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第一章:傷城

アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (1)

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 相棒は、足取りも軽く階段を上っていくが、こっちは、それどころじゃない。
 ガチで心霊現象に一番強いのは……その手の心霊現象を鎮圧しずめる事が出来る能力・技術スキルが有る奴じゃなくて……単に、そもそも「視えない」奴かも知れねえ。
 あたしが着装している強化装甲服パワード・スーツ水城みずき」の改修型には、強力な防御魔法と「隠形」の魔法がかけられてる。
 その御蔭で、実体が無い≒物理的な存在を直接認識出来ないタイプの魔物や悪霊に対しては「隠形」で気配を隠してるので、まず、あたし存在そのものが感知困難。
 ついでに、もし、あたしがここに居る事がバレても、防御魔法でしばらくはしのげる。……ま、この状況じゃ、良くない意味で「しばらくは」だろうが……。
 とは言え、そこら中を実体のない魔物や悪霊が飛び交ってるのは……気分がいいモノじゃない。
 もちろん、こいつらには物理的な実体が無いので「鎧」のヘルメットのカメラには写らないが。
 あたしが認識しているこいつらの姿は、あたしの脳が無意識の内に「気配」を「視覚」に「翻訳」した結果だ。
 相棒は階段に転がってる死体に目を向け……。
「見ろ」
「どうした?」
「今んとこ、見付かった死体は制服警官だけ。でも、制服に付いてるマークが違う」
 そう言いながら、相棒は首が変な角度に曲ってる死体のそばにしゃがむ。
「共同捜査か? それとも手柄争いか?」
「さてな……。この死体は……怪我からして階段から落ちて……いや、待てよ。画像分析頼む。この首が折れてる死体、死んでから首が折れたのか、首が折れたのが死因か判るか?」
『解剖でもしないと無理だ』
 後方支援チームからは、即、当然の返事。
「魔法で何か判るか?」
 相棒は、あたしの方に顔(と言っても、のっぺりとした銀色のヘルメットだが)を向ける。
「それがな……死体が邪気に汚染されてる。この死体の『気』を調べても……元々の気より邪気の方が強いんで、その手の事は判らん」
「そこまで酷いのか?」
「あと、迂闊に『魔法』も使えん。『魔法』を使うと、この辺りに居る魔物や悪霊に、あたしの存在を検知されるリスクが出る。そうなれば、この『鎧』の防御魔法も、どれだけ持つか……」
「なるほど……このビルは……想像以上にマズい場所になってる……待て……」
「ああ……多分だけど、あたしも同じ事に気付いた」
「想像でいいから、教えてくれ。?」
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