人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい

夜更けの将棋

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　マンションに戻ってきた俺と秋木は、何故かリビングで向かい合って将棋をしていた。

　タブレットにアプリが入っていて、その画面を挟んで指す形である。

　買ってきた部屋着を洗う間に、手持ち無沙汰だからと誘われたのだ。

　一体どうして将棋なんて、と俺は不思議に思ったが、向かいで指す秋木は真剣な顔をしていた。

　安定の変わり者であった。

「まぁまぁだな。俺には敵わないようだが」

　二局指して、両方秋木の勝ちに終わった。

　俺も完敗というほどではなく、そこそこの線まではいけたからか、秋木は満足そうだった。

　それなりに楽しかったという顔だ。

「だって、中学生の頃にやっただけですよ」

「そうか。それなら上出来なほうか」

　もう一局だ、と秋木はリセットボタンを押して、画面は最初に戻った。

　指しながらする話は、何気なかった。

　タクシーの中でしていたのと同じようなものだ。

　そこで俺は、ふと思いついたことがあった。

「あ、そうだ！　俺、秋木さんの本を読んだんですよ」

「……は？」