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第三話
5 いよいよ始まりました
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そんなこんなをしていると、イベント当日となった。
この日の一年生は皆、制服ではなくて体操服を着ているんだけど。
私の中学での体操服と違って、ジャージっていうよりもお洒落なスポーツ着って感じだった。
都会の人が普段着にしていそうなお洒落なデザインで、スポーツでもテニスとかお洒落なことをしていそう。
とにかくお洒落を連発するくらいにお洒落なんだよ。
そしてそんなお洒落体操服を着た私はというと、当然というかなんというか、サイズが大きくてダボダボだ。
メンズサイズだったらこうなるよね。
この体操服も制服と同様に特注品らしく、余分に数がないようで、現在注文し直して到着待ちだったりする。
うーん、袖と裾をまくって着たらなんとか裾ズルズルな「お奉行さん状態」からは脱したけど、ウエストが緩いなぁ。
ベルトで止めてみたけど、なんか不安。
これ、あんまりやたらと動くとヤバいのでは?
私はそんな不安を抱えつつ、荷物の詰まったリュックを背負って講堂に向かい。
現在は一年生が集まった前で、校長や生徒会長なんかの話を聞いていた。
「このレクレーションはただの遊びではなく、君たちがいかに仲間と協力をして困難を乗り越えるか、工夫が試される場でもあり……」
生徒会長が長々と語っているけど、要するに「仲良くして頑張ってね」ということか。
けど会長、仲良くする相手のロクにいないボッチは、どうすればいいんですかね?
まあそういう人は、どっかに隠れて一日やり過ごすんだろうけど。
なにせ勝ったら賞品ゲットだけど、成果があげられないまま負けてもペナルティなんかないんだから。
神高あたりは、たぶん普通だったらそっちなんだろうなぁ。
今回は一応私のボディガードってことで、一緒に行動が決まっているらしいけど。
ともあれ、私は偉い人たちのありがたいお言葉を聞き流し。
それが終わったら、講堂から解散して準備タイムだ。
30分間で好きな場所へ各自移動して、そこからのスタートになるんだってさ。
なるほど、もうそこからゲームは始まっているというわけね。
こういうのって最初の位置取り大事だろうし。
というわけで、一年生がキャッキャウフフと楽しく会話しながら移動する中、私も速やかに狙っていた場所へ向かう。
ちなみに一年生以外の、二、三年生は午前中の授業は無しで、このゲームの様子を視聴覚室なんかで観覧できるんだってさ。
一年生が校舎全部を使ってゲームをしているのに、授業なんかそっちが気になってできないだろうけど。
さすが特殊な学校というべきか、この辺りが緩いなと思う。
そうしているうちに、三十分が経過した。
ピンポンパンポーン♪
『これより、ゲームスタートです!』
放送委員の人だろうか、そんなアナウンスが校内に流れると同時に、一年生が一斉に動き出す!
……んだろうけど。
私と神高がいる周囲は静かなもので。
小鳥のさえずりなんかが聞こえてきちゃうくらいだ。
「お昼寝したくなるね。ってまだ朝だけど」
私が適当な木の幹にもたれて座り、「う~ん」と背伸びをすると。
「こんなところにいていいんですか?
ゲームに参加するどころか、他の連中とかなり離れていますが」
同じく木にもたれて座っている神高が、今の状況に思わずといった様子でそう口にする。
まあね、ほとんどの生徒が隠れたり捕まえたりしやすいと判断した校舎に集まっている中。
私はというと、ほとんど人が通らない敷地の隅にある茂みに、神高と二人で潜んでいるし。
やる気があるのかって思うわな。
神高のこの疑問に、私はこの辺りにも誰がいるとも限らないので、声を潜めつつ答える。
「あんな密集したところにいたら、身動きがとれないじゃん。
それにゲーム時間は長いんだよ?
せかせかしないでのんびりやろうよ」
そんなことを離してから、一時間くらいが経った頃。
「さぁて、そろそろいいかな?」
私は茂みの中から腰を上げる。
「呑気なものですねぇ。
まあ、僕は構いませんが」
私の隣で優雅に読書をしていた神高も、ゆっくりと立ち上がる。
ちなみに本日の神高のスタンスとしては、あくまで私のボディガードであって、ゲームへの積極的な参加はしないとのこと。
私も彼をアテにする気はないので、それで構わない。
「さぁて、どのくらい減っているかなぁ?」
私は答えを期待しない独り言のつもりだったんだけど。
「ほぼ半分、といったところらしいですね」
予想外に神高から回答があった。
「あれ、そんなの分かるの?」
「生徒会が現状の数字を公開していますから」
私の疑問に、神高が説明しつつスマホをいじり、こっちに見せてくる。
見ると確かに、このゲームの勝者数の推移が載っていた。
「半分、まあまあってとこか」
私が一人満足気に頷くと。
「で、これからどうする気ですか?」
神高はやる気がないわりに、私の考えが気になるらしく。
尋ねられて、計画を大雑把に告げる。
この日の一年生は皆、制服ではなくて体操服を着ているんだけど。
私の中学での体操服と違って、ジャージっていうよりもお洒落なスポーツ着って感じだった。
都会の人が普段着にしていそうなお洒落なデザインで、スポーツでもテニスとかお洒落なことをしていそう。
とにかくお洒落を連発するくらいにお洒落なんだよ。
そしてそんなお洒落体操服を着た私はというと、当然というかなんというか、サイズが大きくてダボダボだ。
メンズサイズだったらこうなるよね。
この体操服も制服と同様に特注品らしく、余分に数がないようで、現在注文し直して到着待ちだったりする。
うーん、袖と裾をまくって着たらなんとか裾ズルズルな「お奉行さん状態」からは脱したけど、ウエストが緩いなぁ。
ベルトで止めてみたけど、なんか不安。
これ、あんまりやたらと動くとヤバいのでは?
