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29 何となく、急接近 ②
しおりを挟む―― カチャ
ドアを開けLDKへ出れば、ますますコーヒーのいい忍りに包まれた。
出窓の方から風がフワリ、と吹き抜け ―― 私の髪も風にそよいだ。
気持ち、い……
その出窓の所で佇みコーヒーを飲んでいるのはルームメイトの幸作 ―― ではなく、 四十路過ぎの上司・三上。
けど、1枚のブロマイドのような情景に、目も心も一瞬で奪われた。
かっこいい……彼も私に気が付いた。
「あ、おはよ。昨夜はよく眠れた?」
「うん、1年分くらいはぐっすりと」
「そ。そいつぁ良かった」
けど、彼は目の下クマになってるみたい。
眠れなかったの?
あっ! ひょっとして、私のせい……?
「……どうかした?」
私は何か不思議なチカラに引き寄せられるよう、彼の方へ歩をすすめた。
私が辿り着くのを待ちかねたかのように、手が伸びてきて、私の腰に回り……ムギュー……
「もし嫌だったら突き飛ばしてもいい」
あ、この声、好きかも ――
三上さんから『また会えて嬉しかった』と言われたよう、私も彼と会えてすごく嬉しかった。
「私の方こそ、勘違いしちゃうかも……」
「勘違いって、たとえばどんな?」
彼が喋る度、その吐息が耳元を掠め。何だかこそばゆい。
「……三上さんの、いけず……」
「っっ……」
「三上、さん?」
「ご、ごめん」
「って、何に?」
「ト、トイレはどこかな」
「えっと ―― あっちだけど」
彼は私が示した小部屋(トイレ)に駆け込んでいった。
変な三上さん……。
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
さてさて、トイレにこもった三上は、すぐさま、荒々しい手つきでチノパンと下着を一緒に下ろし、便座に腰掛ける。
見ると、ソレはすでに猛っていた。
絢音によってこんな風になってしまったと思うと不本意で、雑な手つきで欲望を握り締めて上下に扱く。
―― いつもより硬いように感じるのは気のせいだろうか?
いや、気のせいであってくれ……。
昨夜の絢音の醜態を思い出し、動かす手を止められない。
ドクドクと脈打つソコは、硬さと質量を増していき先端は水気を帯びて動きがスムーズになっていく。
「はぁはぁはぁ ――」
――マジ、
今朝の俺は本当にどうかしている。
いつもなら、こんな早くにイクなんてこと……!
『三上さん』
初めてが絢音が自分の名前を呼んでくれた時の声が蘇り ―― その瞬間、果てた。
欲望を吐き出して我に返った三上は、自分のした事が居たたまれなくなってくる。
あまりのショックで、膝に手を置いて項垂れたまましばらく動けなかった。
こんな朝っぱらに、彼女オカズにヌくなんて……っ!
中坊じゃあるまいし、何やってんだよ俺……。
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