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しおりを挟む無意識に隣にいたイーダの服をぎゅと掴む。
「……彼らは数年前にギルマスと協力して、ある事件を解決されて以来、飲み仲間になった騎士達です」
イーダさんがこっそり教えてくれた。
イーダの服を掴んだのは、俺が彼らが誰なのかを知りたいからと思ったらしい。
確かに誰だろう?と思ったが……。
「ジンさん?」
イーダはいまだに服を掴んでる俺を不思議に思い、首を傾げた。
「……イーダさん、話の邪魔にならないように先に行こう」
「……わかりました」
イーダがアークに声をかけて先に行く事を告げると、俺の頭をポンポンと叩いた。
「わかった。俺も話ながら後ろからついて行く。ジン、無茶するなよ。イーダ、ジンを頼む。」
「わかった」
「御意」
無言で歩いてどのぐらい経っただろうか。魔物は1匹もいなかった。いくつか別の道もあったが、騎士と冒険者達が調べて魔物ナシと確認済みだ。
なので、安心して地下1階ボスフロアへ行く最短の道を選んで通ってきた。
「何もなさそうだね」
「……っ!止まってください」
イーダが素早く俺を庇うように前にでた。
「魔物です」
グギャァァァと先の方で魔物の声が響く。
イーダの背を見ながら移動して数分後、剣の音と魔法の音が聞こえイーダが立ち止まった。
イーダの背後からチラリと覗くと、ちょうど騎士が魔物を倒した所だった。
「……ミノタウロスだ」
牛頭をした人型の魔物。もちろん、初心者ダンジョンにいなかった魔物だ。
それ以降も魔物が現れ、騎士や冒険者達が倒していく。
思ったより魔物が出るなと思ったが、いつもより多い感じだそうだ。ただ、魔物のレベルが上がっているらしい。
そう言えば、普段いない魔物はどこから湧いてくるのだろうか?
しばらくして、地下2階へ行く為の地下1階のボスフロアについた。ここにもボスがいなかった。だが、地下2階へ行く扉が開いていない。騎士や冒険者が扉の近くや壁を調べているがどうやら何も見つからないらしい。俺も扉を調べてみようと中央まで歩いた時だった。
頭上から強い魔力を感じ、体が硬直してしまった。
ビュォォォォォォォと大きな音と共に熱いものが俺に降り注いでくるのが分かる。
ヤバイ!と思った瞬間、黒い何か大きなものに抱きかかえられ、壁側へと着地した。
足が地面についた途端、ドーン!という大きな音がいくつも聞こえ、地面が捲れ上がりボコボコになっていく。
こわ!さっき居た場所、跡形もないんだが!
黒い何か大きなもの……イーダに運ばれなければ確実に死んでいた。
イーダさんに感謝!
砂が舞い上がる中、頭上にある黒い大きなブラックホールみたいな魔力の塊から何かが落ちてきた。
ドスン!という音と共に振動が身体揺らす。立っていられないほどだ。
グルルルルルという鳴き声がまだ見えぬ先から聞こえ、周りにいた人達が戦闘態勢に入った。
次第に見えてくる魔物達の姿に息を呑み込んだ。
「ケルベロス……」
全長15メートル越えで、3つの狼のような頭に、蛇のような尻尾。3つの頭は能力を持っていて、毒、石化、炎、睡眠、麻痺、回復が毎回ランダムに入れ代わり、攻撃や回復をする。接近戦になろうものなら鋭い牙や爪でいとも簡単に皮膚を切り裂く恐ろしいランクS魔物だ。
そして、ケルベロスを守るようにいる複数のランクBのバジリスクと数体の魔物達。
これ、ピンチじゃねぇ?
冷や汗がたらりと背中を伝った。
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