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初めての投稿作②

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 そう、その点がずっと気になっていた。
 雑誌の賞なのだ。概要はずっと前に、引っ越してきた時点で雑誌を拝見して確認していた。
 大賞を取れば賞金と選評、そして雑誌の掲載。
 次の賞でも賞金と選評、その下の賞でも何作か選評がつくと書いてあった。
 先生も「なにかしらの賞に入れば、編集部の気にされたということになるからね。まずは大賞でなくともそこを狙ってみるのが良い」と言ってくださった。
 そんな絶好の機会なのだ。門下生になったばかりの金香だけでなくほかの門下生にも当然出すように言いつけているだろう。
 金香の想像は勿論当たったようで源清先生は頷いた。
「ああ。小説家としての第一歩だからね。全員提出するように言っているよ」
 やはり。
 では同じ門下生といえども、ライバルといえることになるのだろう。
 内弟子であり、同じ屋敷に住んでいる男性・茅原(ちはら)さんも、外に住んでいるという唯一の女性門下生である音葉(おとは)さんも、それにほかの門下生だって。
 でも負けたくなかった。
 先に弟子入りしているひとたちには、勉強も技術もなにもかも先をいかれている。
 でも気概では負けない。
 妹弟子だから不出来に決まっている、などと卑下するつもりはない。
 その気持ちは先生にも伝わっている、のだと思う。
「でも互いの作品は見せないよ。発表になってから読み合いをしようと思っている」
 先生は言った。確かに『全員賞に出す』とすら聞いていなかったのだ。そうなるだろう。
「そのほうが公平だろう」
「そうですね。楽しみにしております」
 すぐに兄弟子の作品を読んでみたい気持ちもあったけれど。やはり公平を欠いてしまう。
「できれば集まって、読み合いをしたいものだね。評論会をしようか」
「はい。勉強になりそうです」
 門下生が一堂に会したことは今までない。個人的には顔を見たり会話をしたりしているのだが全員が集まる、というのは。
 それはそれで楽しそうである。
 それにそれぞれの作品を読み合い、良いところや改善点を話し合ったりできる。きっとそれは愉しいだろう。
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