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第六章 お飾りの王太子妃、未知の地へ
【番外編】書籍化感謝SS
しおりを挟む2024年9月下旬
『ざまぁ対象の悪役令嬢は穏やかな日常を所望します』
書籍化されました!!
これも皆様方のおかげです。
本当にありがとうございます!!
投稿してすぐに3人の方がお気に入りに入れて下さいました。
これまでそんなに早くお気に入りがついたことがなかったので、感動したことを覚えています。
投稿初日にホットランキング入りしたのも初めての経験で、嬉しくて泣いたのを覚えています。
皆様にこの物語がどう受け止められるのか怖くて、感想欄をなかなか開けなくて迷っていた時に、どうしても感謝を伝えたいと勇気を出して近況報告を書いて優しいお言葉を貰った時も嬉しくて泣きました。
感想を書きたいと言ってもらった時も、嬉しく泣きました。
感想も本当にたくさんいただきました。毎日笑ったり、嬉しくて泣いていたので外では感想欄を開けずに、今でも家で返事を書くのは本当に幸せな時間です。
掲載できずに申し訳ないと思いながらも皆様から頂くガルドの声予測はかなり楽しくて、皆様がこの人の声がいいとおっしゃる方は皆様のお声を拝聴して『ふぁ~~カッコイイ』『確かに腰くだける~~いい声~』と一人で大興奮していました。本当に楽しい経験でした。
さらにファンタジー小説大賞と読者賞まで頂き、すべて間違いなく皆様のおかげです。
この物語を楽しんで下さる皆様のおかげで書籍化されることになりました。
本当に、本当にありがとうございます!!
そんな皆様への感謝を込めて!!
【番外編】書籍化感謝ShortStory
出演:書籍化登場メンバー
・クローディア
・ブラッド
・フィルガルド
・ガルド
・ラウル
・アドラー
・ジーニアス
・リリア
以上が登場します!!
特別出演:ロウエル元公爵、レガード
ロミオとジュリエットの名場面をそれぞれに演じてもらいました!!
それでは、スタートです!!
↓
↓
――――――――――――――――
ロウエル元公爵が部屋に戻ると、テーブルの上に見慣れない蠟封のある封書が置いてあった。
「これはなんだ?」
ロウエル元公爵は、ペーパーナイフで封を切ると、中身を見てニヤリと笑った。
「なるほど……面白い」
そしてロウエル元公爵は、部屋を出たのだった。
彼の手紙に書かれていたのは……
――親愛なるロウエル元公爵殿
皆の個性を知ることのできる催し物を考える手助けをしてほしい――
「皆様、ようこそ……」
ロウエル元公爵に呼ばれて、クローディア、ブラッド、フィルガルド、ラウル、アドラー、ガルド、ジーニアス、リリアが劇場に入ると、ロウエル元公爵が舞台の下に立っていた。
皆が彼の近くまで行くと、ロウエル元公爵は一枚の紙を差し出した。
クローディアが受け取り、皆は怪訝な顔をしながらもその紙を覗き込んだ。
内容は……?
――敵対する家同士で愛し合ってしまったロミオとジュリエット。ある夜ロミオは、ジュリエットの家に忍び込み愛を囁く。
ジュリエット:ああ、ロミオ様。このような危険な場所になぜ?
ロミオ:あなたに会うために危険など恋の翼で乗り越えました。
ジュリエット:ああ、ロミオ様……どうしてあなたはロミオなの?
ロミオ:その名前は捨てました。今はただあなたを想うただの男。あなたの愛を乞うただの男です。
ジュリエット:ああ、ロミオ様、愛おしい人。
「あの……ロウエル様……これは?」
クローディアがロウエル元公爵に尋ねると、彼はニヤリと笑った。
「これから即興劇を演じてもらいます。配役は……ジュリエットは全てクローディア様。それぞれ交代でロミオを演じてもらいましょう」
ロウエル元公爵は目の前に箱を差し出した。
「さぁ、引いて下さい。運命の順番決めです」
ロウエル元公爵に凄まれて、皆はゴクリと息を呑んだった。
◇
レ:「これより、即興劇をお届けいたします。司会は私、レガード・ロシェが精一杯務めさせて頂きます。それでは、一番は、ジーニアス殿です。どうぞ!!」
幕が上がり、ベランダに立つクローディアの元にジーニアスが現れた。
ク:ジーニアス、こんなに危険な場所にどうしたの?