私はそんな不安を抱えつつ、荷物の詰まったリュックを背負って講堂に向かい。
現在は一年生が集まった前で、校長や生徒会長なんかの話を聞いていた。
「このレクレーションはただの遊びではなく、君たちがいかに仲間と協力をして困難を乗り越えるか、工夫が試される場でもあり……」
生徒会長が長々と語っているけど、要するに「仲良くして頑張ってね」ということか。
けど会長、仲良くする相手のロクにいないボッチは、どうすればいいんですかね?
まあそういう人は、どっかに隠れて一日やり過ごすんだろうけど。
なにせ勝ったら賞品ゲットだけど、成果があげられないまま負けてもペナルティなんかないんだから。
神高あたりは、たぶん普通だったらそっちなんだろうなぁ。
今回は一応私のボディガードってことで、一緒に行動が決まっているらしいけど。
ともあれ、私は偉い人たちのありがたいお言葉を聞き流し。
それが終わったら、講堂から解散して準備タイムだ。
30分間で好きな場所へ各自移動して、そこからのスタートになるんだってさ。
なるほど、もうそこからゲームは始まっているというわけね。
こういうのって最初の位置取り大事だろうし。
というわけで、一年生がキャッキャウフフと楽しく会話しながら移動する中、私も速やかに狙っていた場所へ向かう。
ちなみに一年生以外の、二、三年生は午前中の授業は無しで、このゲームの様子を視聴覚室なんかで観覧できるんだってさ。
一年生が校舎全部を使ってゲームをしているのに、授業なんかそっちが気になってできないだろうけど。
さすが特殊な学校というべきか、この辺りが緩いなと思う。
そうしているうちに、三十分が経過した。
ピンポンパンポーン♪
『これより、ゲームスタートです!』
放送委員の人だろうか、そんなアナウンスが校内に流れると同時に、一年生が一斉に動き出す!
……んだろうけど。
私と神高がいる周囲は静かなもので。
小鳥のさえずりなんかが聞こえてきちゃうくらいだ。
「お昼寝したくなるね。ってまだ朝だけど」
私が適当な木の幹にもたれて座り、「う~ん」と背伸びをすると。
「こんなところにいていいんですか?
ゲームに参加するどころか、他の連中とかなり離れていますが」
同じく木にもたれて座っている神高が、今の状況に思わずといった様子でそう口にする。
まあね、ほとんどの生徒が隠れたり捕まえたりしやすいと判断した校舎に集まっている中。
私はというと、ほとんど人が通らない敷地の隅にある茂みに、神高と二人で潜んでいるし。
やる気があるのかって思うわな。
神高のこの疑問に、私はこの辺りにも誰がいるとも限らないので、声を潜めつつ答える。
「あんな密集したところにいたら、身動きがとれないじゃん。
それにゲーム時間は長いんだよ?
せかせかしないでのんびりやろうよ」
そんなことを離してから、一時間くらいが経った頃。
「さぁて、そろそろいいかな?」
私は茂みの中から腰を上げる。
「呑気なものですねぇ。
まあ、僕は構いませんが」
私の隣で優雅に読書をしていた神高も、ゆっくりと立ち上がる。
ちなみに本日の神高のスタンスとしては、あくまで私のボディガードであって、ゲームへの積極的な参加はしないとのこと。
私も彼をアテにする気はないので、それで構わない。
「さぁて、どのくらい減っているかなぁ?」
私は答えを期待しない独り言のつもりだったんだけど。
「ほぼ半分、といったところらしいですね」
予想外に神高から回答があった。
「あれ、そんなの分かるの?」
「生徒会が現状の数字を公開していますから」
私の疑問に、神高が説明しつつスマホをいじり、こっちに見せてくる。
見ると確かに、このゲームの勝者数の推移が載っていた。
「半分、まあまあってとこか」
私が一人満足気に頷くと。
「で、これからどうする気ですか?」
神高はやる気がないわりに、私の考えが気になるらしく。
尋ねられて、計画を大雑把に告げる。
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