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第六章:Feel the Fire

アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (7)

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 入院中の病院に付属してる露天風呂。
 けど、あたしが向かってるのは、その中でも……。
 まだ小学生かそこらだった頃……今は火山灰で埋まってる「本当の関東」に居た頃の朧げな記憶だと……何か九州こっちの日の出・日の入りの時刻は関東あっちと結構ズレが有るような気がする。
 7時ごろ、ようやく太陽が東の空から顔を出す。
 あたしは露天風呂の滝に入る。
 ただし、露天風呂と言っても流れてるのは水。
 冷たさを言い表すのに「肌を切るような」って言い方をする理由が良く判る。
 太陽が少しづつ上ると共に……あたしも深呼吸。
 時代がかった滝行だけど……。
 やったか……。
 あたしの肌に触れた冷たい水が湯気へと変る。
 気の補給は十分……下手したら、ここに来る前より力は上がっている。
 この病院が有るのは、中国あたりの風水で言う「龍穴」「龍脈」に当る場所らしい。溢れ出す大地の気を十分に取り込めたようだ。
 とは言え、それは、今回の事件の元凶も同じ事。
 そして、5日間では……流石に新しい術を身に付けるのは無理だったようだ。
 何かが足りない……。あと、2~3歩で何かに辿り着ける……なのに、どの方向に2~3歩進めばいいか、さっぱり判らない。
 自室に戻り電話。
「朝っぱらからすまねえ。奴は昨日退院したようだ」
『判った。もう行動を開始してる可能性は有るが……』
「お前の予想通りでも、どこでやらかすかまでは判んねえか」
『いや、不十分だが情報は有る』
「何だ?」
『例の「魔薬」の原料の栽培地が判った。熊本の八代の山の中。この前の「龍虎興業」の下部組織が仕切ってるらしい。どうも、関東難民が奴隷労働をさせられてるようだな』
「やな話だな。あたしも、こんな力が無けりゃ、そいつらと一緒にコキ使われてた可能性も有る訳か……」
『お前も、今日、退院だったか?』
「ああ……」
『場合によっては、一気に奴らの農場も潰す』
「こっちは、体調は元通りだ。いつでもいける」
 ……と言っても……一抹の不安は有るが……。
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