ジ:は、はい!! き、き危険は、こ、こ、恋の翼で乗り越えました!!
ク:そんなに緊張しないでね。どうして、あなたはジーニアスなの?
ジ:あ……どうして……祖父が『皆の守護になれるように』と願いを込めて付けてくれたそうです!!
ク:みんなの守護!! 素敵な名前だわ。
ジ:はい、私も自分の名前を誇りに思います。あ、申し訳ございません。脱線しました。私はただの男です。
ク:……ジーニアス。この流れでそのセリフに戻ると折角素敵な名前が泣いてしまうわ。
ジ:そんなつもりでは!! とにかく、このジーニアス、祖父の(くれた)名にかけてあなたを守ります。
ク:心強いわ。ありがとう、ジーニアス。これからもよろしくね。
ジ:はい!!
幕が下りる……
レ:「ジーニアス殿のお名前、素敵な由来があるのですね。ちなみに私のレガードは、決然となめらかにと言う意味で、一度決めたことは最後まで流れるようにやり通してほしいという意味があるそうです。母はレガートと最後のトを濁らせないように付けたそうですが、父が役所に『レガード』とトではなくドで提出したために、レガードという名前になったそうです。すみません、出しゃばってしまいましたね。では、次の方は、フィルガルド殿下です!!」
幕が上がる。
ク:ああ、フィルガルド殿下。このような危険な場所になぜ?
フィ:それはあなたがいるからですよ、クローディア。会いたかったです。とても……
ク:……え? ……はっ!! あ、あ、ああ、フィルガルド殿下。どうしてあなたはフィルガルド殿下なのですか?
フィ:私はこの名に感謝しています。クローディア……もし、この名がなくとも……あなたは私と出会ってくれましか?
ク:それは……わかりません。出会いなど、偶然ですから……
フィ:偶然ですか……いつかあなたに私との出会いは運命だと言わせたいですね。
ク:え?
強制的に幕が下りる。
ロ:「なぜ幕を下げたのだ? いい所だっただろ!?」
レ:「ロウエル殿、落ち着いて下さい。それでは、続いて……ラウル副団長です!!」
幕が上がる。
ラ:フィルガルド殿下の後はやりにくいな……
ク:ああ、ラウル様、このような危険な場所になぜ?
ラ:あのくらいの塀を登れないようでは、いざという時に困りますので、どうぞご心配されませんように。
ク:それもそうね……家の護衛は大丈夫だったかしら?
ラ:そちらも問題ありません。眠ってもらっただけですので。
ク:そう、よかった? ああ、どうしてあなたはラウル様なの?
ラ:その名前は今は忘れて下さい。今はただあなたを想うただの男。クローディア様、生涯をかけてあなたのお側に!!
ク:ありがとう。ラウルの忠臣、心から感謝するわ……
ラ:これでは忠誠心と取られてしまうのか……まだまだ私も考えが甘かったな。
幕が下りる。
レ:「なるほど、大変勉強になりました。今のセリフではクローディア様には忠誠心と取られるのですね。次は、アドラー殿です!!」
幕が上がる。
ク:ああ、アドラー様。このような危険な場所になぜ?
ア:あなたに会うために危険など恋の翼で乗り越えました。
ク:ああ、アドラー様……どうしてあなたはアドラー様なの?
ア:その名前は捨てました。今はただあなたを想うただの男。あなたの愛を乞うただの男です。
ク:ああ、アドラー様、愛おしい人。
ア:アドラー様……愛おしい人……(う……セリフだとわかってはいるが、実際に言葉にされると……抑えられなくなりそうだな……)
幕が下りる。
ロ:「まさかあの者……最後の言葉をクローディア殿から引き出すために台本通りに演じたのか!? 腹黒いが……」
レ:「心底羨ましいです!! 次はガルド殿です!!」
幕が上がる。
ク:ああ、ガルド様。このような危険な場所になぜ?
