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アイク ルート(先生ルート)
Ⅷ 大人の色気に溺れてます~~~///
しおりを挟む卒業間際になり、私は父と兄の前で頭を下げていた。
「お父様、お兄様……私、劇団専属の化粧と髪結い師になりたいです!!」
あれから私はずっと考えていた。
正直に言うと、私に王妃は荷が重い。
それに公爵家だって兄が継いた方が絶対に栄えることは間違いない。
というのは言い訳で……
あれから何回か劇団に呼ばれてメイクと髪をセットに行った。
私の手で人が美しく変わって行く姿を見るのは正直快感レベルで楽しいし、役者さんもみんないい人で私のメイクを「最高!!」「これからもお願いしたい!!」と大絶賛してくれた。
私だって、ずっとこの仕事を続けたい!!
「ふむ……もちろん、劇団専属になってもここから通うのだろう?」
父が眉を寄せながら言った。
「いいのですか?」
「むしろそうでなければ、許可できない」
兄が当たり前のように言った。
「はい。ではお言葉に甘えて……」
さらに兄が言った。
「国のお抱えの劇団なので、王都からは出ない。もし、隣国に招かれたとしても……国賓扱いなので私も外交担当としてついて行ける。なにより、王妃になるよりずっといい!!」
父も頷きながら言った。
「そうだな……この家にいてくれるというのはかなりいいな……わかった。フォルトナ、後悔のないようにやりなさい」
「ありがとうございます!!」
こうして私は、父と兄の許しを得て、卒業と同時に劇団専属の化粧と髪結い師になったのだった。
◇
そして、私が就任してから初めての顔合わせの時。
「フォルトナと申します。どうぞ、気楽にフォルトナと呼んで下さい」
「待ってた~~」
「おかえり~~」
学生の頃から手伝っていたので、みんなまるでもう私もここの一員かのように迎えてくれた。
私がみんなに囲まれていると、座長が声を上げた。
「本日は、もう一人の入団者を発表する。知ってる者も多いと思うが……」
そう言って入って来たのは……
「え? アイク先生!?」
入って来たのはアイク先生だった。あの分厚い眼鏡を取って髪をスッキリと後ろに流して登場したアイク先生は神々しいほどイケメンだった。
「皆様、再びお世話になります」
アイク先生のあいさつが終わると一瞬、水を打った後のように静かになった後、割れんばかりの歓声が巻き起こった。
「うわ~~~本物だ~~俺、あなたに憧れてこの劇団に入ったのです」
「凄い、本物だ~~~カッコイイ~~~」
どうやら、アイク先生はかなり有名な役者さんだったようだ。
確かにカッコイイし、よく見ると色気凄いし、オーラあるし……今までよく一般人に紛れてたな~~役者さんってすごいな……
私が感心していると、座長がそれぞれの練習に戻るようにと言って解散した。
アイク先生は私の近くに歩いて来て、耳元で囁いた。
「これからは先生と生徒ではありません」
「……え?」
思わずアイク先生の顔を見ると、アイク先生は飛び切りのキメ顔で言った。
「どうだい? 綺麗な人だろう? 私はこの人のことがとても好きなんだ。愛しているんだ。ずっとずっと一緒にいたいと思っている」
それ……シンデレラの時のセリフ……でも役者モードで発動されると……瀕死級の破壊力……
私が顔を真っ赤にして視線を逸らしていると、アイク先生が美しく微笑みながら言った。
「あのセリフ、私のオリジナルです。それにあれは演技でもないですよ? いずれ現実になる未来だと思っています」
「ええ?」
私は思わずアイク先生を見た。
「フォルトナさん、これからもよろしくお願いします……」
うわ~~エロっ~~
色気駄々洩れの瞳で見つめられると身体が熱くなり私は声を上げた。
「は、はい!! 喜んで!!」
若干場違いな言葉を叫んでしまった。
どうしよう、役者の先生がカッコ良すぎるんだが!?
心臓持つかな……
さっきのセリフが現実になる未来を想像して、私は思わず心臓を押さえてしまったのだった。
アイク ルート(END)
――――――――――
最後までお読み頂きまして、本当にありがとうございました!!
アイク ルート いかがでしたでしょうか?
少しでも楽しんで頂けたのなら、これほど嬉しいことはありません。
変調シンデレラをお届けしてアイク先生ルート、終わります!!
それまでもう少しお付き合い頂けますと幸いです♪
たぬきち25番
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