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しおりを挟むバルトから優しく下ろしてもらうと、こちらを見る2つの視線に気付く。アークと赤髪赤目のダンディな男性だ。特に赤髪の男性の見つめる視線が痛い。しかも、口許は笑っているが目が笑っていない。まるで軽蔑しているような顔だ。
怖い。
思わず触れていたバルトの手をぎゅっと握った。
俺の気持ちに気付いたバルトが立ち上がり、俺を隠すように前に出て男性を睨む。
「父上、不躾です」
「おぅ、わりぃー。つい、な」
あっ、そうだ、バルトのお父さんだ!バルトと友達になって、家に遊びに行った時にたまに剣を教えてくれたなんちゃって師匠みたいな人だ。
「俺はシーカーのギルドマスターをやっている、ニルク・ソルグール。そこにいるバルトの父だ」
にっこり笑って握手を求められた。
えっ?ギルドマスター?前は第1騎士団長だったよな……。
「あの、俺は、Zランクの冒険者、ジンです」
ギュッと手を握られ、数十秒……離してくれない。
「あのぅ……離してもらえますか?」
「あぁ、悪い。君、本当に初心者さんなんだね。手が柔らかい」
笑っているのに、見定めるような目だ。怖い。
「ご、ごめんなさい」
目を泳がせながら、つい反射的に謝ると同時に、ニルクの頭にアークの拳骨が飛んできた。
「いって!」
「ニルク、ふざけるな」
「ふざけてない!見込みがあるか確認しただけだ。ギルマスなら無意識にやるだろ?」
ニルクに言われ、アークはばつの悪そうに眉間に皺を寄せた。
そう言えば、アークもそれをよくやってる。俺の時もそうだった。
「お前ら、相変わらずアホだな」
茶色のツンツンの短髪に茶色の目、左唇から顎にかけて火傷の跡がある男が、挨拶代わりに片手を上げながらこちらにやってきた。
「ガルバ!」
「ガルバ、お前も相変わらずだな」
3人とも笑いながら拳を合わせた。
やってきたのは、ちょっと怖め顔のSSランク冒険者、ガルバ・アリーゼン。以前アークとパーティー仲間だった人だ。たまにアークの家に来ては、パーティーを組んで一緒に魔物を狩ったな。懐かしい。
「バルトも元気そうだな」
「はい、ガルバも元気そうで何よりです」
「……その子は?」
「あー、説明は後からでいいか?あまり時間がない。先に作戦会議をしよう」
アークの案に皆頷き着席した。俺以外。
邪魔だろうと別のところに行こうとしたら、アークとバルトから止められた。バルトからは無言で俺の手を握られ、アークからは「ここにいろ」と言われた。
えっ、俺も参加するの?俺、冒険者の下っ端の下っ端だよ?
言葉に出さず困惑していると、アークから「いいから座れ」と強制的に座らせられました。
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