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変わり者の正体

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「美味いか」

 その三十分ほどあと。

 俺は更に奇妙な状況にいた。

 目の前、ダイニングテーブルの向かいには秋木が座って、フォークを使っている。

 それで俺に感想など聞いてくるのだ。

「はい」

 美味いのは確かだったので、俺は頷く。

 スクランブルエッグも、ボイルされたウインナーも、俺が普段食べているものよりずっと上質なのだと食べただけでわかってしまう。

 あれから俺は秋木が淹れたらしいコーヒーを振る舞われた。

 香ばしく、芳しい香りのコーヒー。

 俺はブラックでは飲めないので、砂糖とミルクを貰って、熱々のそれを飲んだ。

 しっかり感じられるきりりとした苦味が、寝ぼけていたのを覚ましてくれるようだった。

 リビングのソファで飲んでいるそのうちに、インターホンが鳴った。

 え、客?

 俺はどきっとした。

 まだこんな寝起きの姿なのに。

 それに客ってどんな存在が来るのか。

 構えてしまったが、応対しに行った秋木は一人で戻ってきた。

 なにか箱を抱えている。

 それで俺に「朝飯、食ってけ」と出してくれた次第だ。

 中身はなにか、テイクアウトの料理らしかった。

 また混乱しつつ、断る理由はない。

 俺は「はぁ。ありがとうございます」なんて曖昧な返事をして、食卓にお邪魔した。
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