ガ:危険ですか……私に危険はありませんが、あなたには危険があります。裏門の警備ですが、人数を増やした方がいいと思いますよ?
ク:え? 足りませんでしたか?
ガ:数人の賊が同時に侵入した場合、手薄になります。
ク:わかりました。進言しておきます。
ガ:はい、私はただあなたを想うただの男。心配症だと言われても気になりますので。また侵入しますので、それまでに強化するようにお伝え下さい。
ク:ふふふ、我が家の警備体制を強化して下さってありがとうございます。ガルド様。
ガ:いえいえ
幕が下りる。
レ:「ガルド元副団長の侵入訓練!! 騎士団でもぜひ実施してほしい!! 素晴らしいですね!! 感動しました!!」
ロ:「レガード君、君とは感性が合わないかもしれない……お、次はいよいよ……レナン公爵子息殿の登場だな」
幕が開く。
ク:ああ、ブラッド様。このような危険な場所になぜ?
ブ:わからないのか?
ク:……わかりません。
ブ:そうか……
ク:……
ブ:……
ク:え、ちょっと、ブラッド……このままじゃ放送事故……もう、どうしてあなたは、ブラッドなの?
ブ:名前など、いずれ気にならなくなる。
ク:いやいや、どうしてよ。敵同士なんだから気になるでしょう? まさかブラッド、趣旨を理解していないの!?これは敵対している男女の切なさを表現するシーンで……
ブ:理解はしている。それでも問題ないと言っている。
ク:むっ、敵対しているのに、どうして?
ブ:最終的にあなたの望みは全て叶える。敵だ、味方など些細なことだ。
ク:え?
ブ:あなたと私の間の障害など全て乗り越えると言っている。
ク:///
幕が下りる。
ロ:「だから、どうしていつもいつもいい所で幕が下がるのだ!! クローディア殿の真っ赤な顔、これから二人の仲が深まるのだろう!? 誰だ、今、幕を下ろした空気の読めない者は!!」
レ:「ロウエル殿……フィルガルド殿下だそうです」
ロ:「そ、そうか……」
レ:「はい。むしろ空気を読んだ結果かと……この後に演じるのは、大変やりにくそうですが、最後はリリア殿です!!」
幕が上がる。
ク:ああ、リリア様。このような危険な場所になぜ? リリアの剣士姿、似合うわ!! カッコイイ!!
リ:ありがとうございます、クローディア様。危険であろうとも、必要なら参ります。
ク:ふふ、ありがとうリリア……どうしてあなたはリリアなの?
リ:そのことについてですが、このままではいい場面で幕が下りる傾向があることを掴みました。ですので……
ク:え? ちょっと、リリア!? 重くない?
クローディアは、リリアに抱きかかえられていた。
リリアはクローディアを抱いたまま優雅に微笑んだ。
リ:私でもいざとなったら、あなたを抱いて逃げることができると、知っていただけましたか?
ク:う、うん。リリア、凄い
リ:鍛えてますので、それでは皆様、クローディア様は頂きます。
リリアはクローディアを抱いたまま舞台から去ったのだった。
レ:え? あれ? 誰もいなくなりましたね……
ロ:なるほど……リリア嬢……あなどっていたな……最後に全て持って行ってしまった。ふふふ、実に面白い
レ:え? え?
ロ:ああ、いいものを見れた。それではこれにて……終幕。
ロウエル元公爵は、立ち上がると劇場から去ったのだった。
残されたレガードが困ったように言った。
レ:え……あの、これにて終幕です。お付き合い頂き、誠にありがとうございました!! あの、待って下さい!!
レガードも劇場から去ったのだった。
――――――――――――――――
番外編、いかがでしたでしょうか?
少しでも皆様に楽しんで頂けましたらこんなに嬉しいことはありません。
次回からは7章です。
どうぞ、よろしくお願いいたします☆
次回更新は12月 5日(木)です☆
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