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23 久しぶりの合コン
しおりを挟む「乾杯~!!」
目の前に座る男性陣は30代後半位。
頑張って利沙が集めた女性群はキャピキャピしてるってイメージが強いけど、さずがにいずれ劣らぬ美人揃いだ。
ひと通り自己紹介をした後、私から1番離れた男の人が
「三上さん遅れるってー」
と大きな声を出した。
「三上さんって?」
利沙が聞くと私の正面に座っていた男性が
「世の女性が好きなモノ全部持ってる男だよ」
と笑っていた。
どんな人なんだろう……
それから小一時間ほどで、皆さんお酒の力ですっかり賑やかになっていた。
私は? と言うと……飲み物も食べ物もあまり進まず、ノリを合わせるのに精一杯だった。
「おっ! もうすぐ三上さん来るって!」
また1人の男性が言う。
「ようやくー? 楽しみぃ!」
女性陣も盛り上がる。
数分後 ――、
『悪い! 遅くなった』
後ろから声がして振り返ると、少し乱れたスーツを着た男性が立っていたんだけど……。
「まじで遅い!」
「ごめんごめん。―― あっ、とりあえず生ください」
通りかけた店員に飲み物を注文した後、私の隣にどかっと座った。
フルーティーな香りがふんわりと香る。
肩が少し当たる距離。
「どうですか! 皆さん! 俺らイチオシの男でございます」
「うるせぇよ。もう酔ってるのか」
この人が来てより一層賑やかになった。
「あ、名前は三上勇人です。宜しく」
すこしぶっきらぼうに聞こえたその男性は、つい数日前まで大阪出張でご一緒していた、あの三上統括部長だった。
――イヤ、今はプライベートだから゛三上さん゛で呼んだ方が普通かな。
きっと自己紹介なんて気恥ずかしいんだろう。
チラッと隣の三上さんを見ると目が合ってしまった。
「よろしくね」
《白々しい……》
この場では初対面として振る舞う彼の、そんな余裕ある笑顔にドキッと胸が高鳴る。
それから、上手く話に乗れない私に気を遣ってか、
「血液型なに?」
「星座は?」
ほとんどひと言で終わってしまうような質問ばかりだったが、私にとっては有り難かった。
みんなで話している時、三上さんの横顔をボーッと見つめていた。
整った怜悧な横顔 ――
涼し気な眼差し ――
男性でも魅了してしまうような笑顔。
そのどれもがとても眩しい。
「ねぇねぇ、君、絢音ちゃんだっけ? お酒進んでないじゃん! 何杯目?」
突然真ん中に座っていた男の人に名前を呼ばれアタフタしてしまう私。
「えっ?! あ、まだ二杯目、かな……」
利沙は約束通り”絢音はお酒めっちゃ弱いから”とノンアルコールを注文してくれたけど。
三上さんが来て、もう1回乾杯した時、この真ん中の男性に勧められたカクテルを口にした。
「駄目じゃん! 早く飲んで飲んで」
男の人は私のグラスを持って、私の口元の距離まで差し出す。
「一気飲みしてよ~」
その一言で周りもやれやれと言い出す。
「ちょっ……それはやめようよ」
利沙が止めに入ってくれたが、
「え~~? ノリ悪くない?」
1人の女が甲高い声で言う。
このままだと、利沙までノリ悪い人みたいになっちゃう。
迷惑かけられない。
……飲むしかない?
グラスを受け取り、口元へ運ぶ。
みんなの目線で緊張してしまい、手が震える。
まだ半分もある量を一気飲みなんてできるのかな……
でもやらないとだよね。
決心しグラスを傾けた、その時
グラスを持つほうの手をグイッと引っ張られた。
「!?」
私がグラスを持ったまま、隣にいる三上さんがゴクゴクとお酒を飲み干した。
「っは~~!!」
その声とともに、三上さんの手が離れたが触れられていた場所が変に熱い。
「かっこい~~!」
女性群の声が飛び交う。
「おい、それはずりーぞ! このイケメン!!」
男性群もワイワイ叫ぶ。
「あ、あの! すみません」
「何で謝んの?」
「え?」
「そこはありがとうでいいじゃん」
「あ……どうも、ありがとう」
「うん。どういたしまして」
そう言ってニコッと微笑んでくれた。
三上さん、全然変わってない。
「そろそろ次、行こうぜ~」
「私、カラオケ行きたぁい!」
「俺もー」
「じゃ、二次会はカラオケって事で」
とりあえず合コンはココでお開き。
次は二次会でカラオケへ行くみたい。
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