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☆ 流されて
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知らない天井に、知らない調度品。
原宿にいたはずなのに、ここはどこだろうか。
「ダチの家だ、心配ない。この恰好じゃ
ホテルいけねーし」
その部屋の片隅や飾り棚には、
アメリカングリズリーの剥製や白頭鷲の剥製、
蛇革、いかにも高そうな象牙とかが、
飾られているし ――
壁には『色即是空』『酒池肉林』と書かれた
書道の額縁も飾られていて、極めつけは、
新暴対法の規制で組事務所には飾る事が
出来なくなった暴力団の証”代紋”が
デカデカ飾られている。
(さ、さすが柾也ぁ ―― 顔が広いな。
で、でも、ここの住人が柾也のどうゆう
友達なのか? は、聞かないでおこう)
学校からそのまま外出したので、
2人は制服のままだった。
「―― 発情したままで出歩くのも危険だからな」
発情と言う言葉を聞いて
”またか……”という気持ちと
改めて自分がけっこうヤバい状況に置かれていると
再認識した。
以前保健体育の授業で見た、
啓発DVD・オメガの発情。
蕩けた表情で男のモノを舐め、
自分から欲しいとねだり腰を振る姿――
あんな風に自分もなるんだろうか?
あんなふうに……怖いっ。
「ま、さやぁ ――!」
「―― っ……そんなに匂い大放出すんなよ。
流石の俺だって、我慢できなくなる」
珍しく余裕のない声で、柾也は言う。
「お前、薬持ってるか」
「くす……り……」
それが抑制剤の事だと
僅かに残る理性で気がつくが、
それよりも今は目の前にいるアルファが
欲しくてたまらなかった。
身体が熱い。
「はぁはぁはぁ……」
怖い……怖い、けど、苦しい。
誰でもいいから ―― いや、目の前にいる
アルファに早くこの苦しみから解放して欲しい。
自ら濡れる事などなかった後孔から、
愛液が溢れてきているのが嫌でもわかる。
綱吉は柾也の首に腕を絡め、
鼻にかかる声で言った。
「ね、抱いて……」
「お前、意味わかっていってんの」
「わかって……る、から。柾也がほしい……」
「……っ」
柾也が顔をゆがめ、そして首を振る。
柾也の手が頭に触れる。
それだけで首筋がぞわりと粟立つ。
手は首筋をなぞり顎へと触れた。
「あぁ……まさやぁ……」
「むりだ、俺たち親友で、幼なじみで……」
「も……がまん、できないよ……おねがい
まさや……」
そんな親友の懇願に、柾也の理性は吹っ飛んで。
柾也は綱吉の顎をとると唇を重ねた。
柾也とて、綱吉が発散する性フェロモンに当てられ
本能で誰かと繋がりたかったのだ。
触れた唇が熱い。
舌が差し込まれ絡ませれば、
じわりと脳まで痺れるような感覚を覚える。
独特な甘い匂いが自分の身体を包み込む。
それは柾也の放つフェロモンだと気が付く
のに時間はかからなかった。
アルファの匂いに腰が砕ける。
熱を帯びた、なのに苦しそうな顔をした
柾也は綱吉の目を覗き呻くように言った。
「ごめん」
なぜ謝られたのか。
理性がうねる熱に溶けそうになっている
綱吉にはその理由が理解できなかった。
裸の肌を柾也が撫で回すたび、
綱吉は快楽の波に襲われた。
まるで割れ物を扱うかのように、
柾也は身体をゆるりと撫でていく。
その愛撫がもどかしくて仕方がなかった。
身体の中心にたまった熱は解放を待ちわびて
いるのに。
「柾也、早く、もっと、ちょうだい」
「ったく……煽るなよ」
少し前まで苦しそうな顔をしていたのに、
今、柾也の目は獣の目のようにぎらついている。
首に、胸に口づけを落とされ吸われ、
甘い痺れがそこから広がっていく。
くちゅ、と胸の突起を舐められ、
手が勃起して蜜をあふれさせる自身に触れる。
「んふ……あぁ! あ、あ……まさやぁ……」
自身を上下に扱かれ、
