人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい

緊急派遣

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「妙なもんは、って言いました。梅干しはなにも妙なもんじゃないんで」

　しれっと答えると、秋木にはもっと睨みつけられた。

「屁理屈言いやがって！」

　怒鳴られるけれど、この状況で恐ろしいものか。

　俺はかえって笑いつつ、言った。

「梅干しは疲労回復にいいんですよ。……それ、母さんが送ってくれたんです。風邪のときとか食います」

　俺が言った声は、懐かしそうな響きになった。

　今は離れて暮らしている実家の家族。

　梅干しを漬けて送ってくれた母さん。

　自家製なので特別酸っぱいのだ。

　だがそのぶんよく効く。

　秋木は黙った。

　今度はしっかり梅が見えている、おにぎりの断面に視線を落とす。

「じゃ、着替えてトイレ借りますね」

　俺はさっさとその場を離れた。

　騙し討ちのように食わせたのは悪かったかな、と思いつつも、心配したのは本当なのだ。

　元気になってほしいと思った。

　睡眠という意味だけではなく、栄養を摂り、疲労を回復させて、爽やかに朝を迎えられるように。