに幼稚園の子と同じクラスと言ったって、ちょっと我慢して、たくさんがんばって、うまくなって追いつけばいいのだ。
莉瀬には『がんばること』も『自分の運動能力』にも自信があった。
なので、ためらったのは一瞬だった。
「それでいいです! 幼稚園の子と一緒にやります!」
「莉瀬、あなたね」
お母さんがおどろいたように言ったが、莉瀬の言葉に先生はにっこりしたのだった。
「わかりました。たくさんがんばることになるでしょうけど、白鳥さんがやりたいとおっしゃるなら応援しますよ」
それから幼稚園の子に混ざること、約一年。
今でも同い年の子たちとはワンランク下のクラスにはいるけれど、それでも立派にバレリーナのたまごになった莉瀬であった。
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