俺はあっという間に達してしまった。
「あ……んン……」
柾也は指に綱吉が出したものを絡め、
それを見せつけるようにぺろりと舐めた。
「甘いな」
と言って、にやりと笑う。
柾也はその手で綱吉の太ももを撫で、
そして濡れそぼった後孔へと触れた。
「んン……」
「すごい……びちゃびちゃだぞ」
うっとりと言い、柾也は綱吉の足を抱え上げ
後孔に指を差し入れた。
「ふ、あぁ!」
指が徐々に増やされ、
ぐちゅぐちゅとかき混ぜていく。
「ツナ……俺、もう限界」
おざなりに中をほぐし、柾也は指を引き抜いた。
がさがさと物音が聞こえ、
綱吉は柾也を見つめた。
どうやらゴムを被せているらしい。
(俺はオメガ……
そうしないと、デキてしまうんだ)
わずかに残る理性でそう気が付くが、
それよりも早くナカに欲しい、
という思いの方が大きかった。
ナカを熱いモノで満たしてほしいのに。
なのになんで……避妊なんて。
「ツナ……」
甘い声で名前を呼ばれる。
柾也は綱吉に口づけて、一気に後孔を貫いた。
「あぁ……!」
びくんと身体を震わせて、
あっけなく達してしまう。
「おま ―― 早すぎ……」
「だって……」
柾也は綱吉の腰を掴んだかと思うと、
ゆっくりと腰を動かしていった。
肉がぶつかる音に、
ぐちゅぐちゅという水音が混ざる。
ナカを深く抉られ、奥をつつかれると
視界がチカチカと点滅しだす。
「いぃ……ナカ……柾也っ!」
彼に手を伸ばすと、
柾也は身体を折り曲げて綱吉に口づけた。
そんな柾也の首に腕を絡め、
互いの口内を味わうように舌を絡めあう。
口が離れると、うっとりとした顔で、
柾也がささやく。
「……好きだ、ツナ」
「え……あ……」
何を言われたのか処理するまもなく、
柾也が腰の動きを早めていったため
綱吉の思考は快楽に飲み込まれていった。
「まさ……奥、きてる……」
「お前、すごい締め付け」
余裕のない柾也の声が、絶頂が近いことを示す。
腰が回され、深く突き上げられて
綱吉は叫びにも近い声を上げた。
「あぁー!」
ナカに入っている柾也自身の形が
わかるほどに、きつく締めつめる。
動きを止めた柾也は、
荒い息を繰り返し綱吉の頭を抱え込んだ。
柾也の放つ匂いが、綱吉の身体を包み込む。
まだ熱は、体のナカでくすぶっている。
ナカに直接アルファの精液を取り込めば
すぐに収まるらしいが、そんな事したら
妊娠してしまうかもしれない。
この発情を抑えるには、
何度も身体を繋げるしかない。
綱吉はうっとりとした顔で、
柾也を見つめた。
「お願い柾也、もっと、ほしい」
「っ……ツナ……」
やはり苦しそうな顔をして、
柾也は首を振る。
柾也は自身をずるりとナカから引き抜くと、
ゴムを処理してゴミ箱に放り込んだ。
柾也は、綱吉に覆いかぶさり唇を重ねる。
ナカに生まれた熱が治まるまで、
柾也と交わり続けた……。
原宿にいたはずなのに、ここはどこだろうか。
「ダチの家だ、心配ない。この恰好じゃ
ホテルいけねーし」
その部屋の片隅や飾り棚には、
アメリカングリズリーの剥製や白頭鷲の剥製、
蛇革、いかにも高そうな象牙とかが、
飾られているし ――
壁には『色即是空』『酒池肉林』と書かれた
書道の額縁も飾られていて、極めつけは、
新暴対法の規制で組事務所には飾る事が
出来なくなった暴力団の証”代紋”が
デカデカ飾られている。
(さ、さすが柾也ぁ ―― 顔が広いな。
で、でも、ここの住人が柾也のどうゆう
友達なのか? は、聞かないでおこう)
学校からそのまま外出したので、
2人は制服のままだった。
「―― 発情したままで出歩くのも危険だからな」
発情と言う言葉を聞いて
”またか……”という気持ちと
改めて自分がけっこうヤバい状況に置かれていると
再認識した。
以前保健体育の授業で見た、
啓発DVD・オメガの発情。
蕩けた表情で男のモノを舐め、
自分から欲しいとねだり腰を振る姿――
あんな風に自分もなるんだろうか?
