41 / 50
ルジェク ルート(王子ルート)
Ⅷ 愛に溺れてます~~~!!
しおりを挟む「ストップ!! そこまで~~~!! 何やってるんですか!! 散々人を心配させておいて、人騒がせな……」
ダイアンが深いため息を付きながら言った。
「ホントにな……っちょと!! ルジェク王子殿下。ここ、一応学びの場所ですから、それ以上は家で二人だけでして下さい!!」
カイルが慌ててルジェク王子に声を上げた。
「全くです。学園の風紀が乱れます!! あ~嘆かわしい!! 殿下、以前とは、別人じゃないですか!! 恥を知って下さい」
ここは、学園の奥まった場所にあるベンチ。
私はルジェク王子に抱き寄せられて、髪をかきあげられて、顔を近付けられていたところだった。
ところが、それから先は、二人に止められてしまった。
カイルと、ダイアンにキスを止められて、少しだけ不機嫌なルジェク王子が口を開いた。
「学園ではキスまでしかしないと言っているだろう? 誰もいないし、風紀が乱れるというほどのことではないだろう?」
ルジェク王子の言葉に、ダイアンが眉を寄せながら言った。
「ダメですって!! ルジェク王子のキスは……その、ふしだらです!!」
するとカイルが頷きながら言った。
「そうだ~! そうだ~! あんなエロいキス風紀が乱れるにも程があるだろう? あ、それに、キスした後の、フォルトナ嬢のこれまたエッロい顔を他のヤツに見せてもいいんですか?」
エロい顔?!
私は一体どんな顔をしているのだろうか?
思わず顔を隠すと、ルジェク王子が圧を含んだ低い声で言った。
「ほうぅ? 私のフォルトナのそんな顔をいつ見たのだ? カイル」
カイルが慌てて言った。
「言わせてもらいますけど、二人ともキスの後は大抵、人に見せられないような卑猥な顔になってますよ!! 大体、見られたくなければ、人前で、あんなエロいキスするなって言ってんですよ!!」
カイルの言葉にダイアンも声を上げた。
「そうですよ。音だって結構響くし、キスの合間に聞こえてくる声だって……その大変風紀を乱す声で……聞いている方だって……大変なんですからね!!」
真っ赤になってしまったダイアンに申し訳なくて、私たちは深く頭を下げた。
「それは……すまなかった。フォルトナを見ていると我慢出来なくて……」
「ごめんなさい、二人とも……深く反省してます」
二人にあやまった後、私とルジェク王子は顔を見合わせたのだった。
あれから婚約の白紙を撤回して、私は再びルジェク王子の婚約者に戻った。
学園を結婚したらすぐに結婚することも決まっている。
ルジェク王子も私も、帝王学の勉強や、王妃教育を少しだけ余裕を持たせて行うようにして、これまででは想像できないほど、二人で過ごす時間が取れるようになった。
未来のことはまだわからないけど、とりあえず、今を大切に出来ていると思う。
「フォルトナ、続きは帰ったらな」
ルジェク王子はそう言って、私のおでこにキスをした。
「はい」
私はそう言って微笑んだのだった。
ルジェク ルート(END)
――――――――――
最後までお読み頂きまして、本当にありがとうございました!!
ルジェク ルート いかがでしたでしょうか?
少しでも楽しんで頂けたのなら、これほど嬉しいことはありません。
また、どこかで皆様にお会いできることを楽しみにしております!!
たぬきち25番
98
お気に入りに追加
1,103
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。
【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。
紅月
恋愛
小説家になろうで書いていたものを加筆、訂正したリメイク版です。
「何故、私の娘が処刑されなければならないんだ」
最愛の娘が冤罪で処刑された。
時を巻き戻し、復讐を誓う家族。
娘は前と違う人生を歩み、家族は元凶へ復讐の手を伸ばすが、巻き戻す前と違う展開のため様々な事が見えてきた。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
拝啓、王太子殿下さま 聞き入れなかったのは貴方です
LinK.
恋愛
「クリスティーナ、君との婚約は無かった事にしようと思うんだ」と、婚約者である第一王子ウィルフレッドに婚約白紙を言い渡されたクリスティーナ。
用意された書類には国王とウィルフレッドの署名が既に成されていて、これは覆せないものだった。
クリスティーナは書類に自分の名前を書き、ウィルフレッドに一つの願いを叶えてもらう。
違うと言ったのに、聞き入れなかったのは貴方でしょう?私はそれを利用させて貰っただけ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる