被造物のくせに生意気だ

湯坂青葉

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勧善懲悪

序章登場人物紹介

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カミナとその一味

【カミナ】
 人間が嫌いな唯一神。人間の不幸を見るために世界を作った。普段は軽薄そうな若い男の姿をしている。自らの所業については、他の神は世界が気に入らない場合は世界を丸ごと火にくべたり水に沈めたりしているのに対して、自分は少数の人間を不幸にしているだけなのだから、何も後ろめたい点はなく、むしろ人間たちは自分を慈しみ深い創造主として崇めるべきだと固く信じている。パイプ煙草が趣味で、よく下界から煙草をくすねてきている。

【アサ】
 殺人が趣味の天使。人間、特に権威や血統を振りかざす人間が一瞬で物に変わっていく様に性的興奮を覚えるらしい。両親の影響もあり、カミナに対する信仰心を持っている。幼いころから家庭内ストックホルム症候群に侵されていたためか、カミナの使徒にも関わらず両親のことが好きで、両親のために復讐をするなど、人間的な側面が目立つ。遠野の娘である湊を生かしたまま廃人にしてからというもの、拷問方面へも興味を広げ始めた。容姿はヨルコに言わせると比較的「かわいい」らしいが、普段は村娘の恰好をしているため、誰にも注目されない。

【ショウゴ】(桐生正吾)
 犯罪が趣味の天使。幼いころから盗癖があり、長じても窃盗や強盗を繰り返してきた。犯罪によって財物を得るのが趣味で、殺人や強姦は好きではないらしい。人間の定めた法に従う者たちを檻の中で飼われる豚のようなものだと見下している。自分の楽しみを奪った遠野に憎しみを抱いており、普段は好まない誘拐を実行した。口が非常に悪く、外見もうだつの上がらない中年男性。嫌いな物は、某局で放送される警察賛美番組『警察48時』。

【ヨルコ】(夜子)
 呪詛が趣味の天使。天地と共に生まれ悠久の時を生きてきたらしい。元は森の中の屋敷に住む呪術師或いは魔法使いで、一年に一度乙女の生き血を摂取することで若さを保ってきた。生まれたときは何の変哲もない人間だったが、魔法を使用して今現在のこの上なく美しい体を手に入れたらしい。呪符を使用して、各種の「都合のいい魔法」を使いこなす。皮肉屋で、どのようなことに対してもうがった見方をし、嫌味を言わずにはいられないという不快な性格をしている。普段は尊大な態度で人に接するが、カミナ、ショウゴ、アサの三人に対しては育ちのいいお嬢様の様に振舞う。夜子と呼ばれているが、昼間に力が落ちたりするわけではない。好きな服は喪服。


アサの小世界の被造物

【アサの両親】
 正しい主張をして殺されてしまった人。アサとの関係は良好だったようだ。アサが王家を適切に処分した後、樹立された新共和制政府と新教組織によって殉教者に認定されたらしい。

【王】
 血統によって地位を得た男。仕事は基本的に臣下に任せている。臣下を信用することができるという点だけは彼の美徳だったのかもしれない。アサ曰く、頭部が無駄に重かったそうである。

【神子姫】(ユナ)
 血税によって成長した被造物。その血筋を利用し、政務の一部を形式上担当することで不労所得を得ていた。弟による毒殺を恐れていて、自分専属のコック以外が調理したものを決して口にしようとしない。心の中で平民を見下しているが、それを表に出さないだけの賢さを持っていたようだ。カミナはこの女について、もし自分の子孫ならばこんなに美しいはずがないと述べていた。


ショウゴの小世界の被造物

【遠野早苗】
 警察官。若いころはやんちゃだったが、最愛の夫と出会ってから更生したらしい。自分の行っていることは正義だと信じて疑わない狂信者であり、善意を他人に押し付けることで性的興奮を覚えているのではないかとショウゴやカミナに疑われている。夫を亡くした後は、娘である湊を溺愛していた。湊がアサによって廃人にされて戻ってきてからは、毎日部屋に籠って、自分は素晴らしい母親で、娘に愛されていると自己暗示をかけ続けていたらしい。

【遠野湊】
 早苗の娘。ごく普通の生活を送っていたが、ある日アサによって廃人にされる。続く苦しみの中で、次第に早苗が自分を生んだことに対する恨みを持ち始め、最後は早苗を恨みながら死んでいった。

【水沢】
 早苗の上司。藍川警察で一二を争う敏腕捜査官。彼の巧みな自白誘導テクニックは、数々の事件を書類上「解決」に導き、そのため彼はしばしば藍川警察から表彰されている。密閉された取調室では敏腕である反面、ショウゴとの追いかけっこは苦手だったようだ。取調室での拷問が得意にもかかわらず、アサを信仰していない不信心者である。

【笠山】
 慈善団体「カミナの恵み」代表。他人に対して上から目線で説教を垂れるのが好き。自分のことを道徳家だと思っている。受刑者たちからは、話の長い禿親父と馬鹿にされている。


ヨルコの小世界の被造物

【村長】
 夜子の森の入り口の近くの村の村長。毎年夜子に捧げる生贄の確保に苦労している。過去に一度、夜子に捧げる為に村人から取り上げた娘を、辛抱たまらなくなって手籠めにしてしまったことがある。そのとき夜子にばれて、さんざんからかわれ嫌味を言われてからというもの、性欲が消え去ってしまったらしい。

【皇帝陛下】
 父親の食事に毒を盛ったおかげで若くして即位することができた人。人間の三大欲求に忠実で、後宮には千人規模の女を囲い、食事に関しては田舎の農夫の料理から嬰児の煮込みに至るまで、様々なものを食べつくしている。切り替えが早く、最愛の后がススキに殺され戻ってこなくなった後は、三か月ほどできっぱりとあきらめ、代わりの女を見つけてくるという思い切りの良さを発揮した。嫌いな物は妹。妹を処分してくれた夜子に対しては好意を持ち始めており、今までの無礼な発言については非公式に謝罪をしているらしい。ヨルコが尊称付きで呼ぶ数少ない人物の一人。

【真昼姫】
 皇帝陛下の妹。放埓の限りを尽くす兄をどうにかして失脚させたいと思っている。良くも悪くもまっすぐな性格であったため、兄の姦計にあっさりとはまり、アサに煮えたぎる水銀を飲まされる。礼儀作法やら君臣の礼やらにうるさいため、臣下たちからは嫌われていた。

【后】
 皇帝陛下の最愛の女。皇帝陛下の姦計のおかげで夜子の生贄にならずに済んだが、都への帰還前にススキたちにより処分される。死体はイナホにより焼肉にされて村での宴会に豚肉牛肉鶏肉などと混ぜて出されたが、大しておいしくもないので食べ残しが出たそうだ。

【ススキ】
 后と真昼姫の護衛を行っていた兵士たちの隊長。皇帝陛下の姦計の一部始終を見抜き、自分たちが都に戻れば殺されることを察して、先手を打って后を殺し財物を奪って亡命した。その後はもくろみ通り遠くの国で不自由ない生活を送ることができている模様。

【イナホ】
 ススキの部下。ススキと共に財物を奪って亡命した。その後もススキとは先輩と後輩の良好な関係を保っているという。


「家庭内ストックホルム症候群」について、ここではググって一番上に出で来るような、母親=犯人、父親と子供=人質という解釈の言葉ではなく、家庭内において幼児が両親に逆らうと餓死するために、必然的に幼児が両親に媚びを売るようになり、やがてはそれを両親への愛情と錯覚してしまう状態のことを指す言葉として使用しています。
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