人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい

初めての夜は突然に

3

　その間にも、秋木の手は俺の部屋着のボタンを外してしまって胸に触れていた。

　やわらかく撫でられる。

　慣れている手つきだった。

　そりゃあそうだ。

　さっき話したことが本当なら、彼女といえるポジションの女はいたことがあるのだ。

　それならやり方だのを知らないはずがない。

　男はどうなのかわからないが。

　いや、知らないから『要らない』なんて言ってるだけじゃねぇの!?

　直面したら引くんじゃねぇの!?

　俺は何故だか恐ろしくなって、やはり起き上がろうとしたのだけど、こちらもやはり叶うはずがないのだった。

「いいから大人しくしてろよ」

　秋木の声が、ぼそっと耳元で言った。

　その声のやわらかさと、熱い吐息に、俺はぞくっとした。

　どくっと心臓も跳ねる。

　こんなこと、口説くようなものではないか。

　流石に俺の動きは止まってしまった。

　秋木はそれに満足したように、俺の胸や脇腹に触れてくる。

　男に触れられるのには慣れている俺の体だ。

　既にぞくぞくしてきた。

　そのうち、胸にくちびるがつけられた。

　舌も軽く使いながら、あちこち触れられていく。

　俺は荒くなっていく息をつきながら、未だに混乱は取れないままだった。

　一体どうしていきなり、その気になったというのか。

　拒否する気はないが、謎は解けない。