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第七章:Cold Pursuit

アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (2)

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 本日の事件は、大牟田の警察署が何者かに襲撃されてるってヤツだった。
 襲撃者どもは数十人単位で、一番多いのが河童。それも、皮膚や甲羅に虎縞が有る「水虎」……熊本の暴力団「龍虎興業」の「系列会社」の組長や幹部クラスに多いタイプだ。
 他にも、獣人系や鬼系もボチボチ。……もっとも、獣人系はウチのチームの「早太郎」ほどの如何にもな獣化能力者じゃなくて、特殊メイクの技術がイマイチだった時代のホラー映画の狼男みたいな感じの「半獣半人」型だ。
『河童の大半は県警の警官が装備してるタイプの拳銃では有効なダメージは与えられないようです。獣化能力者や鬼化能力者にも、ある程度の高速治癒能力を持ってる奴が多数居る模様』
 あたしらをここまで運んで来たトラックから降りる直前に、後方支援要員から連絡。
 そして、トラックから降りると……「工房」関係者なのに、何故か、やたらと現場に出たがる「副店長」が空を見上げる。
「マズいな、こりゃ……」
「えっ? 何がっすか?」
「例のゾンビどもは、人間より体温が低い……けど……」
 視線の先の空は……快晴。
「一二月とは言え、太陽光に含まれる赤外線が結構なノイズになる。こいつの赤外線センサから得られる情報だと、ゾンビか生きた人間かを判別困難だ」
 そう言って「副店長」は、強化装甲服パワードスーツの「目」を指差した。
「つまり、ゾンビが出たら、あたしらみたいな『魔法使い』系が頼りって訳っすか?」
「ああ、頼りにしてるぞ」
 武器なんかを詰んだ2台のバイクは、あたしらの横を半自動走行。
 現場に到着すると、「副店長」はバイクから、やたらとゴツい銃を取り出す。
 妙にデカい口径。弾倉マガジンも、これまたデカい。
「それ、何っすか?」
「連射可能な散弾銃ってところだ」
 そう言って……。
 物凄い音と、共に発射されたのは……。
「あ……あの……簡易焼夷弾ドラゴンブレスだと、射程が全然足りない……ような……」
対象ターゲットを、こっちに引き付ける為のデモンストレーションだ」
 既に、大牟田の同業が現場に来てて戦ってるが、数が足りてない。
 同業者魔法使い系らしいのが2人。近接戦闘系らしい軽装のが1人。そして……。
強化装甲服パワードスーツ?」
 けど……変だ……。
 身長は……ざっと2・5m。横幅も結構有る。それに……。
「違う。遠隔操作型のロボットだ」
「へっ?」
「元々は、設計図や制御ソフトが公開されてるオープン・ソース型のロボットだったが、改修を重ねた結果……」
 そいつは……鉄の爪アイアン・クロー型の両手に一匹づつ、河童の頭を掴んで持ち上げていた。
 次の瞬間……結構、距離が有るのに聞こえた気がした……。
 河童どもの頭が潰れる音が……。
「九州でも5~6人しか居ない化物の1人だ……。『久留米の銀の狼』こと久米銀河と正面から一対一で殴り合って5分以上持つ」
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