あんなふうに……怖いっ。
「ま、さやぁ ――!」
「―― っ……そんなに匂い大放出すんなよ。
流石の俺だって、我慢できなくなる」
珍しく余裕のない声で、柾也は言う。
「お前、薬持ってるか」
「くす……り……」
それが抑制剤の事だと
僅かに残る理性で気がつくが、
それよりも今は目の前にいるアルファが
欲しくてたまらなかった。
身体が熱い。
「はぁはぁはぁ……」
怖い……怖い、けど、苦しい。
誰でもいいから ―― いや、目の前にいる
アルファに早くこの苦しみから解放して欲しい。
自ら濡れる事などなかった後孔から、
愛液が溢れてきているのが嫌でもわかる。
綱吉は柾也の首に腕を絡め、
鼻にかかる声で言った。
「ね、抱いて……」
「お前、意味わかっていってんの」
「わかって……る、から。柾也がほしい……」
「……っ」
柾也が顔をゆがめ、そして首を振る。
柾也の手が頭に触れる。
それだけで首筋がぞわりと粟立つ。
手は首筋をなぞり顎へと触れた。
「あぁ……まさやぁ……」
「むりだ、俺たち親友で、幼なじみで……」
「も……がまん、できないよ……おねがい
まさや……」
そんな親友の懇願に、柾也の理性は吹っ飛んで。
柾也は綱吉の顎をとると唇を重ねた。
柾也とて、綱吉が発散する性フェロモンに当てられ
本能で誰かと繋がりたかったのだ。
触れた唇が熱い。
舌が差し込まれ絡ませれば、
じわりと脳まで痺れるような感覚を覚える。
独特な甘い匂いが自分の身体を包み込む。
それは柾也の放つフェロモンだと気が付く
のに時間はかからなかった。
アルファの匂いに腰が砕ける。
熱を帯びた、なのに苦しそうな顔をした
柾也は綱吉の目を覗き呻くように言った。
「ごめん」
なぜ謝られたのか。
理性がうねる熱に溶けそうになっている
綱吉にはその理由が理解できなかった。
裸の肌を柾也が撫で回すたび、
綱吉は快楽の波に襲われた。
まるで割れ物を扱うかのように、
柾也は身体をゆるりと撫でていく。
その愛撫がもどかしくて仕方がなかった。
身体の中心にたまった熱は解放を待ちわびて
いるのに。
「柾也、早く、もっと、ちょうだい」
「ったく……煽るなよ」
少し前まで苦しそうな顔をしていたのに、
今、柾也の目は獣の目のようにぎらついている。
首に、胸に口づけを落とされ吸われ、
甘い痺れがそこから広がっていく。
くちゅ、と胸の突起を舐められ、
手が勃起して蜜をあふれさせる自身に触れる。
「んふ……あぁ! あ、あ……まさやぁ……」
自身を上下に扱かれ、
俺はあっという間に達してしまった。
「あ……んン……」
柾也は指に綱吉が出したものを絡め、
それを見せつけるようにぺろりと舐めた。
「甘いな」
と言って、にやりと笑う。
柾也はその手で綱吉の太ももを撫で、
そして濡れそぼった後孔へと触れた。
「んン……」
「すごい……びちゃびちゃだぞ」
うっとりと言い、柾也は綱吉の足を抱え上げ
後孔に指を差し入れた。
「ふ、あぁ!」
指が徐々に増やされ、
ぐちゅぐちゅとかき混ぜていく。
「ツナ……俺、もう限界」
おざなりに中をほぐし、柾也は指を引き抜いた。
がさがさと物音が聞こえ、
綱吉は柾也を見つめた。
どうやらゴムを被せているらしい。
(俺はオメガ……
そうしないと、デキてしまうんだ)
わずかに残る理性でそう気が付くが、
それよりも早くナカに欲しい、
という思いの方が大きかった。
ナカを熱いモノで満たしてほしいのに。
なのになんで……避妊なんて。
「ツナ……」
甘い声で名前を呼ばれる。
柾也は綱吉に口づけて、一気に後孔を貫いた。
「あぁ……!」
びくんと身体を震わせて、
あっけなく達してしまう。
「おま ―― 早すぎ……」
「だって……」
柾也は綱吉の腰を掴んだかと思うと、
ゆっくりと腰を動かしていった。
肉がぶつかる音に、
ぐちゅぐちゅという水音が混ざる。
ナカを深く抉られ、奥をつつかれると
視界がチカチカと点滅しだす。
「いぃ……ナカ……柾也っ!」
彼に手を伸ばすと、
柾也は身体を折り曲げて綱吉に口づけた。
そんな柾也の首に腕を絡め、
互いの口内を味わうように舌を絡めあう。
口が離れると、うっとりとした顔で、
柾也がささやく。
「……好きだ、ツナ」
「え……あ……」
何を言われたのか処理するまもなく、
柾也が腰の動きを早めていったため
綱吉の思考は快楽に飲み込まれていった。
「まさ……奥、きてる……」
「お前、すごい締め付け」
余裕のない柾也の声が、絶頂が近いことを示す。
腰が回され、深く突き上げられて
綱吉は叫びにも近い声を上げた。
「あぁー!」
ナカに入っている柾也自身の形が
わかるほどに、きつく締めつめる。
動きを止めた柾也は、
荒い息を繰り返し綱吉の頭を抱え込んだ。
柾也の放つ匂いが、綱吉の身体を包み込む。
まだ熱は、体のナカでくすぶっている。
ナカに直接アルファの精液を取り込めば
すぐに収まるらしいが、そんな事したら
妊娠してしまうかもしれない。
この発情を抑えるには、
何度も身体を繋げるしかない。
綱吉はうっとりとした顔で、
柾也を見つめた。
「お願い柾也、もっと、ほしい」
「っ……ツナ……」
やはり苦しそうな顔をして、
柾也は首を振る。
柾也は自身をずるりとナカから引き抜くと、
ゴムを処理してゴミ箱に放り込んだ。
柾也は、綱吉に覆いかぶさり唇を重ねる。
ナカに生まれた熱が治まるまで、
柾也と交わり続けた……。
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