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しおりを挟むあぁ……また会えるなんて……。最後に別れたのはいつだっただろう。成人してから、好き勝手に動き回ってたからな。冒険者をやめて騎士になってからは、あまり一緒にいれなかった。最後に会ったのは、確か俺が死ぬ、あの最後の日か……。
思いにふけっていると、肩を組まれひょいと登録書を持ち上げられた。
「えーと、理由は金を稼ぐため。うんうん、いいことだ。得意な技は魔法と槍か。へー、楽しみだな。名前は……ジン……」
ギルマスが俺の書いた登録書を見て、目を細める。ギルマスのそんな様子に気付かないまま、受付の男性ががいつもの調子で話し出す。
「はぁー、ギルマス。また、新人いじ、……ごほん、確認ですか。ジル君が困って……て、ちょっ、なにしたんっすか、ジン君泣いてますよ!」
「は?」
ビックリした表情で、横から俺を見つめるアークに慌てて両手を振る。
「あっ、違うんです。あの、ア……ギルマスさんが俺の父さんに似てて……その、すみません」
溢れる涙を両手の甲で拭うが、一向に止まりそうにない。
「あはは、あれ、おかしいな……」
そんな俺の両腕をアークにガシリと捕まれた。
「そんなに強く擦るな。腫れるぞ」
アークはそういい、ポケットからグシャグシャのハンカチを取り出し、固まること3秒後、そのままポケットに戻す。そして、気を利かせた受付の人からハンカチを受け取ると、優しく涙を拭いてくれた。
「あっ、ありがとうございます」
「あぁ、気にするな」
目を細め、優しく微笑むアークに大きな手で頭を撫でられ、その微笑みに、その声に、再び涙が溢れ出しそうなのをグッと唇を噛んで耐える。
「大丈夫か?」
「は……い、大丈夫、です」
「よし、じゃぁ次はギルドカード登録だな。おい、ポチ」
「はいはい、ポチじゃなくてワンダーて呼んでくださいとあれほど……」
ポチと呼ばれたワンダーさんは、ぶつぶつ言いながら、野球ボールの大きさの水晶がついてある道具をカウンターに置いた。
なんだこれ?見たことがないな。
「えー、こちらの針で突き刺して、数滴の血をこちらの窪んだところに垂らした後、手を置いてください」
言われた通りに血を数滴垂らし手を置くと、水晶が優しく光る。
「はい、結構です。こちらがジンさんのギルドカードになります。こちら再発行にペナルティー1と5ギウペル掛かるのでお気をつけください」
ペナルティー1? なんだそれは?
「冒険ギルドの説明を詳しくお聞きになられますか?」
大体把握しているが、何せ昔のことだ。今と違うだろう。ペナルティー1も気になる。
「お願いします」
「はい、かしこまりました。では、こちらをご覧ください」
目の前に置かれたのは、冒険ギルドと書かれた冊子。
「こちらは説明後差し上げますので、お暇な時に読んでいただければ幸いです。では、説明致します」
1ページ目をめくるとピラミッドの形をした図形があった。
「冒険ギルドにはランクが8つあります。まずは冒険ギルド見習いであるZランク。手伝いや薬草採取の依頼を10枚、実技試験2回をクリアすると見習いを卒業し、本格的な冒険者E又はDランクへ昇格できます。そして、依頼やギルド貢献ポイントを上げることで、C、B、A、S、SPランクの順に昇格します。
注意していただきたいのは、昇格されたからといって、ずっとそのランクにいられるわけではありません。1年間以上わざと依頼を受けなかったり、依頼に失敗されるとペナルティーがつきます。これが合計-10になるとランクが下がりますのでお気をつけください。
後は……あっ、SPランクに昇格されると、滅多なことを起こさない限り降格することはありません。SPランクは現在この国に15人しかいない特殊なランクです。年に数回、お城に招待されたり、貴族達に堂々と意見を言える権力を国王から与えられています。ちなみにですが、一番身近なSPランク者は、我がギルマス、アークさんです」
「……凄いですね」
「はい、普段はギルドマスターをしていますが、現役で活躍なさっています」
まるで自分のこと様に自慢するワンダーさんの頭にチョップが落ちる。
「ポチ、余計なことは言わんでいい」
「うぅ、マジで痛い」
頭を抱えカウンターに蹲るワンダーさんをスルーし、俺を見てニヤッと笑うアークに、何か嫌な予感を感じた。
「さぁ、まずはどのぐらいやれるか、だな」
あはははは、予感が的中……。
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